REVIEW

ドッグマン【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ドッグマン』マルチェロ・フォンテ

本作は1980年代の終わりにイタリアで実際にあった事件からインスピレーションを受けて作られたそうで、犬のトリマーやドッグショーをやっていたマルチェロは実在の人物だそうです。ただ、事件そのものを映画化したのではなく、ストーリーは自由な発想で作られたとのことです。前半では、主人公のマルチェロが犬達をとても大事に扱う様子、娘を思う心優しい父親としての姿が描き出されています。同時にマルチェロを頼っているのか、利用しているだけなのかわからない男シモーネの暴力性も映し出されていて、歪な2人の関係に興味津々になるはずです。そしてある事件が起こり、2人の関係がガラッと変わる後半は、マルチェロの変化が見どころで、彼が最終的に起こした行動の意味というか、この映画の中に込められた暗喩的なものが何なのか、考えを巡らす醍醐味が味わえる作品になっています。あくまで私の解釈でネタバレをしない範囲でいうと、犬は状況によって自由に駆け回ることもできるし、逆に鎖に繋がれたり、檻に入れられたりすることもあるというところから、そんな犬という象徴が、マルチェロとシモーネの関係に投影されている部分があるように思います。そういう意味で“ドッグマン”というタイトルの意味するところも深く感じて、すごく秀逸な作品だと感じました。
さらに犬の反応もすごくリアルで、犬の演技なのか、マルチェロ・フォンテの犬の扱いがプロ並みに上手いのか気になる、主人公と犬とのシーンも見どころです。ベースはバイオレンス要素の多いシリアスなドラマですが、ブルドッグのマッサージシーンなど上手すぎて笑っちゃうシーンもあり、緩急の付け方も絶妙でした。骨太映画が好きな方にオススメの1作です。

デート向き映画判定
映画『ドッグマン』マルチェロ・フォンテ/エドアルド・ペッシェ

犬とおじさんと、彼に迷惑ばかりかける暴力的な男のお話なので、デート向きとは言えませんが、とても見応えのある作品なので映画をよく一緒に観るカップルにはオススメです。ただし、シモーネがすごく大柄で見るからに強そうなので、暴力シーンもそれだけ迫力があり、観ていて痛いシーンが何度かあります。その点だけ許容範囲なのかどうかを気にしつつ誘うと良いでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ドッグマン』マルチェロ・フォンテ

大柄でマッチョなシモーネに対して、主人公のマルチェロは小柄でか細く、身体的には圧倒的に負けてしまいます。性格的にも横暴なシモーネは、無理難題をマルチェロに言いつけますが、マルチェロはいつも断れずにいます。でも、嫌な時はちゃんとノーと言わないと、後で取り返しがつかない事態になることを本作で痛感できると思います。自分も思い当たる節がある人は、立ち向かう勇気をマルチェロからもらってください。ただしPG-12なので12歳未満の人は大人に助言をもらって観ましょう。というかそもそもキッズ向きではないので、せめて中学生になってから観てください。

映画『ドッグマン』マルチェロ・フォンテ

『ドッグマン』
2019年8月23日より全国順次公開
PG-12
キノフィルムズ、木下グループ
公式サイト

TEXT by Myson

©2018 Archimede srl –Le Pacte sas

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウィキッド 永遠の約束』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ ウィキッド 永遠の約束【レビュー】

本当は親友という背景がありながら、表向きにはそれぞれ対立する立場に置かれた2人に、新たな試練が…

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』 劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来【レビュー】

REVIEWストーリーにもアクションにも圧倒されて、155分間があっという間です。大スクリ…

Netflixドラマ『エミリー、パリへ行く シーズン5』エウジェニオ・フランチェスキーニ エウジェニオ・フランチェスキーニ【ギャラリー/出演作一覧】

1991年9月19日生まれ。イタリア出身。

映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』アウグスト・ディール 死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ【レビュー】

メンゲレは、第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ強制収容所で残虐な人体実験を行い、“死の天使”と呼ばれ…

【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集! 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!

今回は、ローカス・オブ・コントロール(Locus of Control)という心理的概念を取り上げます。内的統制か外的統制かという傾向によって、作品を観た時の着眼点や感想に違いがあるのかを議論したいと思います。

映画『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』レイチェル・セノット Shiva Baby シヴァ・ベイビー【レビュー】

パパ活をしている若い女性はシュガーベイビー、若い女性に経済的支援をする男性はシュガーダディと呼ばれている…

ドラマ『外道の歌』前原瑞樹 前原瑞樹【ギャラリー/出演作一覧】

1992年10月5日生まれ。長崎県出身。

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』峯田和伸/若葉竜也/吉岡里帆 『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』キャスト登壇!ライブイベント付き試写会 25組50名様ご招待

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』キャスト登壇!ライブイベント付き試写会 25組50名様ご招待

映画『#拡散』成田凌/沢尻エリカ #拡散【レビュー】

妻を突然失った男性が、妻の死と新型コロナウィルス感染症予防ワクチンの関連を疑い…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集! 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!

今回は、ローカス・オブ・コントロール(Locus of Control)という心理的概念を取り上げます。内的統制か外的統制かという傾向によって、作品を観た時の着眼点や感想に違いがあるのかを議論したいと思います。

映画『ユージュアル・サスペクツ』ガブリエル・バーン/スティーヴン・ボールドウィン/ケヴィン・スペイシー/ケヴィン・ポラック あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『ユージュアル・サスペクツ』

今回の「勝手にキャスティング企画!」では、『ユージュアル・サスペクツ』のリメイクを作るとしたら?と…

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス

REVIEW

  1. 映画『ウィキッド 永遠の約束』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ
  2. 映画『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』
  3. 映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』アウグスト・ディール
  4. 映画『Shiva Baby シヴァ・ベイビー』レイチェル・セノット
  5. 映画『#拡散』成田凌/沢尻エリカ

PRESENT

  1. 映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』峯田和伸/若葉竜也/吉岡里帆
  2. 映画『カミング・ホーム』ベン・キングズレー/ハリエット・サンソム・ハリス/ジェーン・カーティン
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP