REVIEW

きっと、それは愛じゃない【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『きっと、それは愛じゃない』リリー・ジェームズ/シャザド・ラティフ

REVIEW

時代は変わっても、「恋愛と結婚は別か?」「愛がなくても結婚できるのか?」という問いはずっと存在しています。この難題に1つの答えを提示するのが本作です。
ドキュメンタリー映画の監督である主人公のゾーイ(リリー・ジェームズ)は、良い恋愛関係に恵まれずにいました。一方、幼馴染みのカズ(シャザド・ラティフ)は、家族のためにお見合い結婚をすると宣言。愛がなくても結婚ができるのか疑問を持ったゾーイは、カズのお見合い結婚を題材にドキュメンタリー映画の新作を撮ることにします。
本作は『アバウト・タイム』『ラブ・アクチュアリー』『ブリジット・ジョーンズの日記』のプロデューサーが手掛けています。となると、だいたいどんな映画か想像できる方も多いはず。だから、ハラハラしながらも最後は何らかの形でハッピーになれるという安心感を持ちながら観られます。そして、「愛がなくても結婚できるのか?」という問いへの答えが用意されてはいるものの、視点を限定していない点で共感できると思います。つまり、「そんな単純な問題ではない」ということにはなりますが(笑)、複数のキャラクターの立場から描いているので、観る側に解釈の余地を与えているといえます。
世代間の結婚観の違いも本作のテーマの1つです。ゾーイは母のキャス(エマ・トンプソン)から、結婚を急かされるだけでなく、子どもを産めるリミットについても釘を刺されます。女性の妊孕能(にんようのう=妊娠する力)に年齢の限界があることは事実であるだけに、“今でなくいつか”は子どもが欲しいと考えている女性にとっては耳が痛い話です。そして、親の気持ちも完全には無視できないのが辛いところですよね。本作ではゾーイの葛藤はもちろん、カズは宗教的、民族的な価値観に沿って、お見合い結婚に挑みます。だから、性別を問わず、家族関係と自分自身の恋愛で悩んでいる方は、本作を客観的に観ることで自分なりの答えを出せるかもしれません。

デート向き映画判定

映画『きっと、それは愛じゃない』リリー・ジェームズ/シャザド・ラティフ

お見合い結婚の是非が議論されるので、お見合い結婚の夫婦や、最初に恋愛関係はなく結婚を前提に愛を育成中の方は、少し複雑な気持ちになるかもしれません。一方、ずっと煮え切らないでいる友達以上恋人未満の2人は、決着をつけるきっかけにするつもりで観るのもありでしょう。一緒に観る前に、まず自身の恋愛観を整理したい方は、1人でじっくり観るのもアリですね。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『きっと、それは愛じゃない』シャザド・ラティフ/シャバナ・アズミ

キッズやティーンの皆さんは、「愛がなくても結婚できるのか?」なんて、まだ考えずに自由に伸び伸びと恋愛をすれば良いと個人的には思います。ただ、恋愛経験の蓄積が、将来の恋愛観や恋愛態度に影響する可能性は否めないので、自分の恋愛観を探るために本作を参考にしても良さそうです。

映画『きっと、それは愛じゃない』リリー・ジェームズ/シャザド・ラティフ

『きっと、それは愛じゃない』
2023年12月15日より全国公開
キノフィルムズ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2022 STUDIOCANAL SAS. ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2023年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • イイ俳優セレクション/エマ・トンプソン(後日UP)
  • イイ俳優セレクション/リリー・ジェームズ(後日UP)
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司 九龍ジェネリックロマンス【レビュー】

“ジェネリックロマンス”という要素から何を期待するのか、そして本作で描かれる“ジェネリックロマンス”をどう受け取るのかは…

映画『ユニバーサル・ランゲージ』 ユニバーサル・ランゲージ【レビュー】

本作の舞台は、ペルシャ語とフランス語を公用語とする架空の世界のカナダ・ウィニペグで…

映画『ヒックとドラゴン』ニコ・パーカー ニコ・パーカー【ギャラリー/出演作一覧】

2004年12月9日生まれ。イギリス出身。

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合 『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成披露試写会 15組30名様ご招待

映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』完成披露試写会 15組30名様ご招待

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ パルテノペ ナポリの宝石【レビュー】

イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が初めて女性を主人公にして撮った本作の物語は、1950年にパルテノペが生まれるところから…

映画『8番出口』二宮和也 8番出口【レビュー】

観始めてスゴい設定だと驚き、何から何まで巧く作られていて…

映画『ムガリッツ』 『ムガリッツ』トークイベント付き特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『ムガリッツ』トークイベント付き特別先行試写会 5組10名様ご招待

映画『太陽がいっぱい』アラン・ドロン アラン・ドロン【ギャラリー/出演作一覧】

1935年11月8日生まれ。フランス出身。

映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チョ・ジョンソク/イ・ソンギュン 大統領暗殺裁判 16日間の真実【レビュー】

1979年10月26日、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されました。本作は、その暗殺事件に関わったメンバーのうち、軍人だったために唯一軍法裁判にかけられたパク・テジュ(イ・ソンギュン)と…

映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』 『Pacific Mother パシフィック・マザー』一般向けオンライン試写会 10名様ご招待

映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』一般向けオンライン試写会 10名様ご招待

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スーパーマン』デイビッド・コレンスウェット 映画好きが選んだDCコミックス映画ランキング

今回は正式部員の皆さんに好きなDCコミックス映画について投票していただきました。“スーパーマン”や“バットマン”など人気シリーズが多くあるなか、上位にはどんな作品がランクインしたのでしょう?

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』トム・クルーズ 映画好きが選んだトム・クルーズ人気作品ランキング

毎度さまざまな挑戦を続け、人気を博すハリウッドの大スター、トム・クルーズ。今回は、トム・クルーズ出演作品(日本劇場未公開作品を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『シークレット・アイズ』キウェテル・イジョフォー/ジュリア・ロバーツ /ニコール・キッドマン 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.5

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  2. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ
  3. 映画『We Live in Time この時を生きて』フローレンス・ピュー/アンドリュー・ガーフィールド

REVIEW

  1. 映画『九龍ジェネリックロマンス』吉岡里帆/水上恒司
  2. 映画『ユニバーサル・ランゲージ』
  3. 映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ
  4. 映画『8番出口』二宮和也
  5. 映画『大統領暗殺裁判 16日間の真実』チョ・ジョンソク/イ・ソンギュン

PRESENT

  1. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』吉永小百合
  2. 映画『ムガリッツ』
  3. 映画『Pacific Mother パシフィック・マザー』
PAGE TOP