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あなただけのキャリア7:雇用と防犯の関係

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映画『すばらしき世界』役所広司

※ネタバレ注意!『ヤクザと家族 The Family』『すばらしき世界』

1991年、暴力団対策法が制定され、翌年3月から施行されました。当事者でない限り、私達がその効果を日常で実感することはあまりありませんが、映画『ヤクザと家族 The Family』ではその効果を垣間見ることができます。

綾野剛が演じる主人公とその仲間は、若かりし頃にヤクザに入り、“居場所”を見つけます。でも、他の組との抗争がきっかけで主人公は刑務所へ入ります。彼が出所すると、社会での暴力団の勢力は衰え、主人公も足を洗うことになります。ただ、これでめでたしめでたしとならないところに、社会の課題があります。

映画『ヤクザと家族 The Family』綾野剛/北村有起哉
映画『ヤクザと家族 The Family』

映画『すばらしき世界』では、さらに年齢の高い元暴力団組員の出所後の生活を描いていますが、彼らは刑期を終えた後にこそ試練を受ける運命にあることがわかります。彼らは就職しようとしても雇ってくれるところを見つけるのが難しいのです。刑務所の中で身につけた裁縫技術も、就職活動にはあまり役に立たず、自動車の運転免許も更新できなかったために失効になっていて、再び取り直そうにもお金がありません。

こうして定職に就けないままお金が尽きてしまい、反社会的勢力に戻るか、罪を犯して刑務所に戻るかという選択肢しか見えなくなってくると考えられます。刑務所に再び入る人の約7割が無職、有職者に比べて無職者は再犯率が3倍というデータもあり(法務省)、彼らの社会復帰と再犯防止には雇用が大きな鍵を握っていることがわかります。

また同じく法務省の2002年から2011年の入所受刑者の教育程度の構成比の推移では、どの年を見ても約4割が中学校卒業者となっており、高校中退者が約2割と多くを占めています。一般的には大学進学率は約5割、専門学校などを合わせると8割に及ぶ状況からすると、一昔前より学歴社会ではなくなってきたとはいえ、就職にはかなり不利であることが想像できます。

映画『すばらしき世界』役所広司/六角精児
映画『すばらしき世界』

ただ、この状況への対策が全く行われていないわけではありません。法務省、厚生労働省は、犯罪を犯した人の自律や社会復帰に協力する“協力雇用主”を募集しています。刑務所出所者等就労奨励金制度があり、協力雇用主には、就労・職場定着奨励金、就労継続奨励金が支給されたり、身元保証制度、トライアル雇用制度、職場体験講習、事業所見学会もあります(「協力雇用主」パンフレット 法務省・厚生労働省発行)。

さらに警察でも、暴力団員の社会復帰対策が意識されており、暴力団を弱体化、壊滅させると同時に、再犯防止対策として、暴対センターと連携し、離脱支援や就労支援までの流れを構成しています(警察庁組織犯罪対策部暴力団対策課資料)。

でも『ヤクザと家族 The Family』や『すばらしき世界』を観ていただければわかるとおり、こういった支援策があれば解決ということではありません。1番は日常で接する人達に受け容れられないことで孤立したり、何かがきっかけで犯罪歴を知られて普通に暮らせなくなることが、再犯を招く可能性があります。

映画『ヤクザと家族 The Family』磯村勇斗
映画『ヤクザと家族 The Family』

ただ、被害者側の立場を考えると、加害者だけがやり直しが利くということを許せない人もいて当然です。だからこそ一筋縄ではいかない問題ですが、これからの犯罪を未然に防ぐということ、負の連鎖を断ち切ることを考えると、やはり彼らの雇用の問題も社会の重要な課題といえそうです。

最後に公的職業訓練(ハロートレーニング)についてご紹介します。公的職業訓練には大きく分けて2種あり、雇用保険を受給できる人、できない人で異なります。後者は“求職者支援訓練”といい、社会人としての能力を養う基礎コースと、実践的な技術を身につける実践コースがあります。求職者支援訓練は基本的には無料(テキスト代だけ自己負担の場合あり)で、3〜6ヶ月間の訓練期間が設けられています。訓練受講の手続きはハローワークで行えます。前科のある人だけでなく、困窮して行き場がなくなった人が犯罪に巻き込まれないようにするためにも、こういった資源を使って欲しいと願います。

<参考・引用文献>
教育新聞「大学進学率が過去最高54.4% 専門学校など合わせ8割に」
「協力雇用主」パンフレット 法務省・厚生労働省発行
警察庁組織犯罪対策部暴力団対策課資料
再犯を防止して安全・安心な社会へ 政府広報オンライン
第7編 刑務所出所者等の社会復帰支援 – 法務省

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『ヤクザと家族 The Family』
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2021年2月11日より全国公開

REVIEW/デート向き映画判定/キッズ&ティーン向き映画判定

社会に順応するために主人公が課せられるさまざまな事柄を描くことで、社会そのものの歪みも映し出しています。

© 2021『ヤクザと家族The Family』製作委員会
©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会

TEXT by Myson(国家資格キャリアコンサルタント/認定心理士)

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