REVIEW

死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』アウグスト・ディール

REVIEW

ヨーゼフ・メンゲレは、実在したナチス・ドイツの親衛隊大尉であり、人類学者、医師です。メンゲレは、第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ強制収容所で残虐な人体実験を行い、“死の天使”と呼ばれ恐れられていました。本作は、史実に基づきながら創作が加えられた「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」(2017)でルノードー賞を受賞したオリヴィエ・ゲーズの小説を原作としています。なお、オリヴィエ・ゲーズは本作で、キリル・セレブレンニコフ監督と共に脚本を担当しています。

映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』アウグスト・ディール

本作は、メンゲレの現役時代ではなく、逃亡中に焦点を当てています。本作の背景やキリル・セレブレンニコフ監督の意図について、映画公式資料では以下のように述べられています。

戦争犯罪人は、終戦後にどんな運命をたどるのか?“神の正義”というものは存在するのか?人は最終的に、自らの過去の報いを受けるのか?——そうした問いに、私は昔から強い関心を持ってきました。
カルマ、罰、正義は私にとって常に重要なテーマです。そして、「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」は非常に綿密な調査に基づいていると同時に、こちらの想像力を刺激する部分も持っています。たとえば、メンゲレと息子の再会については記録も証人も存在しないため、実際はどのようなものだったか分かっていません。こういった余地があるおかげで、彼らがどのような言葉を交わしたのかなどは、自由かつ創造的に膨らませていくことができました。(映画公式資料)

映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』ブルクハルト・クラウスナー

ヨーゼフ・メンゲレは、ヒトラーが自死し第二次世界大戦に幕が引かれると、偽名を使って国外を転々とし長期にわたり逃亡を続けます。前述のセレブレンニコフ監督の言葉にあるように、息子との対話は創作された部分ですが、誰もがメンゲレにぶつけたかったであろう問いを代弁してくれています。

映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』アウグスト・ディール

また、セレブレンニコフ監督は「ハンナ・アーレントが見出した『悪の凡庸さ』という概念」が頭にあったとしながらも、「ただ、はっきりさせておきたいのは、彼への同情を誘う意図は断じてないということです。メンゲレに対する憐れみなど、あってはならない」と語っています。ユダヤ人哲学者のハンナ・アーレントの実話を描いた『ハンナ・アーレント』では、ナチス戦犯アドルフ・アイヒマンの裁判が取り上げられていますが、観てわかるとおり、ナチス戦犯を許そうとするものではなく、なぜこうした悲劇が起こるのかを知る上で人間の不可解な部分から目を逸らしてはいけないということだと感じます。

ヨーゼフ・メンゲレについては、迫害を受けてもなお生き延びた被害者側の目線で描く『メンゲレと私』も合わせて観ると、どんな人物だったかがよりわかります。メンゲレにとって生涯戦争が終わらなかったのと同様に、私達も忘れてはいけない歴史です。

デート向き映画判定

映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』アウグスト・ディール

テーマが重く、一部衝撃が強いシーンも出てくるため、デートには向いていません。ただし、2人とも関心があれば、一緒に観て話すことは有意義だと思います。学校の授業で学んだ基本的知識があれば理解できる内容ではあるものの、同じナチス戦犯として名前が挙がるアドルフ・アイヒマンについては、事前に調べておくと理解しやすくなるでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』ブルクハルト・クラウスナー

ヨーゼフ・メンゲレは、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの支配下で、アウシュヴィッツ収容所に連れてきたユダヤ人達を、ガス室に送り毒ガスで殺害するか、労働させるかを判別したり、残酷な人体実験を行っていた実在の人物です。ナチス・ドイツは、優生思想のもとユダヤ人を大量虐殺しました。こうした思想がいかに危険か、本作を機に知ってください。

映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』アウグスト・ディール

『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』
2026年2月27日より全国公開
R-15+
トランスフォーマー
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2024 CG CINÉMA / HYPE STUDIOS / LUPA FILM / CG CINEMA INTERNATIONAL / BR / ARTE FRANCE CINEMA

TEXT by Myson


関連作

「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」オリヴィエ・ゲーズ 著/東京創元社・創元ライブラリ
Amazonで書籍を購入する

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2026年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『プラダを着た悪魔2』来日スペシャルイベント:メリル・ストリープ メリル・ストリープ【ギャラリー/出演作一覧】

1949年6月22日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』穂志もえか Never After Dark/ネバーアフターダーク【レビュー】

『忍びの家 House of Ninjas』で、主演、プロデューサーを務めた賀来賢人と、ショーランナー、脚本と監督を務めたデイヴ・ボイルは、映像製作会社“SIGNAL181”を共同で立ち上げ…

映画『ゼイ・ウィル・キル・ユー』ザジー・ビーツ ザジー・ビーツ【ギャラリー/出演作一覧】

1991年6月1日生まれ。ドイツ出身。

Prime Original ドラマシリーズ 『クロエマ』杉咲花/多部未華子 『クロエマ』キャスト登壇!配信直前記念イベント 5組10名様ご招待

ドラマ『クロエマ』配信直前記念イベント 5組10名様ご招待

映画『箱の中の羊』綾瀬はるか/大悟(千鳥)/桒木里夢 箱の中の羊【レビュー】

「人間とは何か」という問いから、“存在意義”への答えを出そうとするストーリーです…

映画『名無し』佐藤二朗 名無し【レビュー】

佐藤二朗が演じる主人公が本当に怖い。でも、主人公の狂気は、見方を変えると…

映画『口に関するアンケート』板垣李光人/綱啓永/吉川愛/MOMONA(ME:I)/ 森愁斗(BUDDiiS) /西山智樹(TAGRIGHT) 『口に関するアンケート』プレミア 試写会プレゼント 10名様ご招待

映画『口に関するアンケート』プレミア 試写会プレゼント 10名様ご招待

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』 スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー【レビュー】

“スター・ウォーズ”シリーズの映画としては7年ぶりとなる本作の舞台は、帝国が崩壊した後、無法地帯と化した銀河…

映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』来日ジャパンプレミア:ペドロ・パスカル(マンダロリアン役)、ジョン・ファヴロー(監督・プロデューサ―・共同脚本) 会場にいる皆の目がハートマークに『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』ペドロ・パスカル、ジョン・ファヴロー監督&グローグー来日ジャパンプレミア

『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』の劇場公開を目前にして、主演のペドロ・パスカルとジョン・ファヴロー監督が来日…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

【映画でSEL】イメージイラストドアの奥に草原 セルフ・モニタリングとモデリングの機会となる映画鑑賞(論文紹介)&映画でSELラボOPEN!

株式会社TSトーキョーは、映画でSELラボをオープンしました!

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集!
  2. 【映画でSEL】イメージイラストドアの奥に草原
  3. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』穂志もえか
  2. 映画『箱の中の羊』綾瀬はるか/大悟(千鳥)/桒木里夢
  3. 映画『名無し』佐藤二朗
  4. 映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』
  5. 映画『マテリアリスト 結婚の条件』ダコタ・ジョンソン

PRESENT

  1. Prime Original ドラマシリーズ 『クロエマ』杉咲花/多部未華子
  2. 映画『口に関するアンケート』板垣李光人/綱啓永/吉川愛/MOMONA(ME:I)/ 森愁斗(BUDDiiS) /西山智樹(TAGRIGHT)
  3. 映画『ダイヤモンド 私たちの衣装工房』
PAGE TOP