REVIEW

ブルータリスト【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ

REVIEW

タイトルになっている“ブルータリスト”は「残忍な」という意味の単語ですが、“ブルータリズム”と呼ばれる建築様式にもかけて付けられていると考えられます。以下に、映画公式資料にある説明を抜粋します。

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ、アレッサンドロ・ニヴォラ

ブルータリズムと呼ばれる建築様式は、戦後の復興計画の中で、1950年代からイギリスで見られるようになってきていた。
その外観はミニマリスト的で、コンクリートやレンガが剥き出しになっている。ブルータリズムは装飾よりも、構造そのものを見せる手法だ。
ブルータリズムで有名な建築家には、ル・コルビュジエ、マルセル・ブロイヤー、ウィリアム・ペレイラ、モシェ・サフディ、デニス・ラスダン、アリソン&ピーター・スミッソンなどがいる。

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ

本作の主人公ラースロー・トート(エイドリアン・ブロディ)は、ブルータリズムの建築で才能を開花させたハンガリー系のユダヤ人ということで、ブルータリストというタイトルになっていると思われます。このラースロー・トートは架空の人物でありながら、「その人生はブルータリズムの先駆者となったルイス・カーン、ミース・ファン・デル・ローエ、マルセル・ブロイヤーと重なる部分が多い」(映画公式資料)といいます。

映画『ブルータリスト』

ラースロー・トートはハンガリーからアメリカに移住して来たものの、ブダペストで築いた建築家としての名声は通用せず、移民として苦渋を味わいます。離ればなれになっている妻のエルジェーベト(フェリシティ・ジョーンズ)との再会もなかなか叶わず、衣食住もままならないなか、彼はどんな選択をしていくのか、30年にわたる半生を215分という長尺で描いています。

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ

215分の長尺とはいえ、途中でインターミッション(休憩)が入るし、内容が濃厚でテンポも良いので長さはあまり感じません。30年という長きに渡る壮絶な半生を描いているので、浮き沈みもあり、ジェットコースターのような半生を体感できます。

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/ガイ・ピアース

ラースローの運命を左右する複数の人物には多面性が見え、誰を信じてよいかわからない緊迫感が続きます。生活を立て直せるかということだけではなく、人間の尊厳が保たれるのかという点が最大のテーマとなっており、資本主義社会の闇深さを実感します。

映画『ブルータリスト』フェリシティ・ジョーンズ

キャストには、エイドリアン・ブロディ、フェリシティ・ジョーンズ、ガイ・ピアース、ジョー・アルウィン、ラフィー・キャシディ、アレッサンドロ・ニヴォラ、ステイシー・マーティンといった実力派が名を連ねています。『シークレット・オブ・モンスター』『ポップスター』を手掛けたブラディ・コーベット監督の挑戦的な作品をお見逃しなく。

デート向き映画判定

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ

見応えたっぷりで、215分という長尺なので、デートで観るなら、時間に余裕のある日に本作鑑賞をメインメニューとしてスケジュールをたてましょう。主人公の夫婦関係も描かれていて、カップルで観ると自分達ならどうするかと想像できる部分もあるでしょう。辛い局面もありながら、お互いの存在の大きさを感じさせるシーンも複数あります。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ブルータリスト』フェリシティ・ジョーンズ/ステイシー・マーティン

ティーンの皆さんと同じ世代のキャラクターでいうと、主人公ラースローの姪ジョーフィア(ラフィー・キャシディ)がいます。彼女は移住してきて、右も左もわからない状況な上に、特殊な人間関係のなかで過ごさなければいけない状況になります。それでも自分らしさを失わずに、叔父と叔母を支える姿はお手本になる部分もあるでしょう。

映画『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ/フェリシティ・ジョーンズ/ガイ・ピアース

『ブルータリスト』
2025年2月21日より全国公開
R-15+
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト

映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVED. © Universal Pictures

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『未完成の映画』チン・ハオ/マオ・シャオルイ 未完成の映画【レビュー】

物語の始まりは2019年。10年間、電源が入れられずにいたパソコンを起動し…

映画『サンダーボルツ*』フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス サンダーボルツ*

こりゃ、おもしろい!いろいろ新鮮で…

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M) 『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ ロザリー【レビュー】

自分で作った美しいドレスを身にまとったロザリー(ナディア・テレスキウィッツ)は、父(ギュスタヴ・ケルヴェン)に連れられて…

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー 『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『サスカッチ・サンセット』ジェシー・アイゼンバーグ/ライリー・キーオ 『サスカッチ・サンセット』先行試写会 10名様ご招待

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

映画『ベイビーガール』ニコール・キッドマン ニコール・キッドマン【ギャラリー/出演作一覧】

1967年6月20日生まれ。アメリカ、ハワイ州ホノルル出身。

映画『女神降臨 After プロポーズ編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永 女神降臨 After プロポーズ編【レビュー】

前編となる『女神降臨 Before 高校デビュー編』では、主人公の麗奈がメイクの力でなりたい自分に近づく様子が描かれていました。そして…

映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット ミステリアス・スキン【レビュー】

2004年にグレッグ・アラキ監督により制作された本作は…

映画『リライト』池田エライザ 『リライト』舞台挨拶付き完成披露試写会イベント 5組10名様ご招待

映画『リライト』舞台挨拶付き完成披露試写会イベント 5組10名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  2. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  3. 映画『風たちの学校』

REVIEW

  1. 映画『未完成の映画』チン・ハオ/マオ・シャオルイ
  2. 映画『サンダーボルツ*』フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス
  3. 映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ
  4. 映画『女神降臨 After プロポーズ編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永
  5. 映画『ミステリアス・スキン』ジョセフ・ゴードン=レヴィット

PRESENT

  1. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  2. 映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー
  3. 映画『サスカッチ・サンセット』ジェシー・アイゼンバーグ/ライリー・キーオ
PAGE TOP