REVIEW

そして彼女たちは【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク/エルザ・ウーベン/ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル/サミア・イルミ

REVIEW

『ロゼッタ』(1999)、『ある子供』(2005)でカンヌ国際映画祭パルムドール大賞を受賞したほか、数多くの名作を生み続けている、ジャン=ピエール・ダルデンヌ監督とリュック・ダルデンヌ監督(以下、ダルデンヌ兄弟)が選んだ今回の主人公は、若き母親達です。本作には、それぞれに異なる問題を抱えた5人の母親が登場します。

映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク

ダルデンヌ兄弟ははじめ、一人の若い母親を主人公とした脚本のリサーチを目的に、リエージュ近郊の母子支援施設を訪れたといいます。でも、研修生が撮影した「共同生活の一部を記録した短いレポート映像をきっかけに、私たちは改めてこの施設を訪れ、より長く滞在し、若い母親たち一人ひとりの人生に近づくことにしました」と述べています。(映画公式資料)

映画『そして彼女たちは』ジャナイナ・アロワ・フォカ

まだ自分自身も子どもともいえる若い母親達は、施設から支援は受けていても、大きな不安を抱えています。1人は、母親に捨てられた苦しみを抱えています。もう1人は、施設を出れば薬物中毒に戻ってしまうかもしれないと恐れています。他の母親達も、パートナーや親に頼れる状況ではありません。そんななか、自分と赤ちゃんとの将来を考え懸命に生きる彼女達は、多くの苦しみを抱えつつ、最後には一筋の光にたどり着きます。そんな彼女達の逞しい姿を観て、こちらもとても救われます。

映画『そして彼女たちは』

この世界の現実を生々しく突きつける描写は、さすがダルデンヌ兄弟です。一方で、世界はなんて冷たくて過酷なんだと絶望の淵まで見せつつも、ふとした瞬間に人生が好転する瞬間も見せてくれます。これでまた1つ、ダルデンヌ兄弟の名作が増えました。

デート向き映画判定

映画『そして彼女たちは』エルザ・ウーベン

本作には、母親に協力するパートナーも出てくれば、無責任な態度をとるパートナーも出てきます。自分達2人だけなら成立していた関係が、子どもを含めた関係に変わっても続くとは限らない現実が描かれています。将来を共にすることを考えている相手がいたら、敢えて一緒に観て反応をうかがうのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『そして彼女たちは』ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル

まだ自分自身が子どもだから、自分が子どもを持つなんて遠い未来の話だと思う方もいるかもしれません。でも、本作に登場するのは、皆さんに近い年頃の少女達なので、他人事にみえない部分もあるでしょう。ジェンダーレスな社会になりつつあるとはいえ、妊娠して出産するのが女性である限り、女性は特に人生を大きく左右されます。恋愛の先にある、あらゆる可能性を想像する機会に、本作を観てみてはどうでしょうか。

映画『そして彼女たちは』バベット・ヴェルベーク/エルザ・ウーベン/ジャナイナ・アロワ・フォカン/リュシー・ラリュエル/サミア・イルミ

『そして彼女たちは』
2026年3月27日より全国順次公開
ビターズ・エンド
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© Les Films du Fleuve – Archipel 35 – The Reunion – France 2 Cinéma – Be Tv & Orange – Proximus – RTBF (Télévision belge) / Photo©Christine Plenus

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2026年3月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春 『さとこはいつも』キャスト登壇付き特別試写会 5名様ご招待

映画『さとこはいつも』キャスト登壇付き特別試写会 5名様ご招待

映画『時には懺悔を』西島秀俊/満島ひかり 時には懺悔を【レビュー】

打海文三による原作「時には懺悔を」には、著者自身が障がいを持つ息子を育てた実体験が反映されているとのことです…

映画『グレイ・ミッション』ヘンリー・カヴィル/ジェイク・ギレンホール グレイ・ミッション【レビュー】

『コードネーム U.N.C.L.E.』と同様に、女性1名、男性2名のトリオで魅せる作品でありつつ、本作では女性がボスという設定に特徴があります…

映画『君の見る世界をなぞる』エロワ・ポユ/マクシム・スリヴィンスキー 君の見る世界をなぞる【レビュー】

一見恵まれた環境にいるエンゾは、自分のアイデンティティに悩まされ、居場所を見出せずにいます…

映画『ヒンド・ラジャブの声』 『ヒンド・ラジャブの声』トークイベント付き特別試写会10組20名様ご招待

『ヒンド・ラジャブの声』トークイベント付き特別試写会10組20名様ご招待

映画『ドラマなふたり』ゼンデイヤ/ロバート・パティンソン ドラマなふたり【レビュー】

その告白は一生添い遂げるつもりでいた相手の自信を簡単にくじく威力を持っています。本作はある種の“残酷”さが込められたラブストーリー…

映画『冴えないボクと映えるキミ』アビシャン・ジーヴィント/アナスワラ・ラージャン 『冴えないボクと映えるキミ』公開直前試食会 2組4名様プレゼント

映画『冴えないボクと映えるキミ』公開直前試食会 2組4名様プレゼント

映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン 左利きの少女【レビュー】

ツォウ・シーチン 監督は、『テイクアウト』(2004)でショーン・ベイカーと共同で監督と脚本を務めて以降、プロデューサーとしてショーン・ベイカーを支えてきた人物です…

映画『Never After Dark/ネバーアフターダーク』穂志もえか 穂志もえか【ギャラリー/出演作一覧】

1995年8月23日生まれ。千葉県出身。

映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年7月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年7月】のアクセスランキングを発表!

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集! 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

メタ認知は、自分で自分をわかるために必要な認知機能です。今回は、映画鑑賞においてメタ認知の働きによって、鑑賞後の印象が変わるはずという仮説のもと、メタ認知が働く映画鑑賞とそうでない映画鑑賞で何が異なるのかを一緒に考えます。本ゼミでは、映画鑑賞に絡めて日常にも役立つ心理学を取り上げています。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!
  2. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  3. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『時には懺悔を』西島秀俊/満島ひかり
  2. 映画『グレイ・ミッション』ヘンリー・カヴィル/ジェイク・ギレンホール
  3. 映画『君の見る世界をなぞる』エロワ・ポユ/マクシム・スリヴィンスキー
  4. 映画『ドラマなふたり』ゼンデイヤ/ロバート・パティンソン
  5. 映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン

PRESENT

  1. 映画『さとこはいつも』有村架純/石田ひかり/姫野花春
  2. 映画『ヒンド・ラジャブの声』
  3. 映画『冴えないボクと映えるキミ』アビシャン・ジーヴィント/アナスワラ・ラージャン
PAGE TOP