豆原一成(JO1)、市毛良枝W主演&孫と祖母が軽やかに紡ぐ家族の物語『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』。今回は本作で恋人役として共演された豆原一成さんと八木莉可子さんにインタビューをさせていただきました。
<PROFILE>
豆原一成(JO1):安藤拓磨 役
2002年5月30日生まれ。岡山県出身。サバイバルオーディション番組 「PRODUCE 101 JAPAN」から誕生した11人組グローバルボーイズグループ “JO1(ジェイオーワン)”のメンバー。俳優としても活躍しており、主な出演作にショート・プログラム『メモリーオフ』(2022)、『Birth of Chimera』(2022)、ドラマ『超人間要塞 ヒロシ戦記』(2023)、『お笑いインスパイアドラマ ラフな生活のススメ』(2023)、『海に眠るダイヤモンド』(2024)、映画『半径1メートルの君 〜上を向いて歩こう〜』(2021)、『劇場版 仮面ライダーリバイス バトルファミリア』(2022)、『BADBOYS -THE MOVIE-』(2025)などがある。本作『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』では、市毛良枝と共にW主演を飾る。
八木莉可子:大石紗季 役
2001年7月7日生まれ、滋賀県出身。2016年出演したポカリスエットのCMで一躍注目を集める。その後、Netflixオリジナルドラマ『First Love 初恋』(2022)や、NHK総合『おとなりに銀河』(2023)でヒロインを務め、日本テレビ系『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』(2024)では竜星涼とW主演を果たす。カンテレ・フジテレビ系10月期ドラマ『終幕のロンド -もう二度と会えないあなたに-』に出演するほか、映画『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』、映画『WIND BREAKER』が公開予定。
言葉にするのはすごく大事なこと

記者A:
まず出演が決まった時のお気持ちを聞かせてください。
豆原一成さん:
最初は市毛良枝さんしか決まっていない段階で、W主演だと聞いた時は正直、僕が大先輩の市毛さんとお芝居をさせていただくことが少し心配になりました。
八木莉可子さん:
今回は豆原さんや市毛さんをはじめ、初めて共演させていただく方ばかりだったので、皆さんとこの組に入らせていただけることがとても光栄だと思いました。台本を読んだ時は、すごく素敵なお話で、家族や人の温かさ、それから学びや挑戦することについても描かれていて、いろいろなメッセージが込められている作品だと感じました。その輪の中に私も入らせていただけることがすごく嬉しかったです。
シャミ:
それぞれお互いの最初の印象や、共演されていかがでしたか?

豆原一成さん:
八木さんはすごく自然で壁があるようには感じなかったので、僕も現場にスッと入れた気がします。でも僕は当時も今も八木さんがちょっと不思議な方なのかなと思っています(笑)。
八木莉可子さん:
現場に入る前は、どんな方なのかなと思っていましたが、豆原さんはずっと自然体でいらっしゃって、良い意味で全然気負わずにいられて、現場も明るい雰囲気に包まれていたので、私もその流れに乗っていけたという感じがします。今日も久しぶりに会うので少し緊張していたのですが、全然変わらず安心しました(笑)。豆原さんは誰に対しても壁を作らないですよね。
豆原一成さん:
そうですか?
八木莉可子さん:
壁があると少し緊張感がありますが、それがないのですごく助けになりました。ただ、私のことを不思議に思っていたとは知りませんでした(笑)。

一同:
ハハハハハ(笑)!
豆原一成さん:
スラッとした綺麗な印象があって、喋り出す時はスローな感じというか、八木さん特有の雰囲気があるなと思うんです。僕はそれが不思議だなと思いつつも、八木さんの魅力でもあると思っています。
シャミ:
お二人の楽しい雰囲気が伝わってきますね。市毛良枝さんと共演された感想はいかがですか?
豆原一成さん:
本当に優しい方で大好きです。撮影中も本当に孫とおばあちゃんのように接していただいて、世代が違うにもかかわらず友達のように話してくださる優しい方です。この間久々に会った時も、僕は少し緊張していたのですが、すぐにまた撮影当時に戻ったかのような感覚になれました。それは市毛さんが出している雰囲気や接し方のおかげだと思います。一緒にお芝居ができて本当に良い経験になり、良い思い出にもなりました。
シャミ:
劇中ではおばあちゃんと孫という関係でしたが、最初からすぐにその関係性になれたのでしょうか?

豆原一成さん:
最初はさすがに緊張していたので、スロースタートでした。でも、わりと早めにラストシーンの撮影があり、その時に市毛さんと僕と僕のマネージャーとプロデューサーさんの4人で食事をさせていただいて、それを機にすごく仲良くなりました。撮影中は基本僕と市毛さん2人のシーンが多かったのですが、楽しく撮影できました。
八木莉可子さん:
私も緊張していましたが、市毛さんは本当に気さくに話しかけてくれ、ものすごく優しくてフレンドリーに接してくださいました。でも、お芝居の現場に入られると、少し凛としたところもあって、私もしっかりしなきゃと背筋が伸びるような感覚になりました。そのメリハリもすごく素敵で、本当に大先輩のそういう姿を見て、お芝居はもちろん、現場での居方も学ばせていただきました。誰にでもフラットに接する市毛さんがすごくカッコ良いなと思いました。
シャミ:
いろいろな面で刺激を受けられたんですね。拓磨はコーヒー好きでありながらも、“好きなこと”を追求する自信がなく、将来を見出せずにいる高校生でした。一方、紗季はインターンとして働くなど自分の将来を考えつつ、拓磨を支える良き理解者でもありました。お二人はそれぞれのキャラクターをどう受け止めて演じられましたか?
豆原一成さん:
コーヒーがすごく好きなのに、やっぱり無理かみたいな拓磨の気持ちはわかるのですが、さすがにもうちょっと自信を持ってもいいのになと思いました。でも難しい目標や夢の中で葛藤したり失敗しながらやっている姿が僕はすごく好きだし、良い意味でも悪い意味でも人間味があってカッコ良いと思いました。そんなことを思いながら、お芝居させていただきました。

シャミ:
確かになかなか自身を持てない拓磨に時々もどかしくなる場面もありましたね。
豆原一成さん:
そうですね。好きなものに一直線なのは僕も同じで、とにかく知識をつけたくなるタイプなので、そこはすごく共感できました。
八木莉可子さん:
紗季は一見拓磨を引っ張っているように見えるのですが、意外と拓磨に支えてもらっているところもあると思います。例えば何かあると「ちょっと拓磨のコーヒーが飲みたかったから来た」と言ったり、気持ちを素直に言えなくて、少しツンデレなところもあるぐらい、実は心の中で拓磨をすごく支えにしている部分があるのだろうなと思いました。紗季のほうがきっと強がっている部分が多くて、逆に拓磨は紗季の持っていない純粋さや、自分に自信がないこともさらけ出してしまう強さがある気がします。紗季は拓磨のそういうところに惹かれているのだと思います。だから、自信がない拓磨を紗季が引っ張っているというより、お互いに補完し合っています。そういう紗季にも本当は弱いところがあって、強がって何も言えない部分は意識して演じました。
記者B:
この作品には、市毛さんが演じた文子が体現しているような「人生に遅すぎることはない」「学ぶことは楽しい」というメッセージが込められています。お二人はそれぞれの役を演じながら、そのテーマから何か気づきや、勇気を与えてもらったことはありますか?
八木莉可子さん:
私は完璧じゃなくてもいいんだと少し思えました。この映画の登場人物達は皆何かしら人間らしい部分があって、例えば何かに失敗してしまったり、完璧ではなくて、皆それぞれ何か秀でているところと苦手なところがありますよね。その中で皆それぞれを補い助け合い、そこに絆や愛が生まれて、温かい繋がりも増えて生きていることがこの作品を通して描かれているような気がします。誰も完璧な人はいないし、ただの良い人達の話ではなくて、それぞれちゃんと人間らしさがあるキャラクターなので、「そんなに完璧じゃなくてもいいんだよ」と、言ってもらえるような気がして、それが私にとって新しい気づきになりました。

豆原一成さん:
僕は言葉にすることはすごく大事なんだと思いました。拓磨はバスのシーンでお母さんに僕はこれをやりたいんだと、今まで言えなかったことを言って、そこでまたお母さんとの新しい関係値が生まれる。そうやってこの作品の中で皆が誰かに言葉にして伝えていて、それは自分の人生においても大事なことだと感じました。言葉にして誰かに想いを伝える、思っていることを言うということは意外と難しいのですが、すごく大切なことだと気づきました。
記者B:
本作は“学び”もテーマになっている作品でしたが、これから何か学びたいことはありますか?
豆原一成さん:
僕は英語です。学びたいというよりも学ばなきゃいけないんです。やっぱり海外でパフォーマンスをする時に、英語は喋れないとダメだと思うんです。でも最近感じるのは、英語は世界共通語じゃないですか。ということはきっと簡単なんですよ(笑)。
一同:
お〜!!
豆原一成さん:
だから僕が喋れないわけがないと(笑)。だからあとはもう学ぶだけです。

八木莉可子さん:
私は健康について学びたいです。仕事で忙しかったり、撮影内容によっては体をすごく使う作品がありますが、自分のパフォーマンスをできるだけ100%出すには、きちんと調整しなくてはいけないんだと年々思うようになりました。今までは気持ちで勝っていればいけるだろうと思っていたのですが、忙しくなると100%を出そうとしすぎて最初に息が切れてしまうこともありました。例えば昨年舞台に初めて挑戦させていただき、最後まで駆け抜けることを考え、ちゃんと体と相談してやることの大切さを感じました。時には体を過信しすぎて、撮影が終わった後に熱を出すこともあったので、やっぱり自分の健康についてきちんと学ぶことが仕事のパフォーマンスにも繋がるんだと思い、最近は自律神経の本を読んでいます。
豆原一成さん:
自律神経の本いいですね!交感神経と副交感神経のどちらかが優位になりすぎると体が疲れてきてしまうのですごく大事です。
八木莉可子さん:
先生がこんなところに!!ぜひ教えてください(笑)。
一同:
ハハハハ!
自分の中を満たしておきたいという想いがあります
シャミ:
最初に俳優のお仕事に興味を持ったのはいつ頃だったのでしょうか?もし何かきっかけがあれば教えてください。
豆原一成さん:
2作目のミュージックビデオの時に初めて演技をやりました。それまでは歌とダンスしかやっていなかったのですが、その時に皆から芝居を褒めていただいて、その時にやってみようかなと思いました。

シャミ:
実際に俳優のお仕事をいただいた時は即決だったのでしょうか?
豆原一成さん:
僕はお芝居とパフォーマンスは似ているようで似ていないと思っていたので、正直迷いました。それにプレッシャーもありましたし。
シャミ:
挑戦だったんですね。
八木莉可子さん:
私が芸能のお仕事に興味を持ったのは幼稚園の頃で、当時はIKKOさんに憧れていました。メイクアップアーティストとしてテレビにたくさん出られていて、すごい方だと思い、それをきっかけにメイクやおしゃれができるモデルになりたいと思いました。それから表現のお仕事に漠然とした夢を持っていたのですが、当時は普通に学生生活を送っていました。それからしばらくして中学2年生の時に今の事務所のオーディションを受けたのがきっかけで、このお仕事を始めました。

シャミ:
実際にこの業界に入られて、IKKOさんにはお会いできましたか?
八木莉可子さん:
まだないんです。いつかお会いできたら嬉しいです!
シャミ:
お二人ともオーディション経験をお持ちですが、その経験が今に活かされていると感じることは何かありますか?
八木莉可子さん:
私が事務所のオーディションを受けたのは14歳の時で、当時は右も左もわからない状態でした。それよりも俳優や雑誌のモデルオーディションなど、お仕事のオーディション経験のほうが今に活かされているなと思います。
豆原一成さん:
オーディションにはどっちかわからないみたいな独特の空気感がありますが、その気持ちはやっぱり忘れてはダメだと思っています。例えばきついけど何かをどうしてもやらなくてはいけない時は、オーディションの時のことを思い出して、あの時のほうが絶対にキツかっただろうなと振り返っています。

シャミ:
初心を忘れないのは大切なことですよね。それぞれ現在は俳優以外のお仕事でも活躍されていますが、相互作用していると感じることは何かありますか?
豆原一成さん:
僕の場合は大まかにいうとJO1と俳優のお仕事の2つに分かれていて、圧倒的にJO1でのお仕事の経験値のほうが高く、役者としての経験値はそれに比べるとだいぶ差があるんです。そうなると多少相互作用しているところもあると思いますが、バランスがまだまだ難しいので、今は自分の中で臨機応変にバランスを変えながらやっています。
シャミ:
今後、俳優業にももっと力を入れたいという想いもありますか?
豆原一成さん:
俳優には正解がないので、まずは場数を踏むことだと思います。そういう意味では、今後もたくさんの作品に出て、いろいろな役をやってみたいです。
八木莉可子さん:
私はモデルのお仕事もさせてもらっていて、役に入るのと自分が出るのとでは全然違うのですが、表現することとしては一貫して一緒だと思っています。例えば、俳優のお芝居でもモデルでもなく、テレビに出させてもらうとか、いろいろなことをさせていただくなかで、表現することは同じなのかなと思います。ただ、その上で自分自身が出るお仕事でもあるので、私自身まだまだ未熟だなと思う時があります。やはり出すばかりだと自分がなくなってしまう気がするので、いろいろなものを見て影響を受けるなど、自分の中を満たしておきたいという想いがあります。それはいろいろなお仕事をさせてもらうことでたくさんの経験ができるので、全部が相互作用しているんじゃないかなと思います。
シャミ:
では最後の質問です。今後挑戦してみたい役や作品のジャンルがあれば教えてください。

衣装協力=ニット¥27,500(LITTLEBIG)
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豆原一成さん:
僕は自衛隊員の役をやってみたいです!
シャミ:
すごく合いそうですね!
豆原一成さん:
肉体的にも精神的にもすごくきつそうですが、それを達成した時の達成感が良さそうですよね。
八木莉可子さん:
本当に追い込むのが好きですね(笑)!
豆原一成さん:
ハハハハ!髪を短くしてやってみたいです。
八木莉可子さん:
私はコメディに振った役とか個性的なキャラクター、あとは男前なキャラクターをやってみたいです。わりと清楚なイメージに思っていただくことが多く、キャラの濃い役や、セーブするよりも出し切ってしまえる役に挑戦してみたいです。

Styling=Shohei Kashima
衣装協力=Patchwork embroidered dress¥143,000(MURRAL)
シャミ:
どちらもぜひ観てみたいです!本日はありがとうございました。
2025年9月17日取材 TEXT by Shamy

『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』
2025年10月24日より全国公開
監督:中⻄健二
出演:豆原一成(JO1)/市毛良枝/酒井美紀/八木莉可子/⻑塚京三
市川笑三郎/福田歩汰(DXTEEN)/藤田玲/星田英利
配給:ギャガ
大学生の拓磨は祖母の文子と暮らすこととなり、亡き祖父の書斎で大学の入学案内を見つける。それは祖父が遺した文子へのサプライズだった。文子は大学の入学を決意し、若い頃の夢だった日々を謳歌し始める。一方、拓磨は夢に自信が持てず将来に悩む。そんな二人は、富士山が好きだった祖父の手帳に不思議な数式を見つけて…。
公式サイト
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©2025「富士山と、コーヒーと、しあわせの数式」
関連作
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