REVIEW

グロリアス 世界を動かした女たち

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『グロリアス 世界を動かした女たち』ジュリアン・ムーア

女性解放運動の先駆者、グロリア・スタイネムの実話を基に描かれた本作は、グロリアの幼少期から晩年を通して、ユニークな演出で振り返る内容となっています。彼女のアイデンティティは、両親の価値観や生き方から受け継いでいると思われるところが多々あり、父親、母親の背景もとても印象深く綴られています。少し変わった家庭にも見えるし、グロリア自身が苦労するところもありますが、父親も母親もそれぞれの愛し方、励まし方でグロリアを支えている姿にグッとくるものがあります。
また、女性蔑視が今よりもっと根深かった時代に、セクハラやパワハラに負けず、ジャーナリストとしての地位を確立していく姿はとても勇敢でカッコ良いです。そして、そんな世の中に対するグロリアの抵抗が徐々に個人的なものから社会的なものに発展していく背景には、他にもグロリアのように社会に立ち向かう女性達がいて、観ているこちらも励まされるところがあります。さらに、同じ女性として女性解放運動を共にしていても、性差別以外に人種の問題なども絡んできます。本作は、女性解放運動家の美談だけを映しているわけではなく、その先にまだある根深い問題もしっかり描いている点でとても好感が持てます。
女性がどんな歴史を歩んできたのかを知ることができる作品であるのはもちろん、私は個人的に、両親とのストーリー、彼女の仕事に対する姿勢やポリシー、そしてそこからブレない強さ…、あらゆる面で心に刺さりまくりました。「私達は好きなように生きて良いんだ」と、とても勇気づけられる内容です。多様性に目を向けられてきたこの時代に、性別も人種も年齢も問わず多くの方に観て欲しい1作です。

デート向き映画判定
映画『グロリアス 世界を動かした女たち』アリシア・ヴィキャンデル

女性が共感するのはもちろんですが、性別を問わず気付かされることが多くあると思います。性差別はテーマの1つではありますが、それだけを描いている作品ではないので、自分の心を解放する気分で観て欲しいと思います。夢を追う方や自分が望む仕事に就いている方にも共感ポイントが多いので、それぞれの夢や仕事への情熱を語りあう機会にもできそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『グロリアス 世界を動かした女たち』ジュリアン・ムーア

人前で話すことが苦手なグロリアが、インタビューやスピーチ時にかけられる心ない言葉にどう切り返しているかという点や、社会的に強い立場にいる人から圧力をかけられた時にどう考えるかなど、考え方や生き方がとてもカッコ良くて、勉強になる部分が多くあります。これは社会人に限らず、学校生活を送る皆さんにも通じるところがあると思います。女性解放運動については、中学生くらいになってから観るほうが社会的、歴史的背景をわかった上で観られると思いますが、若い皆さんにもぜひ観て欲しいです。

映画『グロリアス 世界を動かした女たち』ジュリアン・ムーア/アリシア・ヴィキャンデル/ジャネール・モネイ

『グロリアス 世界を動かした女たち』
2022年5月13日より全国順次公開
キノシネマ
公式サイト

© 2020 The Glorias, LLC

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ ウォンカとチョコレート工場のはじまり

ワクワクさせる冒頭シーンからグッとハートを掴まれて…

映画『あの花が咲く丘で、 君とまた出会えたら。』福原遥/水上恒司 あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。

本作のヒロイン百合(福原遥)は、1945年の日本にタイムスリップしてしまい…

映画『正欲』稲垣吾郎 イイ俳優セレクション・アクセスランキング【2023年11月】

“イイ俳優セレクション”【2023年11月】のアクセスランキングを発表!

映画『Winter boy』ポール・キルシェ Winter boy

同性愛者の17歳の青年リュカは、父を事故で亡くしたことをきっかけに、心の中で何かがプツッと切れてしまったような状況に陥ります。そんななか…

ドラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』中島セナ/奥平大兼 『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』配信記念ワールドプレミア 10組20名様ご招待

ドラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』配信記念ワールドプレミア 10組20名様ご招待

映画『ティル』ダニエル・デッドワイラー/ジェイリン・ホール ティル

1955年、アメリカ、ミシシッピ州のマネーで、アフリカ系アメリカ人の14歳の少年エメット・ティルが殺害された事件を映画化…

映画『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』片岡愛之助 片岡愛之助【プロフィールと出演作一覧】

1972年3月4日大阪府生まれ。1977年、松竹芸能子役オーディションに合格し…

映画『窓ぎわのトットちゃん』 窓ぎわのトットちゃん

原作者である黒柳徹子自身の幼少期を綴った自伝的小説…

映画『イコライザー THE FINAL』ダコタ・ファニング ダコタ・ファニング【プロフィールと出演作一覧】

1994年2月23日生まれ。アメリカ、ジョージア州コンヤーズ出身。幼少期からテレビドラマやCMに出演。2001年、映画『I am Sam アイ・アム・サム』に出演し…

映画『ウィッシュ』 ウィッシュ

ディズニー100周年を飾る本作には、まさにディズニーが100年間掲げてきた…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』 トーキョー女子映画部正式部員が推す!今観ているアニメシリーズ特集

今回はトーキョー女子映画部正式部員の方々に、「今観ているオススメのアニメシリーズ」について、聞いてみました。

映画『インファナル・アフェア 4K』アンディ・ラウ/トニー・レオン あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『インファナル・アフェア』

今回は『インファナル・アフェア』のラウ役のアンディ・ラウとヤン役のトニー・レオンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに考えていただきました。今回はどんなキャスティング案が挙がったのでしょうか?

映画『ヒッチコックの映画術』アルフレッド・ヒッチコック 映画好きが選んだアルフレッド・ヒッチコック監督人気作品ランキング

アルフレッド・ヒッチコックが監督をした作品(1950年以降に制作された作品)について正式部員の皆さんに投票いただきランキングを作成しました。名作揃いのなか、どの作品が1位となったのでしょうか?

TSUTAYA TV

REVIEW

  1. 映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ
  2. 映画『あの花が咲く丘で、 君とまた出会えたら。』福原遥/水上恒司
  3. 映画『Winter boy』ポール・キルシェ
    Winter boy

  4. 映画『ティル』ダニエル・デッドワイラー/ジェイリン・ホール
    ティル

  5. 映画『窓ぎわのトットちゃん』

PRESENT

  1. ドラマ『ワンダーハッチ -空飛ぶ竜の島-』中島セナ/奥平大兼
  2. 映画『ファースト・カウ』ジョン・マガロ
  3. 映画『バービー』マーゴット・ロビー/ライアン・ゴズリング
PAGE TOP