REVIEW
ダウンタイムという言葉をこのドラマで知りました。ダウンタイムとは、美容医療の施術後から普段の生活に戻るまでの回復期間を指します。本作では文字どおりの意味で使われているほか、キャラクター達が自分の人生を取り戻すまでの期間のメタファーとも読み取れます。


「美容整形(美容外科)とは美容医療のひとつで、容姿を整えるために顔や体の形状を変える施術」を指します。ヒアルロン酸、ボトックス、脱毛、スキンケアなど、メスを使わない“プチ整形”を含めると、「日本国内の美容医療施術数は、2019年から3年で約3倍に急増し、近年は年間約300万件以上に達する」そうです(ドラマ公式資料)。

このように美容整形が日本でも身近になってきた今、どういうスタンスで描くのかは難しいところもあったと思います。そんななか、さまざまな立場の人間を描くことで、短絡的に否定や肯定をするのではなく、メリットとデメリットの両方をバランスを保ちながら描いています。

前半は美容整形の闇に切り込みつつ光にも目を向ける内容、後半はキャラクター達の知られざる過去が複雑に交錯するストーリーとなっていて、前半と後半でガラッと様相が変わります。人間関係が想像以上に入り組んでいくなか、敵味方が曖昧になってくると同時に、伏線となる強いセリフの意味が違ってみえてくる点に脚本の妙を感じます。ちなみに本作は、監督を『軍艦少年』や『アンメット ある脳外科医の日記』などを手掛けたYuki Saito、脚本を『孤狼の血』や『極悪女王』などを手掛けた池上純哉が勤めています。

とあるキーパーソンのキャラクター設定で「自分で○○って可能なの?」という疑問は残りつつ、ドラマ公式資料によると、とことんリアリティが追求されています。「ボトックスパーティー、シャドードクターなど、美容医療業界の闇を象徴する事象(中略)は入念な取材を元に描いており、(中略)全てのエピソードは、監修の高須クリニックがファクトチェックを行った」とあります。

美容整形のビフォーアフターの描写もすごく精巧で驚かされます。「『美容整形外科』の手術シーンは、高須クリニックの監修のもと、特殊造形とVFXを駆使し、リアリティを追求した。また、患者の『ビフォー→ダウンタイム→アフター』の特殊メイクは、『地獄に堕ちるわよ』のAmazing JIRO率いるチームにより、俳優一人一人にオーダーメイドで造形された」(ドラマ公式資料)そうです。


そして、何より俳優達が皆好演しています。大学病院で働く優秀な形成外科医の沼田文を演じた松岡茉優、業界大手の美容整形クリニックの院長、遠山凜を演じた仲里依紗はキャラクターのイメージにピッタリとハマっています。間宮祥太朗が演じる小宮ルイのメイクもとても現代的です。ゲスト出演の安達祐実や研ナオコのエピソードも記憶に強く残ります。

本作は美容整形というセンセーショナルなテーマだけが一人歩きしていない、しっかりとした内容となっています。外見と内面の密接な関係性を描き、さまざまな人生観があることを教えてくれるドラマです。美容整形にどんな意見を持っているかにかかわらずオススメします。

『ダウンタイム』
2026年9月17日よりNetflixにて配信中
16+
公式サイト Netflixで観る
TEXT by Myson

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