REVIEW

ほんとうのピノッキオ

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ほんとうのピノッキオ』フェデリコ・エラピ

これは児童文学として長年愛されているピノキオの物語ですが、私達がよく知るピノキオのお話とはちょっとイメージが異なります。本作は、1883年に出版されたイタリアの作家カルロ・コッローディの「ピノッキオの冒険」に書かれていたピノッキオの本来の姿を描いた作品ということで、そもそも私達がこれまで観てきたピノキオの物語よりも、本作のほうが原作に近いと言えるのかもしれません。
そんな本作は、良い意味での不気味さが満載。人間や擬人化した動物、妖精などさまざまな個性的なキャラクターが登場します。特にコオロギやカタツムリ、魚など擬人化した動物の特殊メイクは精巧で、独特な世界観を放っています。ピノッキオの見た目もすごく精巧に作られていて、こんなにすごい特殊メイクをするクリエイターは誰なのかと気になって公式サイトを見てみると、米アカデミー賞で複数回受賞しているマーク・クーリエという方が担当されていて納得しました。とにかく、どのキャラクターもリアルなので、このダークファンタジーの世界にどっぷりと浸って観ることができます。
そして、ロベルト・ベニーニの演技が久々に観られるのも本作の嬉しいところ。『ライフ・イズ・ビューティフル』を彷彿とさせる切なくておどけた演技も垣間見ることができます。また、ピノッキオがとってもピュアで可愛くて、次々と出くわすハプニングにちゃんと対処できるのか、ハラハラドキドキして観てしまいます。一方で笑えるシーンも織り交ぜられていて、私はカタツムリで遊ぶシーンで爆笑しました。設定もおもしろいのですが、カタツムリ役の俳優さんが上手すぎます(笑)。
ストーリーの大筋は私達がよく知っている内容と共通していますが、「こんな展開あったっけ?」と思うシーンや設定が少し違うシーンもあり、とても新鮮な気持ちで観られます。子どもが観ても楽しいですが、ストーリーはもちろん、美術、衣装、特殊メイクなど芸術的にもこだわりが見える作品となっているので、幅広い層に楽しんでもらえると思います。

デート向き映画判定
映画『ほんとうのピノッキオ』ロベルト・ベニーニ

気まずいことは全くなく、ピノキオは誰でも知っているので、誰を誘っても観やすいと思います。「あれ?私達が子どもの頃に本で読んだり、映画で観たピノキオってどんな話だったっけ?」と思える内容なので、自然に鑑賞後の会話のネタも生まれるでしょう。ついでにお互いの子どもの頃のお話にもなりそうなので、付き合いたてのカップルのデートや初デートで観ても、お互いのことを話すきっかけになって良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ほんとうのピノッキオ』フェデリコ・エラピ

不気味な生き物が登場したりしますが、キッズの皆さんでも大丈夫な程よいテイストで、クセになるかもしれません(笑)。キッズの皆さんでも、ピノッキオと一緒に冒険する感覚で観られるし、ティーンの皆さんもピノキオの物語を懐かしく思いながら楽しめると思います。芸術に興味がある方にも見どころがたくさんあると思うので、いろいろな観方で楽しんでください。友達と観ても楽しいし、親子の物語というところで親子で観るのも良いでしょう。

映画『ほんとうのピノッキオ』ロベルト・ベニーニ/マリーヌ・バクト/フェデリコ・エラピ

『ほんとうのピノッキオ』
2021年11月5日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

copyright 2019 ©ARCHIMEDE SRL – LE PACTE SAS

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『けものがいる』レア・セドゥ 心理学から観る映画53:感情は有害か有用か

『けものがいる』と『シンシン/SING SING』は全く内容は異なるものの、感情の必要性について考えさせられるストーリー…

映画『秋が来るとき』エレーヌ・ヴァンサン/ジョジアーヌ・バラスコ 『秋が来るとき』特別一般試写会 10組20名様ご招待

映画『秋が来るとき』特別一般試写会 10組20名様ご招待

映画『#真相をお話しします』大森元貴/菊池風磨 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年4月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年4月】のアクセスランキングを発表!

映画『未完成の映画』チン・ハオ/マオ・シャオルイ 未完成の映画【レビュー】

物語の始まりは2019年。10年間、電源が入れられずにいたパソコンを起動し…

映画『アンジーのBARで逢いましょう』草笛光子 草笛光子【ギャラリー/出演作一覧】

1933年10月22日生まれ。神奈川県出身。

映画『サンダーボルツ*』フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス サンダーボルツ*【レビュー】

こりゃ、おもしろい!いろいろ新鮮で…

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M) 『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(Mサイズ)2名様 プレゼント

映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ ロザリー【レビュー】

自分で作った美しいドレスを身にまとったロザリー(ナディア・テレスキウィッツ)は、父(ギュスタヴ・ケルヴェン)に連れられて…

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー 『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『サスカッチ・サンセット』ジェシー・アイゼンバーグ/ライリー・キーオ 『サスカッチ・サンセット』先行試写会 10名様ご招待

映画『ファレル・ウィリアムス:ピース・バイ・ピース』ジャパンプレミア試写会 5組10名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『プラダを着た悪魔』アン・ハサウェイ/メリル・ストリープ 元気が出るガールズムービーランキング【洋画編】

正式部員の皆さんに“元気が出るガールズムービー【洋画編】”をテーマに、好きな作品を選んでいただきました。果たしてどんな結果になったのでしょうか?

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『けものがいる』レア・セドゥ
  2. 映画『BETTER MAN/ベター・マン』ジョノ・デイヴィス
  3. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性

REVIEW

  1. 映画『#真相をお話しします』大森元貴/菊池風磨
  2. 映画『未完成の映画』チン・ハオ/マオ・シャオルイ
  3. 映画『サンダーボルツ*』フローレンス・ピュー/デヴィッド・ハーバー/セバスチャン・スタン/ワイアット・ラッセル/オルガ・キュリレンコ/ハナ・ジョン=カーメン/ジュリア・ルイス=ドレイファス
  4. 映画『ロザリー』ナディア・テレスキウィッツ
  5. 映画『女神降臨 After プロポーズ編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永

PRESENT

  1. 映画『秋が来るとき』エレーヌ・ヴァンサン/ジョジアーヌ・バラスコ
  2. 映画『サンダーボルツ*』オリジナル ユニセックスクルーネック(M)
  3. 映画『マリリン・モンロー 私の愛しかた』マリリン・モンロー
PAGE TOP