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劇場アニメ『ベルサイユのばら』【レビュー】

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劇場アニメ『ベルサイユのばら』

REVIEW

1972年から1973年まで「週刊マーガレット」(集英社)で連載され、1974年に宝塚歌劇団により舞台化されたほか、テレビや映画等、映像化作品としても愛されてきた“ベルばら”が、この度50年以上の時を経て、劇場アニメ化されました。池田理代子著の原作漫画は2022年時点で2000万部を突破しており、長らく愛され続けていることがわかります。

劇場アニメ『ベルサイユのばら』

本作の舞台は18世紀後半、マリー・アントワネットが、フランスとの同盟を結ぶためにオーストリアからフランスのベルサイユへ嫁いできた時点から始まります。そして、マリー・アントワネットをそばで守るよう任命されたのが、オスカル・フランソワ・ド・ジャルジェです。オスカルは将軍家の血を引く貴族の家系に女性として生まれながら、跡継ぎとなる息子として育てられた男装の麗人です。本作では、時代に翻弄される2人の女性、オスカルとマリー・アントワネットの生き様が描かれています。

劇場アニメ『ベルサイユのばら』

実は、“ベルばら”は以前から知っていたものの、原作漫画を読んだり、映像化作品を観たことはなく、本作で初めてストーリーを知りました。オスカルというキャラクターはとても現代的で、時代が作品に追いついたといっても過言ではないでしょう。そして、オスカルは見た目に美しいだけではなく、強く誠実でとても優しい人間です。また、息子として育てられる一方で、女性としての幸せとの間で葛藤する姿にも惹かれます。オスカルってこういうキャラクターだったのかと知ると、長らく“ベルばら”が愛されてきた所以にもすごく納得がいきます。

劇場アニメ『ベルサイユのばら』

マリー・アントワネットは実在の人物なので、歴史の授業などから持っていた印象もありつつ、彼女もまた出生と時代に翻弄されて苦しみながら生きた女性という点では共感できるところがあります。オスカルは自立した人間として生きたいと願う女性の理想、マリー・アントワネットは自由を奪われた女性の現実という対称的な存在として観ることもできると思います。

劇場アニメ『ベルサイユのばら』

本作は、フランス革命へと繋がるストーリーで、マリー・アントワネットやハンス・アクセル・フォン・フェルゼンなど実在の人物と史実を基に、オスカルなど創造されたキャラクターを登場させて描かれた人間ドラマです。フランス革命という激動の時代が舞台になっている点でも見応えがあり、オスカルやマリー・アントワネット以外のキャラクター達のそれぞれのドラマにも引き込まれます。だいぶ遅ればせながら、私はこの沼にハマりそうです(笑)。他の“ベルばら”系作品にも手を伸ばしてみたいと思います。既に“ベルばら”ファンの方も、まだ全く触れたことがない方も、まずは本作を観てみてください。

デート向き映画判定

劇場アニメ『ベルサイユのばら』

複数の恋愛模様が描かれ、とてもロマンチックな作品なので、デートで観るのもオススメです。とはいえ、意外に恋愛ばかりではなく、女性の生き様が中心に描かれているので、恋愛ものが苦手という方でも楽しめるはずです。王族や貴族の恋愛という点で一定の距離感を持って観られる点でも気まずくなることはないでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

劇場アニメ『ベルサイユのばら』

50年以上も愛されてきた作品なので、世代を超えて楽しめるということは既に証明されているといえるでしょう。皆さんは今授業で習っていたり、最近習ったばかりのフランス革命あたりの時代が物語の舞台になっています。実在の人物も登場するので、本作を観ると、史実のほうにも興味が湧くと思います。娯楽と勉強を兼ねて観てみてはどうでしょうか。

劇場アニメ『ベルサイユのばら』

劇場アニメ『ベルサイユのばら』
2025年1月31日より全国公開
TOHO NEXT、エイベックス・ピクチャーズ
公式サイト

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© 池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会

TEXT by Myson


関連作

「ベルサイユのばら」池田理代子 著/集英社
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