REVIEW
パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが、監督、脚本、主演を務める本作は、フランスで『最強のふたり』の記録を大きく塗り替え、フランス映画史上歴代2位の大ヒットを飛ばしました。アルテュス監督は本作制作の意図を以下のように述べています。

私はずっと、知的障がいのある人たちがどんなことができるのかを描きたいと思っていました。彼らは、他ではなかなか出会えないような素晴らしい想像力や、魔法のような魅力、時に突拍子もない一面を持っています。私は彼ら“と”映画を作りたかったのであって、彼らに“ついて”の映画を作りたかったわけではありません。/障がいそのものがテーマではないんです。(映画公式資料)

キャストは、Instagramで募集をかけ「特に条件は設けず、どんな障がいも排除せず、ただ『個性』がある人を探し(中略)、彼ら同士の相性が良く、最高のチームを作れることが必要」と考え、50人ほどの候補者に会ったそうです(映画公式資料)。本作では11名がメインキャストに起用され、個性を発揮しのびのびとした演技を披露しています。

タイトルにある通り、本作は「泥棒のゆかいな逃避行」を描いています。主人公のパウロ(アルテュス)と父のラ・フレーズ(クロヴィス・コルニアック)は宝石店で強盗を働いた後、逃走の手段としてとっさに障がいのある若者達がサマーキャンプに向かうバスに飛び乗ります。なぜバスに乗り込めたかというところからユニークな設定が施されていて、パウロとラ・フレーズが別の意味で逃れられない状況に陥ったことが、最終的に予想していなかった幸福に繋がっていきます。

サマーキャンプに参加する若者達はピュアで真っ直ぐだからこそ、パウロ達の嘘は通じません。そして、彼等はお互いに愛情いっぱいに接しているからこそ、パウロ達を変えていきます。決まった枠にハマらず自然体で過ごす若者達の姿は観ていて清々しく、きっと観る方の心をほぐしてくれるでしょう。
デート向き映画判定

サマーキャンプに参加する若者達は、思ったことを何でもそのまま口にします。でも、口の悪さも愛嬌という感じで不思議とホッコリさせられます。多少恋愛模様も出てきますが、気まずくなるほどではありません。ただ、仕事かパートナーかという選択を迫られている状況だと自分達に置きかえて観てしまう展開があります。場合によっては、1人でじっくり観るほうが良いでしょう。
キッズ&ティーン向き映画判定

主人公のパウロは、障がいを持つ若者達に紛れ込むために彼等の真似をしようとします。でも、皮肉にもすぐに見破られてしまいます。本当の自分を徐々に見せることによって、パウロは彼等と仲間になり、今までとは違う人生を考え始めます。本作には「なるようになるさ」という気楽さがあり、お互いを認める優しさがあります。障がいの有無にかかわらず、わかり合える仲間の大切さを知る機会にしてもらえると嬉しいです。

『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』
2025年12月26日より全国公開
東和ピクチャーズ
公式サイト
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TEXT by Myson
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