物語の舞台は1963年。冒頭では主人公のマーガレット(ダイアン・レイン)とジョージ(ケビン・コスナー)が、息子夫婦と孫と共にモンタナ州の牧場でのどかに暮らす姿が映し出されます。でも、息子が落馬して亡くなったことにより事態は一変。3年後に息子の妻だったローナは再婚しますが、ローナと孫が再婚相手に暴力をふるわれていることがわかります。これはマーガレットとジョージがそんな状況からローナと孫を救おうと奔走する物語ですが、スリラーとわかって観ながらも、想像以上に恐ろしい展開が待ち受けています。
普通に考えれば、大人同士で話をして非暴力で解決していくものだと思いますが、マーガレットとジョージが対峙する相手には常識が通じません。そこが1番怖いポイントで、そこまではしないだろうという予測をどんどん超えていきます。そして、レスリー・マンヴィルが演じるブランチが何とも不気味でクレイジーです。物語の中では彼女がどんな人生を経てこんな風になってしまったのかは描かれていませんが、その支配欲の強さはどこからくるのか興味をとてもわかせるキャラクターとなっています。マーガレットとジョージについては、「そこまでされて、まだ諦めないの?」と思う反面、ここまでしてくる相手だからこそ義理の娘ローナと孫を絶対に連れ戻さないといけないという気持ちもすごく伝わってきて、こういうことがリアルに起こっている場合に自分ならどうするだろう、何ができるだろうと考えさせられます。
そして何より、ダイアン・レインとケビン・コスナーがカッコ良い!年を重ねてもなおセクシーで惚れ惚れする2人の共演もご堪能ください。夫婦、家族の結びつき、お互いを思いやる方法といった人間ドラマも丁寧に描かれています。同時に心理的にも身体的にもリアルに恐怖を体感できる演出がされているので、人間ドラマとスリラーの両方の魅力を味わってください。


ベテランカップル、長年連れ添った夫婦なら一層マーガレットとジョージの関係に共感できると思います。2人はまるでアクセルとブレーキのような関係ですが、それが状況によって入れ替わる点でも2人が一緒にいる理由がわかるような気がします。相手を心配しながらもその思いを尊重し寄り添い合うということがどんなことなのか、デートで一緒に観ながら自分達の関係性も客観視できると思います。


PG-12となっているので大人同伴なら小学生以下でも観られますが、かなり痛々しいシーンがあり、暴力描写が想像以上にあるので、大きくなってから観るほうが良いでしょう。ティーンの皆さんは世の中にはこういう社会もあるということを知るきっかけになると思います。付き合う人を間違えると、そこから抜け出せないこともあるのがわかるはずなので、反面教師的に観られる部分もあるでしょう。

『すべてが変わった日』
2021年8月6日より全国公開
PG-12
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト
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TEXT by Myson

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