REVIEW

燃ゆる女の肖像

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『燃ゆる女の肖像』アデル・エネル

女性の生き方に選択肢がなく、本当の姿を隠し、激しく燃える恋も押し殺して生きていた時代。ほんの束の間だけ自由を得た女性達が、活き活きと過ごす姿がとても輝いて見えると同時に、その後に待っている運命がわかっているだけに、切なさが倍増します。肖像画を描くという行為を通して、ノエミとアデルの心の変化を表す物語と演出も見事。自分の気持ちに正直になりたい反面、そのことで愛の大きさを知れば手放す辛さに耐えられなくなる…。そんな葛藤で揺れる気持ちをギリシャ神話になぞらえたセリフにも、ノエミとアデルの嘆きと覚悟が投影されていて、印象に残ります。映像そのものも絵画のようで、1シーン1シーンが目に焼き付きます。さらにラストがなんとも切ないですが、愛の火が消えていないことを絶妙に表現していて、余韻を残します。

デート向き映画判定
映画『燃ゆる女の肖像』アデル・エネル/ノエミ・メルラン

好きになってもどうにもならないとわかっていても止められない気持ちとはどんなものかが伝わってくるので、マンネリカップルは、付き合いたてのフレッシュな気持ちを思い出す良い刺激になるかもしれません。アツアツのカップルが観れば、本作のロマンチックで情熱的なムードに感化されて、一層気持ちが盛り上がりそうです。映像もストーリーもとても美しいので、良いムードで観られるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『燃ゆる女の肖像』アデル・エネル

キッズにはまだピンとこないかもしれませんが、ティーンなら恋愛部分以外でも、親に従わなければいけない状況など、共感できるところがありそうです。また女子3人だけで過ごす気ままな日々がとてもキラキラしていると同時に、数日という短い期間にいろいろなことを経験し、一気に大人になっていく姿は、思春期の皆さんにとっても身近に感じられると思います。芸術や文学に興味がある人には特に刺さる内容だと思います。

映画『燃ゆる女の肖像』アデル・エネル

『燃ゆる女の肖像』
2020年12月4日より全国公開
PG-12
ギャガ
公式サイト

© Lilies Films

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『悪い夏』北村匠海 『悪い夏』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『悪い夏』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『ゆきてかへらぬ』広瀬すず/木戸大聖/岡田将生 ゆきてかへらぬ【レビュー】

鈴木清順監督の大正浪漫三部作といわれる『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』『夢二』や、相米慎二監督の『セーラー服と機関銃』などを手掛けた名脚本家、田中陽造のオリジナル脚本『ゆきてかへらぬ』は…

映画『奇麗な、悪』瀧内公美 奇麗な、悪【レビュー】

中村文則による原作「火」を映画化した本作は…

映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』アンソニー・マッキー キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド【レビュー】

ファルコンことサム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)は、元祖キャプテン・アメリカのスティーブ・ロジャース(クリス・エヴァンス)から盾を託され…

映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』 ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-【レビュー】

2017年9月に始動した音楽原作キャラクターラッププロジェクト“ヒプノシスマイク”は…

映画『ファーストキス 1ST KISS』松たか子 松たか子【ギャラリー/出演作一覧】

1977年6月10日生まれ。東京都出身。

映画『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』アリシア・ヴィキャンデル/ジュード・ロウ ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻【レビュー】

REVIEW政治的手腕を発揮しながらも、暴君としてイギリス史に悪名を刻んだヘンリー8世には…

映画『聖なるイチジクの種』ソヘイラ・ゴレスターニ/マフサ・ロスタミ/セターレ・マレキ 聖なるイチジクの種【レビュー】

REVIEWイランでは2022年に、ある若い女性がヒジャブ(髪の毛を覆う布)を付けておらず…

映画『コメント部隊』ソン・ソック コメント部隊【レビュー】

情報社会になった現代、大きな組織による世論操作が行われているのではないかと…

映画『リアル・ペイン〜心の旅〜』キーラン・カルキン キーラン・カルキン【ギャラリー/出演作一覧】

1982年9月30日生まれ。アメリカ出身。

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』トム・ホランド/ゼンデイヤ 映画好きが選ぶマーベル映画ランキング

2025年もマーベルシリーズ最新作が公開されます。そこでこれまでのマーベルシリーズも合わせて盛り上げたいということで、ランキングを実施しました。

映画『ベルヴィル・ランデブー』 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.3

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダーほか トーキョー女子映画部が選ぶ 2024年ベスト10&イイ俳優MVP

毎年恒例のこの企画では、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

REVIEW

  1. 映画『ゆきてかへらぬ』広瀬すず/木戸大聖/岡田将生
  2. 映画『奇麗な、悪』瀧内公美
  3. 映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』アンソニー・マッキー
  4. 映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』
  5. 映画『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』アリシア・ヴィキャンデル/ジュード・ロウ

PRESENT

  1. 映画『悪い夏』北村匠海
  2. 映画『ロングレッグス』マイカ・モンロー
  3. 映画『TATAMI』アリエンヌ・マンディ
PAGE TOP