REVIEW

すばらしき世界

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『すばらしき世界』役所広司/仲野太賀

実在の人物をモデルにした本作は、社会のいろいろな側面を映し出しています。人生の多くの時間を少年院を含め刑務所で過ごした主人公の三上は、出所後真面目に生きようとするも、問題にぶつかってばかり。就職しようにも簡単にはいかず、生活苦が彼をまた元の世界に押し戻そうとします。そんな彼の周りには、彼の奮闘をネタにしようとするマスコミの人間もいれば、彼を助けようとする者もいます。そういった人達とのやり取りで、彼の純粋さが見えるのですが、そのまっすぐ過ぎる性格ゆえに生きづらくなっている様子を見ると、この世の中の冷たさも同時に感じます。
この世で生きる処世術みたいなものがいろいろなキャラクターから語られるのですが、改めて私達は大事なことをいとも簡単に割り切って生きてしまっていることに気付かされ、何とも言えない気持ちにさせられます。本作は主人公がこの世の中に順応できるかどうかを描くにとどまらず、私達にも選択肢があり、「こんな世界であなたはどんな人間として生きていきますか?」と問うているように思います。正しいか正しくないかというよりも、そうやって生きていかなければいけない世の中になっている現状を叩き付けられるストーリーです。役所広司をはじめとするキャストも名演を見せているので、エンタテインメントとして、そして社会問題を知るきっかけとして観て欲しい作品です。

デート向き映画判定
映画『すばらしき世界』役所広司/長澤まさみ

綺麗事では済まされない難しい問題がテーマとなっていて、デートが盛り上がるような内容ではありませんが、一緒に観て感想を言い合うと、根本の相性が合うかどうかは少し想像できるかもしれません。主人公の周囲にいるキャラクターはさまざまな価値観の人がいるので、誰に1番共感したかによってもお互いがどんなタイプの価値観を持っているのか推し量れるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『すばらしき世界』役所広司/仲野太賀

若い皆さんこそ、本作を今観ておいたほうが、若さ故のトラブルを起こさないように気を付けることができるのではないかと思います。今は将来のことをあまりリアルに想像できないかもしれませんが、過去の過ちが一生付きまとうこともあります。自分は改心したつもりでも、社会に受け容れてもらえなかったりということも本作を観るとわかりますよ。

映画『すばらしき世界』役所広司

『すばらしき世界』
2021年2月11日より全国公開
ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『人間の境界』 人間の境界【レビュー】

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』で、ロシア政府が隠していた事実を暴いたアグニェシュカ・ホランド監督が、再び社会の事実を伝える作品を撮りました…

映画『バジーノイズ』川西拓実(JO1)/桜田ひより バジーノイズ【レビュー】

本作は、ビックコミックスピリッツで2020年まで連載された、むつき潤の「バジーノイズ」を原作とし…

Netflix映画『シティーハンター』鈴木亮平 シティーハンター【レビュー】

今さらですが、冴羽獠ってめちゃくちゃ…

映画『システム・クラッシャー』ヘレナ・ツェンゲル システム・クラッシャー【レビュー】

母と離れて施設で暮らす9歳の女の子ベニーが主人公の本作は、各国の映画祭で多数の…

映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ 『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ 3名様プレゼント

映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ 3名様プレゼント

映画『リバウンド』アン・ジェホン ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き】7〜2024年4月の「気になる映画とオススメ映画」

2024年4月下旬、気になる映画、オススメ映画はコレとアレと…

映画『恋するプリテンダー』シドニー・スウィーニー/グレン・パウエル 恋するプリテンダー【レビュー】

久々にハリウッドの王道ラブコメを観たという感覚をもたらす楽しい作品です。ひょんなことがきっかけで…

映画『九十歳。何がめでたい』草笛光子 『九十歳。何がめでたい』特別試写会 20組40名様ご招待

映画『九十歳。何がめでたい』特別試写会 20組40名様ご招待

映画『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』エマ・ロバーツ エマ・ロバーツ【プロフィールと出演作一覧】

1991年2月10日アメリカ、ニューヨーク生まれ。ロサンゼルス育ち。父は俳優のエリック・ロバーツ。子どもの頃から…

映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』 ゴジラxコング 新たなる帝国【レビュー】

こりゃもう、見どころてんこ盛りで約2時間の上映時間も…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『MIRRORLIAR FILMS Season5』横浜流星 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内20代編】

今回は、国内で活躍する20代(1995年から2004年生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で70名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ 映画好きが選んだ2023洋画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の洋画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の洋画ベストに輝いたのでしょうか?

映画『テルマ&ルイーズ 4K』スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『テルマ&ルイーズ』

今回は『テルマ&ルイーズ』のリメイクを作るとしたら…ということで、テルマ役のジーナ・デイヴィスとルイーズ役のスーザン・サランドンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに聞いてみました。

REVIEW

  1. 映画『人間の境界』
  2. 映画『バジーノイズ』川西拓実(JO1)/桜田ひより
  3. Netflix映画『シティーハンター』鈴木亮平
  4. 映画『システム・クラッシャー』ヘレナ・ツェンゲル
  5. 映画『恋するプリテンダー』シドニー・スウィーニー/グレン・パウエル

PRESENT

  1. 映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ
  2. 映画『九十歳。何がめでたい』草笛光子
  3. 中国ドラマ『花の告発~煙雨に仇打つ九義人~』QUOカード
PAGE TOP