REVIEW
南フランスののどかな町を舞台とする本作は、裕福な家庭に生まれた思春期の少年エンゾ(エロワ・ポユ)を主人公にした物語です。学校に馴染めないエンゾは、建築現場で見習いをしています。現場ではウクライナ出身の青年ヴラド(マクシム・スリヴィンスキー)がエンゾに仕事を教えています。でも、ヴラドには徴兵されウクライナに戻る可能性があり…。

一見恵まれた環境にいるエンゾは、自分のアイデンティティに悩まされ、居場所を見出せずにいます。そんなエンゾにヴラドがどんな影響を与えるのかが、静かに描かれています。エンゾにとってのヴラドはいろいろな意味で刺激を与える人物です。エンゾのヴラドに対する気持ちは、終盤で明らかになるものの、そうした関係に収まらない複雑なものであるように思います。

思春期には、誰もが自分自身をわかってくると同時に、だからこそどうしたらよいかがわからない混乱した状況に陥ります。その不安を誰にも共有できないでいるエンゾはどこにも居場所がありません。

エンゾはヴラドと出会い、彼の優しさに触れ、居場所を見つけたような気持ちになりつつ、ヴラドは戦場に行こうとしています。エンゾは自分の気持ちのやり場のなさと同時に、ヴラドが今どんな状況に置かれているかを考えさせられます。こうした葛藤によってエンゾがどう変化していくのかが、淡々と描かれています。
以下はあくまで私の解釈です。読む方によってはネタバレと感じる内容が含まれるため、観終わってからお読みいただくことを推奨します。

戦争に行かなくてはいけない状況から比べたら、エンゾは恵まれているといわれるかもしれません。でも、思春期の少年少女の孤独感や疎外感は、大人が考える何倍も絶望的なものであるように感じます。それを大人がどうにかするのは難しく、自分で乗り越えるしかありません。

本作は綺麗事ではなく、現実を描いています。無理に自分を曲げることもなく、各々が時の流れに身を任せています。壊れそうになりながらも踏ん張り、少しずつ成長するエンゾの姿は最後は清々しさを帯びているように映ります。
デート向き映画判定

相手の気持ちに何となく気づいていながらもずっと友達以上恋人未満でいる2人は、本作を観ると何かしら影響を受けるかもしれません。それが関係の発展を招くのか、2人の距離を遠ざけてしまうのかは読めません。でも、どんな形でも前に進みたいなら一緒に観てみるのもアリではないでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

思春期は特に、周囲の人に対してつかみどころのない気持ちに戸惑うことがあると思います。それが恋愛なのか、ただの親近感なのかもわからないからこそ悶々としてしまいますよね。でも、誰もが通る道です。本作を観ると、皆も同じなのだなと思えるところがあるでしょう。自分と向き合うために観るとすれば、中学生くらいになってから、1人でじっくり観てみると良いでしょう。

『君の見る世界をなぞる』
2026年8月21日より全国順次公開
PG-12
樂舎
公式サイト
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©Les Films de Pierre / Lucky Red / Page 114 / Les Films du Fleuve / France 3 Cinéma / AMI,
Alexandre Mattiussi
TEXT by Myson
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情報は2026年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。





























