REVIEW

大きな家【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『大きな家』

REVIEW

とある児童養護施設の子ども達の素顔を映した本作は、齊藤工が企画・プロデュース、竹林亮が監督を務め、「”被写体ファースト”で非商業的な特殊な上映を目指」しており(映画公式サイト、齊藤工のコメントより)、劇場での上映に特化し、配信やパッケージ化は予定されていないそうです。

映画『大きな家』

被写体となる子ども達へ寄り添う姿勢は、撮影に入る前の準備段階から徹底されています。映画公式資料によると、プロジェクトが動き始めてから、「竹林監督も齊藤さんや山本プロデューサーたちと、本格的な撮影期間に入る前に、カメラを持たずに1ー2 ヶ月に1度、定期的に施設に訪れ、施設の方や子どもたちと交流を重ねていきました」とあります。だから、本作に撮られた会話には、子ども達の本音が見えます。

映画『大きな家』

本作では、7歳から19歳までの子ども達に順にフォーカスし、日常を映すと同時に、気持ちに寄り添いながら慎重に子ども達の本音を引き出しています。子ども達の言葉は一見シンプルでありながら、いろいろな思いがこもっているのがスクリーンから伝わってきます。年齢を問わず皆がそれぞれに自分の気持ちに折り合いを付けているような話しぶりもとても印象的でした。同時に、迷いながら逞しく育っていく姿にエネルギーをもらえます。

映画『大きな家』

一方で、映画の冒頭には、施設から巣立っていった子ども達が直面する現実が明かされているとともに、生きていくことへの疲弊を吐露する子どもの姿も映ります。本作を観ると子ども達の逞しさに、社会の大人は頼り過ぎているようにも思えて、いろいろな考えが巡ります。すぐに何ができるというわけではないとしても、本作をきっかけにこうした状況が広く知られることに意義があると思います。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『大きな家』

私自身の過去を振り返ると、子どもの頃は、ふとした時に家族やきょうだいの話題が出てきたとしても、わざわざ聞くことは少なかったと思います。ただ、関心を持たなくて良いということではないし、言葉に出さないけれど、本当は知ってほしい思いもあるのかもしれないと本作を観て感じました。家族とは何か、幸せとは何かという点でも、いろいろと考えさせられます。自分達と同じ年頃の子ども達の日常を観ると、今の自分を見つめ直すきっかけにもなると思います。ぜひ観てみてください。

映画『大きな家』

『大きな家』
2024年12月6日先行公開、12月20日より全国順次公開
PARCO
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©︎CHOCOLATE

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

【東京コミコン2025】オープニング:イライジャ・ウッド、カール・アーバン、リー・トンプソン、トム・ウィルソン、クローディア・ウエルズ、ダニエル・ローガン、ジョン・バーンサル、クリスティーナ・リッチ、イヴァナ・リンチ、ノーマン・リーダス、ショーン・パトリック・フラナリー、ジャック・クエイド、マッツ・ミケルセン、浅野忠信、ピルウ・アスベック、セバスチャン・スタン、ジム・リー、C.B.セブルスキー、フランク・ミラー、クリストファー・ロイド、中丸雄一(MC)、伊織もえ(PR大使)、山本耕史(アンバサダー) 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』一行や人気アメコミ出演者達が勢揃い!【東京コミコン2025】オープニングセレモニー

年末恒例行事となった東京コミコンのオープニングセレモニーを取材してきました。今年は過去最高といえるのではないかという数のスター達が来日してくれました。

映画『ズートピア2』 ズートピア2【レビュー】

さまざまな動物達が人間と同じように暮らすズートピアを舞台にした本シリーズは…

映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル エディントンへようこそ【レビュー】

アリ・アスター監督とホアキン・フェニックスの2度目のタッグが実現した本作は、メディアの情報に翻弄される人々の様子を…

映画『愚か者の身分』林裕太 林裕太【ギャラリー/出演作一覧】

2000年11月2日生まれ。東京都出身。

映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン ペンギン・レッスン【レビュー】

『ペンギン・レッスン』というタイトルが醸し出す世界観、スティーヴ・クーガンやジョナサン・プライスといった名優がメインキャストに名を連ねていることからして…

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平 WIND BREAKER/ウィンドブレイカー【レビュー】

にいさとる作の同名漫画を原作とする本作は、不良グループが街を守るというユニークな設定…

映画『ナイトフラワー』北川景子 北川景子【ギャラリー/出演作一覧】

1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年11月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 映画に隠された恋愛哲学とヒント集80:おしどり夫婦こそ油断禁物!夫婦関係の壊れ方

どんなに仲が良く、相性の良さそうな2人でも、夫婦関係が壊れていく理由がわかる3作品を取り上げます。

映画『マルドロール/腐敗』アントニー・バジョン マルドロール/腐敗【レビュー】

国民を守るためにあるはずの組織が腐敗し機能不全となった様を描いた本作は、ベルギーで起き、1996年に発覚したマルク・デュトルー事件を基に…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『ズートピア2』
  2. 映画『エディントンへようこそ』ホアキン・フェニックス/ペドロ・パスカル
  3. 映画『ペンギン・レッスン』スティーヴ・クーガン
  4. 映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』水上恒司/木戸大聖/八木莉可子/綱啓永/JUNON(BE:FIRST)/中沢元紀/曽田陵介/萩原護/髙橋里恩/山下幸輝/濱尾ノリタカ/上杉柊平
  5. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP