REVIEW
ちょうど今から50年前の今日、1975年10月24日に、アイスランドで全女性の90%が仕事や家事を休むことで男女平等を主張した「女性の休日」というムーブメントがありました。「女性の休日」は、女性がいなければ社会は回らないと証明するためのいわゆるストライキです。

当時、女性が就ける職業や役職は限られていて賃金は低く、そもそも女性は専業主婦になるのが当然というイメージが定着しており、さらに専業主婦は家で楽をしているように誤解されていたといいます。でも、中心となって活動していた女性達は、家事や子育てで疲弊している母親達の姿をみて育ち、世の中の誤解を解こうと工夫を凝らした主張をしていきます。他にも男性社会で女性が軽んじられている実態に抗議する様子が収められています。

とにかく、さまざまな困難を乗り越え、ムーブメントを牽引した女性達の行動力には頭が下がります。同時に、声かけに賛同した女性達が勇気を振り絞り参加したことで実現したこのムーブメントは、やはり名も無き一人ひとりの行動が大事だということを証明しています。メールやSNSもない時代に、国中の女性に呼びかけ、約9割の女性が参加するよう鼓舞できたのは本当に奇跡です。本作を観ると、本気になった人は強いなと思えるし、自分達で変えられると信じる力の威力を実感します。なぜ“休日”という言葉を使ったのかも気になるところでしょう。これはさまざまな困難を乗り越えるためのいち工夫です。その背景はぜひ本編でご覧ください。

本編の最後に、当時ムーブメントを牽引した中心人物のその後が報告されています。たとえば、「ヴィグディス・フィンボガッティル氏が、選挙で民主的に選ばれた世界初の女性大統領に就任」(映画公式資料)など、“女性初の○○”として各界で道を切り拓いてきた方の功績に希望をもらえます。「女性の休日」を発起したアイスランドが引き続き男女平等に向けて取り組み続けていることもわかります。女性にはもちろん、老若男女問わず観て欲しい1作です。
デート向き映画判定

男女間の考え方の違いもあれば、女性同士でも考え方の違いがあります。さまざまな価値観を持っている方が同じ方向を向いて行動する難しさも描かれているので、仕事や家庭、友人関係など、あらゆる場面に紐付けて考えられる内容といえます。ぜひデートでも観てみてください。
キッズ&ティーン向き映画判定

性別による違いには、さまざまな観点があり、国や時代はもちろん、家庭ごとでも異なります。どちらがよいという話は置いておき、まずは外の世界を知る機会に観て欲しいと思います。また、本作では、女性の権利のみを主張しているのではないし、男性を敵視しているわけでもなく、ただ平等を求めているのだと主張されています。表面的な部分をすくい上げて対立するのではなく、各々の主張の意図を理解し、歩み寄れるところがないかを考えることが、解決に繋がる事例も見られます。

『女性の休日』
2025年10月25日より全国順次公開
kinologue
公式サイト
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© 2024 Other Noises and Krumma Films.
TEXT by Myson
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情報は2025年10月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。



























