REVIEW

葬式の名人

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『葬式の名人』前田敦子/高良健吾

実は舞台になっている大阪府茨木市は、私の地元なので馴染みのある場所がたくさん映るだけでも観る楽しさがありました。主人公達の母校として物語の舞台になっている大阪府立茨木高校は、大阪府内でもトップクラスの高校で、“いばこう”という呼び方も地元民には馴染み深く、映画の中で前田敦子や高良健吾が“いばこう”と言っているセリフを聞くと、茨木市民ならよりこの映画に親近感を持つでしょう。また茨木高校は日本初のノーベル文学賞を受賞した川端康成の母校でもあります。茨木市内には川端康成文学館があり、本作のタイトルになっている「葬式の名人」は川端康成の短編小説のうちの1作です。
本作のストーリーは茨木高校時代に仲の良かった男女が、ある同級生の死をきっかけに集まり、皆で彼を送り出そうと独自のお葬式をするというもの。茨木高校の校舎をあますところなく使って物語は展開していきますが、日常を舞台にしながらファンタジックな演出も印象的に描かれています。何度もお葬式を経験してしまうという本来は悲しい経験を、温かさを持って表現している点も本作の魅力になっていて、川端康成の原作を改めて読んでみたくなる映画です。

デート向き映画判定
映画『葬式の名人』前田敦子/高良健吾

故人との思い出を振り返るという設定の中でラブストーリーの要素も出てきますが、特別デート向きという内容ではありません。ただ久々に地元で同級生が集まり、懐かしい話に華を咲かせる様子を観ていると、地元の話をしたくなるので、相手の学生時代の話などを聞いてみたいと思う人は、誘ってみるのもアリではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『葬式の名人』

どちらかというと大人向けの作品ですが、子どももキーパーソンとして登場するので、キッズの視点なりの観方があるかも知れません。高校が舞台になっているので、ティーンの皆さんは逆に自分達が大人になって、今一緒にいる友達とどんな関係に将来なっているかなと想像しながら観るとおもしろいのではないでしょうか。

映画『葬式の名人』前田敦子/高良健吾/白洲迅/尾上寛之

『葬式の名人』
2019年8月16日茨木市先行公開、9月20日より全国公開
ティ・ジョイ
公式サイト

©“The Master of Funerals” Film Partners

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP