REVIEW

友達やめた。

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『友達やめた。』今村彩子/まあちゃん

アスペルガー症候群のまあちゃんと、生まれつき耳が聞こえない今村彩子監督。2人の友達関係の変化をありのままに綴ったドキュメンタリー。映画の序盤から、2人の仲の良さが映し出され、とてもうまく関係を保っているように見えるのですが、途中で、実は今村監督は自分を抑えているところがあるのだと明かします。そして、あることをきっかけに、今村監督は「友達をやめる」と決意。ここでいう“友達”という概念も変化していくのですが、上っ面の友達ではなく本当の友達でいたいからこその不器用な2人のぶつかり合いにとても共感できます。2人を観ていると、器用に振る舞える人ほど、もしかしたら本当の友達かどうかにわかりにくい、お互いに友達かどうか自覚しづらいのかもと気付かされます。映画では、まあちゃんと今村監督はマイノリティとしての考えを語っていますが、むしろマイノリティという括りすら、本当はこの世にないのかも知れません。障がいがあるかないかではなく、人は何かしらにおいてマイノリティで、“普通”“常識”はあってないようなものではないかと、本作を観て改めて実感できると思います。そして、人が人を理解するって、自分を理解してもらうことでもあるんだなと、大切なことを教えてくれる、素敵な作品です。

デート向き映画判定
映画『友達やめた。』まあちゃん

恋愛にこそ、こういう視点が必要だと思うので、ぜひカップルで観て欲しいと思います。もし、自分を抑えている感覚があるなら、本作を観た後に「実は私もこういうところを我慢している」という思いをぶつけてみてはどうでしょうか?自分の思いをぶつけるだけでなく、相手もどう感じているのか、抑えていることはないか聞いてみると、すごく距離が縮まって、余計なしんどさも減るのではないでしょうか。そうは言っても、相手を傷つけたくない、嫌われたくないという思いがよぎって、なかなか行動に起こせませんが、本気で付き合いたい、ずっと一緒にいたいと思うなら、チャレンジしてみてください。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『友達やめた。』今村彩子

友情はどうやってどんどん深くなるのか、学ぶべきところがとてもわかりやすく映し出されています。人は一生のうちでいろいろな人と出会いますが、相手をわかろうとすること、自分のことをわかってもらうことの大切さを、本作を観て知って頂けたら、どんどん良い友達が増えていくと思います。コミュニケーションが苦手だなと1人で悩んでいる人も、何か参考になる部分があるはずです。

映画『友達やめた。』今村彩子/まあちゃん

『友達やめた。』
2020年9月19日より全国順次公開
Studio AYA
公式サイト

©2020 Studio AYA

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP