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チルド【レビュー】

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映画『チルド』染谷将太

REVIEW

私達の生活に溶け込んでいるコンビニエンスストアは、角度を変えると、“特別な場所”なのかもしれません。その意味が本作を観るとわかります。ちなみに、本作は、岩崎裕介監督が子どもの頃に父が経営するコンビニに遊びに行った時や、大人になりコンビニを利用した時にふと感じたことからインスパイアされたといいます(映画公式資料)。

映画『チルド』唐田えりか

堺(染谷将太)は、「エニーマート倉冨町7丁目店」で副店長をしています。堺は、時に客から理不尽な態度をとられたり、万引き常習犯の犯行を目撃しても、淡々とやり過ごします。そんななか、新人アルバイトの小河(唐田えりか)は、この店の方針に懐疑心を募らせていきます。

映画『チルド』西村まさ彦

ただ1日が過ぎていくのに身を任せているだけのような堺や、何もやらない理由を効率の観点からのみ理路整然と語るオーナー(西村まさ彦)の様子は、一見どこにでもある光景として映ります。でも、「どこにでもある光景」だからこそ、この世の中は大丈夫なのかと心配になりゾッとします。そして、タイトルにある“チルド”、凍らない程度に冷やされた状態は、まさに彼等の状況を喩えているのだなと感じます。

映画『チルド』くるま

フランチャイズのコンビニならマニュアルがしっかりあるので、言われた通りにやっていれば最低限の運営はできるでしょう。とはいえ、接客が丁寧だったり、ちょっとした工夫で売上を上げるお店もあります。でも、堺が務める店は異常なほどに最低限のことしかやりません。だから、何か起きても起きていないことになっています。

映画『チルド』唐田えりか

そして、意志や発想、個性は必要がない状況を究極の形で表現したのが、この店です。その対極の立場にいるのが小河、小河と店の境目にいるのが堺という位置づけが見えてきます。

映画『チルド』くるま/長島竜也

自分の個性を出さず、ある種のマニュアルに沿った生き方をしていれば、自責の念は最小限になり、落ち込むことも少ないのかもしれません。効率良く生きていれば楽なのかもしれません。でも、それを極めれば極めるほど、誰でもできる生き方になり、自分の存在意義もなくなります。辛いことを経験すると、心を麻痺させるしか自分を守れない状況もあります。本作はそんな状態に膠着していることにすら気づいていない現代人に生き方を問いかける1作です。

デート向き映画判定

映画『チルド』染谷将太/唐田えりか

自分もしくはパートナーが、いろいろなことに疲れて、夢を諦めて、熱意を感じることもなく日々を過ごしている状況なら、何かしら刺激を受ける可能性に期待して、デートで観るのもアリでしょう。ただし、後半には過激な描写もあり、R-15+がついているので、ホラーに全く免疫がない方を誘うのは避けたほうが良いでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『チルド』染谷将太

タイパ(タイム・パフォーマンス)という言葉が飛び交う昨今では、何でもいかに効率良くこなすかという議論も少なくありません。もちろん、効率良くしたほうが良い事柄はあるものの、何でもかんでも効率最優先で良いのかというと、どうなのでしょうか。本作は人生観を問うストーリーとなっています。15歳以上になり、ホラーに耐性がついたら観てみてください。

映画『チルド』染谷将太

『チルド』
2026年7月17日より全国公開
R-15+
NOTHING NEW
公式サイト

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©︎『チルド』製作委員会 (NOTHING NEW・東北新社)

TEXT by Myson

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