特集

映画に隠された恋愛哲学とヒント集69:浮気を知った時の反応は、自分の本心の表れなのか?

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『窓辺にて』稲垣吾郎/中村ゆり

ネタバレ注意!

今回は、『窓辺にて』を例に考えてみました。

浮気を知っても怒りや哀しみがわかないのは、おかしい?

皆さんに交際中もしくは結婚しているパートナーがいたとして、その人が浮気をしたら腹が立ったり、悲しくなりますか?ここで一度、リアルに想像してみてください。どんな気持ちになったとしても、その上で『窓辺にて』を観てみると、自分を客観視できるでしょう。ただ、ここから先は内容に少し触れるので、真っ新な状態で映画を観たい方は、観終わってから下記を読んでいただければと思います。

映画『窓辺にて』の主人公、フリーライターの市川茂巳(稲垣吾郎)は、誰にも言えない悩みを抱えていました。彼は、妻の紗衣(中村ゆり)が浮気をしていることに気付いていながら、見て見ぬふりをしています。でも、彼の悩みは、妻の浮気ではありません。問題は彼が妻の浮気を知った時の自分の反応でした。

映画『窓辺にて』稲垣吾郎

この作品には、他にもカップルが出てきます。そのキャラクター達は恋愛感情として想像される通りの例として観ることができます。「好きな人が浮気をしているのを知ったら、ショックを受けるに決まってる!」という感覚の人達です。でも、彼等の中でも反応はいろいろあります。異性との関係を勘ぐってわかりやすくヤキモチを焼くタイプもいれば、事実を知ってショックを受けても心に秘めておくタイプもいます。相手を好きだから怒る、相手を好きだから別れを恐れて黙っている、どちらもいるのです。だから、浮気の事実を知ってもそのままにしておくというだけでは、好きではない証拠にはなりません。

主人公の本当の問題は、妻の浮気を知っても怒りや哀しみのような感情がわかなかったことです。多くの方はここで「それは、好きじゃない証拠じゃない?」と思うかもしれません。でも、本当にそうなのでしょうか。劇中では、彼のこの感情の解釈を巡って、さまざまなキャラクター達のやり取りが描かれています。

映画『窓辺にて』稲垣吾郎/中村ゆり

ここからは、私の解釈です。妻に浮気をされても動じなかった主人公のパーソナリティを考えてみました。

A:彼は何でも物事を俯瞰して見てしまう。
自分のことなのに、俯瞰して見てしまうことで、あまりに客観的になってしまう。感情より先に物事を解釈してしまう。

B:人の感情や思考に寛容
作家として小説を書いたことがあり、フリーライターである彼は、人や人の心情について興味や理解がある。だから、人のどんな感情や思考も理解しようとしたり、受け入れようとする。それゆえに、相手の心情を汲み取って「それなら仕方がない」という結論を出してしまう。

AとBどちらかなのかもしれないし、単純に本当に妻を愛していなかったのかもしれません。でも、私の解釈では、AとB両方で、彼は彼なりに妻を大事に思っていたのではないかと思います。

だから、「浮気を知った時の反応は、自分の本心の表れなのか?」の結論として、私の答えは「ノー」です。人間はそんなに単純なものではないといったらそれまでですが、本当にそうだと思います。

『窓辺にて』は、主人公が抱える悩み=謎に迫る見事な会話劇です。燃えるような恋をしたことがないとか、あまり感情が動かないというような悩みがある方は特に共感する内容なのではないでしょうか。同時に、そういうタイプの人を好きになって悩んでいる方にもオススメです。ぜひ観ながら自分の気持ちも見つめ直してみてください。

映画『窓辺にて』稲垣吾郎/玉城ティナ/中村ゆり

『窓辺にて』
2022年11月4日より全国公開
東京テアトル
公式サイト

©2022「窓辺にて」製作委員会

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『鬼の花嫁』永瀬廉/吉川愛 鬼の花嫁【レビュー】

2020年に刊行された原作者クレハによる小説を映画化した本作は、あやかし(鬼、天狗、河童、九尾の狐など、超越した能力を持つ種族)と人間が共存する世界を舞台に…

映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』山田杏奈 山田杏奈【ギャラリー/出演作一覧】

2001年1月8日生まれ。埼玉県出身。

「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、宮崎吾朗監督、鈴木敏夫プロデューサー スタジオジブリの新作映画は!?宮崎吾朗監督&鈴木敏夫プロデューサーが本音で語る宮﨑駿監督の近況【宮﨑駿のパノラマボックス】メディア取材会

スタジオジブリにて、このパノラマボックスに関する記者会見が開かれました。和やかな雰囲気のなか、パノラマボックスのお話、最近の宮﨑駿監督の様子など、貴重なお話をたくさんお聞きしました。以下、ほぼフルバージョンで掲載します。

映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』峯田和伸/若葉竜也/吉岡里帆 ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。【レビュー】

写真家、地引雄一の自伝的エッセイ「ストリート・キングダム」を、田口トモロヲ監督が映画化した本作は…

映画『決断するとき』キリアン・マーフィー/エミリー・ワトソン 決断するとき【レビュー】

主演はキリアン・マーフィー、監督はベルギー出身のティム・ミーランツが務め、製作総指揮はベン・アフレック、製作にはマット・デイモンも名を連ねています…

映画『カミング・ホーム』ベン・キングズレー/ハリエット・サンソム・ハリス/ジェーン・カーティン カミング・ホーム【レビュー】

シニア世代の静かな日常を描いたホッコリかわいいストーリーでありながら、意外にも大きなスケールで、ある意味ぶっ飛んでいる奇想天外な…

韓国ドラマ『愛の不時着』ソン・イェジン ソン・イェジン【ギャラリー/出演作一覧】

1982年1月11日生まれ。韓国、ソウル出身。

映画『グッバイ・クリストファー・ロビン』ドーナル・グリーソン 未公開映画活性課カ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『全知的な読者の視点から』イ・ミンホ/アン・ヒョソプ/チェ・スビン/シン・スンホ/ナナ/ジス/クォン・ウンソン 全知的な読者の視点から【レビュー】

原作を知らず、タイトルのみ見ると、現実世界の日常を描いた作品だと思う方もいるでしょう。でも、本作はファンタジー・アクション映画で…

映画『君が最後に遺した歌』道枝駿佑/生見愛瑠 君が最後に遺した歌【レビュー】

タイトルに「遺した」とあるので、悲しい展開を予想される方もいるでしょう。ただ、それだけではなく…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

映画『ユージュアル・サスペクツ』ガブリエル・バーン/スティーヴン・ボールドウィン/ケヴィン・スペイシー/ケヴィン・ポラック あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『ユージュアル・サスペクツ』

今回の「勝手にキャスティング企画!」では、『ユージュアル・サスペクツ』のリメイクを作るとしたら?と…

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス

REVIEW

  1. 映画『鬼の花嫁』永瀬廉/吉川愛
  2. 映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』峯田和伸/若葉竜也/吉岡里帆
  3. 映画『決断するとき』キリアン・マーフィー/エミリー・ワトソン
  4. 映画『カミング・ホーム』ベン・キングズレー/ハリエット・サンソム・ハリス/ジェーン・カーティン
  5. 映画『全知的な読者の視点から』イ・ミンホ/アン・ヒョソプ/チェ・スビン/シン・スンホ/ナナ/ジス/クォン・ウンソン

PRESENT

  1. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ
  2. 映画『キング・オブ・キングス』
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP