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マイ・エレメント【レビュー】

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映画『マイ・エレメント』

本作は、地球の万物を構成する四元素とされる、火、水、土、風(空気)をモチーフにしたユニークなストーリーです。“火”の夫婦が、四元素が共存するエレメント・シティにやってくる冒頭のシーンではそれぞれのエレメントの特徴がとてもわかりやすく描かれていています。同時に火と水は正反対の存在で、さらに水は火をすぐに消せる存在であることが印象付けられます。本作はそんな“火”と“水”が主人公の物語です。
“火”のエンバーと“水”のウェイドが出会い、その2人の若者が恋愛や将来を考える姿を描いた本作は、美しいシーンが印象的で、描写がとてもユニークです。ピクサーの擬人化のセンスには毎度驚かされます。そして、エモーショナルでドラマチックな展開もあります。だから純粋に可愛いキャラクター達のストーリーを楽しむスタンスもアリでしょう。
ただ一方で、観ようによってはとても社会風刺が効いたストーリーでもあります。“火”のエンバーと“水”のウェイドは境遇も全く異なる点で、本作の四元素は、人間でいう人種の違いの比喩とも捉えられるし、階層の違いの比喩とも捉えられます。“水”のウェイドの家庭が裕福で、“火”のエンバーが移民の家庭という設定は、社会的な立場の強弱を象徴しているようにも見えます。“水”は“火”を簡単に消せるという立場、“火”も状況によっては“水”を無力にさせられる立場という性質も、ある意味社会構造の比喩です。そんな立場を示しながら、お互いが歩み寄ることができる可能性を描いているのが本作です。皆さんもさまざまな解釈でお楽しみください。

デート向き映画判定
映画『マイ・エレメント』

家族の物語でありながら、想像以上にラブストーリー要素が多く含まれています。大きな障壁のある状況で交際しているカップルは余計に共感できるでしょう。美しいシーンが多く、ショーを観ているような感覚も味わえるので、一緒にワクワクできます。初デートでも気楽に楽しめますよ。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『マイ・エレメント』

四元素はまったく異なる性質を持ちながら、どれも地球に欠かせません。本作は、四元素を擬人化したストーリーにすることにより、私達人間も皆それぞれに欠かせない存在であることを主張しているのでしょう。四元素は本作の他にもさまざまな作品でモチーフとされています。四元素を取り入れた占いもあります。その四元素がそれぞれどんな役割を持ったキャラクターになっているのか観てみてください。観ようによっては、学校の勉強にも少し通じるところがあるかもしれません。

映画『マイ・エレメント』

『マイ・エレメント』
2023年8月4日より全国公開
ウォルト・ディズニー・ジャパン
公式サイト

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©2023 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

TEXT by Myson

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  2. 映画『IMMACULATE 聖なる胎動』シドニー・スウィーニー
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  5. 映画『逆火』北村有起哉

PRESENT

  1. 映画『スーパーマン』オリジナルトートバッグ
  2. 映画『雪風 YUKIKAZE』竹野内豊
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