取材&インタビュー

スタジオジブリの新作映画は!?宮崎吾朗監督&鈴木敏夫プロデューサーが本音で語る宮﨑駿監督の近況【宮﨑駿のパノラマボックス】メディア取材会

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「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、宮崎吾朗監督、鈴木敏夫プロデューサー

【宮﨑 駿のパノラマボックス】メディア取材会:鈴木敏夫プロデューサー(株式会社スタジオジブリ代表取締役)、宮崎吾朗監督

宮﨑駿監督は、『君たちはどう生きるか』(2023年劇場公開)の制作終盤から、新たな取り組みとしてパノラマボックスを制作中とのこと。このパノラマボックスは、愛知県長久手市にあるジブリパークでの展示のために制作されており、2026年7月8日(水)より「ジブリの大倉庫」の企画展示室にて、計31点が公開される予定となっています。
そして、この度、スタジオジブリにて、このパノラマボックスに関する記者会見が開かれました。和やかな雰囲気のなか、パノラマボックスのお話、最近の宮﨑駿監督の様子など、貴重なお話をたくさんお聞きしました。以下、ほぼフルバージョンで掲載します。

パノラマボックス制作に取り組む宮﨑駿監督の近況、映画制作の可能性は?

「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、スタジオジブリ外観
記者会見が行われたスタジオジブリの外観

鈴木 敏夫プロデューサー:
どうも改めましてスタジオジブリの鈴木です。今日は本当に遠いところにお集まりいただきありがとうございます。今日は本当にいい天気ですよね。背中がぽかぽかと暖かいので良かったなと思います。詳しいことは関係者の吾朗くんが全部喋りますので、特に喋ることはないんですよ。一つだけ申し上げるなら、本来ならここに宮﨑駿が来るんですよ。それが何で、一応近くにはいるんですよ。近くにいるので、僕のほうでね、こういうのをやるので、皆さんが来ますと。吾朗くんがいろいろ説明するということもあるけど、やはり宮さん自らが話したいこともあるだろうと。そしたら一言「ない」と言ったんですよ。それで、実は今日も宮さんところに行って、ちょっと他の用事もあったので、「今日は記者会見なんですけどどうしますか?」って言ったら、やっぱり興味は持っているんですよ。それで覗きたいと思っているんです。もしかしたら内緒でここらへんから顔を出すかも(笑)。本人は今日も改めて「俺は今日は出ない。吾朗がやればいいんだ」と言っていました。

宮崎吾朗監督:
2人の老人から頼まれました宮崎吾朗です。本日はよろしくお願いいたします。

MC:
本日皆さんに取材していただく「パノラマボックス」は、宮﨑駿監督が描き出す、仕事としては、『君たちはどう生きるか』の完成後、ずっと毎日絵を描き続けてきて…。

宮崎吾朗監督:
完成する前からですね。正確に言うと、2022年6月ぐらいから始めていまして、その頃『君たちはどう生きるか』のほうは、作画の仕事はもう全部終わって、あとは仕上げの段階に入っていました。ちょうど同時にジブリパークのほうがオープンしていく段階でしたので、俺の何かを見せてあげようという感じで、吾朗のために、ジブリパークのためにと始めていました。だから2022年の6月ぐらいからスタートしまして、ついこないだまで作っていましたので大体3年半ぐらいかかって作ったものが、皆さんの後ろの部屋にあります。全部で31点なのですが、他もまだまだ制作中で、今日は23点です。

MC:
ありがとうございました。それで、ここに書いてあるんですけども、どんな特徴があると吾朗監督は思われますか?そもそも「パノラマボックス」とはどんなものなのでしょうか?

「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、宮崎吾朗監督
宮崎吾朗監督

宮崎吾朗監督:
宮﨑駿の発明らしくて、よく言われるのは、「アートボックス」とか呼ばれますけれども、紙を切り抜いて、それを奧から手前に向かってそれを重ねながら空間を作っていく方法があって。と同時にオペラの舞台なんかで、かきわり(書割)で奥行きを作っていますよね。それのお土産のおもちゃみたいなのが売られていたと言っていまして、そういうものの影響で。たぶん宮﨑駿が最初に見たのはキャラメルのおまけとか、キャラメルの内箱が切り紙細工になっていて、そういうものでよく遊んだと言っていましたので、その辺りが原点なんだと思います。

MC:
アニメーションのマルチプレーンカメラと近いものはありますか?

宮崎吾朗監督:
基本の原理は同じというか、手前のものは手前のもの、その奧はその奧、一番奥は一番奥の背景という形で絵を重ねていって、重ねるのも密着ではなく空間を空けることで奥行きが出る。見る視点を変えると、当然重なり方が変わるので、見え方も変わってくるという。なので、一般的には真横から見る、舞台を見るような形で作られることが多いんですけれども、宮﨑駿の特徴といえば、見ていただくとわかるんですけれど、縦なんですね。縦構図を多様していて、要するに俯瞰、煽り、つまりカメラを上下に動かしたような画を結構作っています。この空間を作り出すというのは、とても宮﨑駿のこだわりだと思います。

MC:
では鈴木さん、映画を作っている時の宮﨑駿監督と、こうやってパノラマボックスを作っている時の宮﨑駿監督の様子や表情の違いなどは感じられますか?

鈴木敏夫プロデューサー:
そんなのわかるわけないじゃん。

会場:
ハハハハ(笑)!

「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、鈴木敏夫プロデューサー
鈴木敏夫プロデューサー

鈴木敏夫プロデューサー:
ちょっと今思い出したことを言うと、これは古い話ですが、『もののけ姫』の後に映画のキャンペーンでアメリカに行ったんです。ニューヨークのMoMAに行った時にダリの部屋があって、実はそこにこのパノラマボックスみたいなものがあったんです。簡単にいえば、ダリが作ったパノラマボックスがあって、それを宮さんが一生懸命に見ていたんです。未だにああいうものが好きなんです。何か子どもっぽい人というのか、どういう仕組みで、これはどうやって見えるのかと。元々ディズニーの、さっき吾朗くんが聞かれたマルチプレーンみたいなああいうのとか、本当に真剣に見るので。もしかしたらそれも一つのきっかけだったかもしれないです。これは本人に聞かないとわからないですけどね。

MC:
何か隅までキャラクターとかいろいろなものが描いてありますが、こういうのも宮﨑監督の遊び心みたいなものなのでしょうか?

鈴木敏夫プロデューサー:
遊び心というか「いいのができたから見て」とか、どちらかというとそういう感覚じゃないですかね。最近もね、皆さんご興味があるのではないかと思い言うのですが、今年の1月に満85歳を迎えまして、そろそろかなと思っています。でも全然そうじゃなくて、やたら元気ですよね。

宮崎吾朗監督:
元気ですね。血液検査の数値が僕よりいいんですよ(笑)。

会場:
ハハハハ(笑)!

鈴木敏夫プロデューサー:
なんかすごく元気だよね。ここへ来て反射神経がすごく良くなっているなと。こちらがあることを「宮さんこれ覚えてます?」と聞くと、返しがすごく早いんです。僕が最後まで喋らないうちにもう答えを言うんです。あれは何なんだろうと思って。すごいよ。あの反射神経。

宮崎吾朗監督:
本当にそう思いますよね。

鈴木敏夫プロデューサー:
まだまだ現役で、俺は頑張っているというのを非常に強くアピールしているなと思います。でも本当にお父さん元気だよね。僕の予定が狂っているもん。僕はとにかく宮さんが亡くなった後のことを随分いろいろ考えたんですよ。お別れ会というのも考えていたのですが、それが無駄になるんじゃないかと(笑)。

宮崎吾朗監督:
鈴木さんが先になるかもしれない。

鈴木敏夫プロデューサー:
そういうこともあるかもしれません(笑)。

「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、スタジオジブリ外観
スタジオジブリ:横からみた外観

MC:
もう一歩踏み込んで、次のスタジオジブリの展開とか、仕事とかで何か考えられていること、この場で発表できることはありますか?

鈴木敏夫プロデューサー:
発表というか、まだ途中だと思うんですけれども、やっぱりジブリは映画を作る会社としてやっていましたけど、それがある時、映画でやったことを立体にしようという吾朗くんがやっているジブリパークがお陰様で非常に上手くいって、吾郎くんがいろいろと新たなことをやっていこうという途中なんです。そういうなかで、こういう宮﨑駿の制作物を皆さんにご披露できると。

MC:
ではこれが第1歩ということで…。

鈴木敏夫プロデューサー:
(宮﨑駿監督に映画を作る気があるかどうかは)本当に日によって違うんですよね。もう明らかに意欲を示している日と、体調の悪い日は「もう映画なんて作る時じゃないんだよ。鈴木さん」とか言ってみたりね。その繰り返しをやっていますね。つい先日も僕にしみじみと「鈴木さん、俺達はいい時代を過ごしたんだよ」と言っていました。皆良い映画を作って、俺らもそれを観た。そしてそういうものに刺激を受けながら、自分達が本当に好きな映画を作ることができたと。そしてまたしみじみと言いました、「お互いにいい時代を過ごしたね」と。

宮﨑駿監督と吾朗監督、親子の思い出

「宮﨑駿のパノラマボックス」君たちはどう生きるか/「インコ帝国」
15 君たちはどう生きるか/「インコ帝国」
映画『君たちはどう生きるか』

記者A:
『君たちはどう生きるか。』の「ワラワラ」と描いてある作品が、ジブリ美術館の原画展で展示されていた時に、子ども達が周りに集まって、どうなっているか、どういう仕組みでこれができているのかと、斜めから見たり、のぞき込んでいました。あれはどういう素材で作られているのか、組み合わせていく上で設計図があるのか、もしくは頭の中にあってああいう緻密なものになるのか、もしわかれば教えてください。

宮崎吾朗監督:
材料は基本、紙と鉛筆と絵の具ですね。ワラワラのちょっと立体のも入っていますけど、紙で張り子を作って、基本全部紙なんです。なぜ紙なのかというと、宮﨑駿が一番慣れ親しんだ材料だからです。自分が作るというのがポイントで、自分が作ってジブリパークにと。自分が設計図を描いて誰かに作らせるのでは意味がなくて、自分が描いて作ることに意味があると。そういうものである以上、彼が使える材料というと、やはり1番はまず紙。だから使い慣れたもので全部作っていると思います。だから切る時はハサミでカッターはあまり使いませんね。僕らは跡が残るのでセロテープで貼らないでくださいって頼んでいるんですけど、セロテープでペタペタと貼っていたりすることもあります。作り方そのものは小学生でも作れる材料と作り方で作っています。それは間違いなくそうです。ただ最初から設計図があるわけではなくて、ラフなレイアウトみたいなものは描いていました。そこから実際に作りつつ、もう少しここは足したほうがいいとか、一回付けたものを外してみたりとか、試行錯誤しながらですね。

記者B:
1つのパノラマボックスを作り上げるまでにどのくらいの日数がかかっているのか、並行して何作か創作されているのかを聞かせてください。

宮崎吾朗監督:
並行して作っていましたね。完全に1人で作っているわけではなく、美術監督の吉田昇さんに背景を描いてもらったりしながら作っていて、1個を作り終わってから次ではなくて、同時に5個くらい並べながら作っていました。なので、早いものは1ヶ月ぐらいで出来上がっていましたけど、気に入らなかったり、手が進まなかったりしたものは3年かかっています。3年かかったというよりも、3年ほったらかしていたと。

「宮﨑駿のパノラマボックス」風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」
03 風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
03 風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」を撮影したものです。
生で見ると、仕組みがさらによくわかります。
映画『風の谷のナウシカ』

記者B:
では事実上31よりもっとたくさん作っていたのでしょうか?

宮崎吾朗監督:
31であることは間違いないです。ただ途中で作りかけて、嫌になって捨ててしまって、その捨てたものから新しいものに移植したりとかもしていました。もっと作っていたといえば、もっと作っていて、形になったのは31ですね。

記者C:
(宮崎吾朗監督へ)先ほどお話しされていました駿監督が小さい頃にキャラメルの箱で遊んでいたというエピソードは、小さいものを自分で作られていたということなのでしょうか?それと、吾郎のために作ったとおっしゃっていましたが、この作品のパノラマボックスを作りたいと思っているというような相談があったのでしょうか?

宮崎吾朗監督:
相談はないです。最初にまず10個ぐらいできて、10個できたと言われたんですよね。でも、「10個だと展示室が埋まらないから、もう10個ぐらい作ってくれないかな」と頼んで、2年ちょっとぐらいかかって、20個できて、20個できたところで、もう10個ぐらいと言って、全部で31個になったんです。だから僕が頼んだのは数だけです。作品は勝手にやってと。

「宮﨑駿のパノラマボックス」となりのトトロ/「ねむいよー」
11 となりのトトロ/「ねむいよー」
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
下からの角度で撮ってみました。何層にもなっているのがわかります。
映画『となりのトトロ』

記者C:
一つひとつのシーンが映画にはないシーン、映画にあるシーンとなっていますね。

宮崎吾朗監督:
本人が映画の中で気に入っているシーンはそのまま作っているものもあれば、やっぱり映画そのものじゃなくて、自分が好きな作品の中のあるイメージを取り出して作っているものもありますね。今日はこの中に入っていませんが、完全オリジナルというか、よくわからないものもあります。1個目の質問でいうと、森永のキャラメルかな。中箱に印刷してあって、切り抜いて組み立てられるおまけが付いていたんです。たぶんそれのこと言ってるんじゃないかなと思います。

鈴木敏夫プロデューサー:
カバヤとかね。お菓子とかについているおまけ、何か小さい組み立てるものとかがよくくっ付いていたので、それを覚えているんですよね、たぶん。

記者D:
まず鈴木さん、パノラマボックスをご覧になられて、宮﨑監督らしいこだわりとか、そういった部分をもし感じられたようなところがあったらお聞きしたいです。あと、吾朗さんは、こういった紙工作みたいなもの、例えば幼少期に監督からこういう工作で遊んだとか、見せてもらったとか、そういう経験がありましたらお聞かせいただければと思います。

鈴木敏夫プロデューサー:
僕と宮さんで年齢は7歳半違うんですけど、僕らの世代とか宮さんの世代っておもちゃがなかったんですよ。だから何でも自分達で作る。これが基本だったんです。だから例えば公園に行って、木が生えていたら、木を折って刀や弓矢、銃を作るとか、それを真剣に皆やっていたんですよ。それで作ったものの出来の良さを皆で競い合うんです。その面影がそれぞれに残っているから、こういうところにこだわるとか、そういうのではないんですよ。楽しいことをとことん突き詰めて、今できる範囲の中でやっちゃうということだと思います。

宮崎吾朗監督:
教わったことはないですね。1つ覚えているのが小学校低学年の頃に、『宇宙戦艦ヤマト』が流行っていて、軍艦の模型を作ろうと思ったのですが、お金がなかったので、紙で作ったんです。でも、図鑑で見た写真だと、後ろのほうがよくわからなくてそのまま置いておいたら、翌朝起きると軍艦の俯瞰図が描いてあったという記憶があります。

「宮﨑駿のパノラマボックス」崖の上のポニョ/「怪船あらわる」
12 崖の上のポニョ/「怪船あらわる」
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
下から撮るとこんな感じです。
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
上から撮った写真では全く違って見えます。海に吸い込まれそう!
映画『崖の上のポニョ』

記者E:
今回のパノラマボックスは、ジブリ美術館にもあったと思うんですけども、今回ジブリパークに飾るということで、特に意識された絵のチョイスとか作り方とか、ジブリパークを意識した点がもしあったら教えていただきたいです。

宮崎吾朗監督:
本人に聞いてみないとわからないです。ジブリ美術館の時は、パノラマボックスそのもののおもしろさももちろんあるんですけど、やっぱりアニメーションってこうやって作るんだよという意味で、原理をきちんと解説するという意味合いがあったと思うんですよね。その原則にわりと忠実に作っている。だから1つのフレームの中にきちんと関係するものを作っているんですけど、今回はそういう縛りがなく、なおかつパークですから、お客さんに大サービスという感じで作っていると思うんですよ。だから、今日のところは皆同じサイズで作っていますけど、だんだん横に広がっていったりとか、作りかけたものでいうと縦に伸ばしてみたりとか、そういう自由さがありましたね。

記者F:
鈴木さんに確認したいんですけど、先ほど「(宮﨑駿監督は)85歳なのに、まだ映画に意欲を示したり、示さなかったり」という言い方をされたのは、何かの匂わせなのでしょうか?

鈴木敏夫プロデューサー:
そこまで深く考えているわけではないんですけど(笑)。本当に映画を作りたいという感じを出すんですよ。これは本当に。ただそれは体調の良い日ですよね。雨が降って雲が多いともうやる気がなくなるんですよ。だからそれを繰り返していますね。年を取るというのはこういうことだと、働きながら勉強しています。本当に。

「宮﨑駿のパノラマボックス」ハウルの動く城/「お茶にしましょう」
13 ハウルの動く城/「お茶にしましょう」
映画『ハウルの動く城』

記者F:
やっぱり世の中的には期待していたりする人達もいるなかで、そういう人達はまだ期待していていいのか…。

鈴木敏夫プロデューサー:
こればっかりはわからないですよね。本当に申し訳ないけど、99歳で映画を作ったら、やっぱり99歳の作品ですよね。それでいうと、僕はやっぱりいいところで止めたほうがいいのかなとどこかで思っています。だから、皆さんが、いろいろな映画の企画を未だに話すけれど、僕は応援はしていないですよね。でも、世の中って何が起こるかわからないから(笑)。言うに言いづらいことを喋っているんですよね。本当にそういうことが毎日起きているわけだから、わからないです。お別れ会をどこでやるとか考えていると結構楽しいんですよ。でも、どうも長生きしそうなんですよね。何で長生きしそうかといったら、この期に及んでタバコを吸う量が本当にすごいんですよ。本当によく吸っています。これ皆さんに相応しい話か僕はよくわからないんだけど、びくともしていないんですよ。僕は内緒でレントゲンを見たことがあるんですけど、綺麗なんですよ、本当に。だから、長生きすることだけははっきりしていますね。だけど、どうなるかわかりません。このパノラマボックスは、本当に真面目に真剣にやっていたんですよ。僕の個人的な感想としては、絵の力が衰えていないし、ここへ来てさらに進化していますね。何でだろうと思ってたんですけど、さっき吾朗くんの話を聞いていて、ジブリパークって吾朗くんが作ったでしょ。人の作ったものにはあんまり興味のない人なんですよ。それで、吾朗を否定して、自分が前に出る絶好の機会だと思ったと思うんです。

会場:
ハハハハハ!

鈴木敏夫プロデューサー:
これは本当に真剣な話です。それはおもしろいものを作るよね。これが原動力なんですよ。人に負けないように、自分がおもしろいものを作って、それを世界に出して、「どうだ!」これですよね。

「宮﨑駿のパノラマボックス」千と千尋の神隠し/「鬼のふろ屋」
07 千と千尋の神隠し/「鬼のふろ屋」
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
いろいろな角度で撮ってみました。
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
一つひとつ、本当に細かく作られていて感動!
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、展示
小さい立体のちょうちんがすごくカワイイ!
映画『千と千尋の神隠し』

記者G:
ジブリパークは開園から3年経っていると思うのですが、吾朗監督にまずその手応え、それから鈴木プロデューサーから見て、ジブリパークは今後こうなったらおもしろいんじゃないかとか、ご意見、アドバイスがあったら教えてください。

宮崎吾朗監督:
おかげさまでお客さんにたくさん来ていただいて、それは本当に喜ばしいことだと思っています。今やっている「食べるを描く。」展が、新しく「パノラマボックス」展に変わるわけですけど、その次をどうしようかという心配がもうありまして、日々それに悩まされている感じです。でも、常ににフレッシュな状態というか、常に新しいものがあるんだよという形にしていくためには、ずっと何かをやり続けないといけないなと。美術館も同じことを繰り返しているわけですけど、大きいだけに大変だなと思います。

鈴木敏夫プロデューサー:
特にアドバイスはないですけどね。ただ、僕も宮﨑駿という人と付き合ってから、気がついたら50年なんです。途中から吾朗くんも入ってきて、吾朗くんがどこまで自覚しているか、2人はやっぱり似ているんですよ。性格の良いところも悪いところも。パークを始める時に吾朗くんが「親父達が作ってきたものを具体化するんだ」と言って、いろいろ建物を建てて、それはそれで良かったんですけど、パークの中でオリジナルのものを見てみたい、吾朗くんが好き放題やる建物ってどんなものなんだろうと、今ちょっと思いつきましたね。

記者H:
宮崎吾朗監督にお伺いしたいのですが、パークのお仕事がたくさんあるというお話でしたけれども、映画は作らないのでしょうか?

宮崎吾朗監督:
ちょっと短いものは今考えているものもありますが…、ちょっと黙っておきます。ないということではないです。

記者F:
今回展示品31点を作られた後の駿監督はパノラマボックスを自主的に作られているのか、他の絵を描いたり創作をされているのかいかがでしょう?

宮崎吾朗監督:
パノラマボックスのもっと大きいわけのわからないものを今作っています。タイトルに「これは何だ」と(笑)。これができあがったら美術館に展示してもらって、「これは何だ」展をやるんだと。いつできるのかなと思いながら見守っています。

「宮﨑駿のパノラマボックス」魔女の宅急便/「オーイあぶないよ」
10 魔女の宅急便/「オーイあぶないよ」
映画『魔女の宅急便』

記者J:
パノラマボックスのタイトルに「オーイあぶないよ」とか、作品の名前とは違うタイトルがついていると思うのですが、どのようにお考えになったのでしょうか。

宮崎吾朗監督:
一応全部タイトルが必要なんじゃないかというところから、「これは何ですか?」と聞いて、「オーイあぶないよ」と。「じゃあこれは何ですか?」みたいな形で決めていたので、特に深い意味はないと思います。

最後に一言…

宮崎吾朗監督:
印象的なことがあって、朝取材の皆さんが入る前に、ジブリの保育園があるんですけど、そこの子ども達に来てもらって見てもらったのですが、子ども達もすごくおもしろがって見てくれたんです。その様子を見た宮﨑駿の感想が良かったんですよ。「子どものためのジブリが帰ってきた」ってすごく喜んで帰っていきました。

鈴木敏夫プロデューサー:
吾朗くんに握手を求めて。

宮崎吾朗監督:
そうそう。小さい子どもがちょっと背伸びすればのぞき込める高さにパノラマボックスの窓を決めているんですよ。だから大人の皆さんからすると、ものすごく下にあるものを覗き込まなければいけない。ただ、腰を曲げて覗き込むと見えないんですよ。だからしゃがんでください。そうすると、子ども目線になって、大人が上から見下ろしたのとは違う風景がちゃんと見えてくるんです。だから大変ですけど、31回しゃがんでいただけたらと思います。

パノラマボックス31点中の3つの新作の中には、宮﨑駿監督が5歳の男の子に戻って、自分がかつて好きだったようなものを敢えて作っているという印象のものもあるとのことです。
本音の発言も飛び出した会見は、信頼関係があるからこそだなとしみじみ感じました。和気あいあいとした雰囲気は、スタジオジブリの作風から受ける印象と合致して、いち映画ファンとしても貴重な体験をさせていただきました。パノラマボックスは写真で見るのと異なり、目の前で見ると構造がわかりやすく、こうやって作ってるのかと驚かされます。紙に描いて切って作られているとは思えないほど精巧な作品なので、ぜひジブリパークで実物をご覧ください!

「宮﨑駿のパノラマボックス」メディア取材会、スタジオジブリ、ロビー
ロビーでトトロに会えました!

【宮﨑 駿のパノラマボックス】メディア取材会:
2026年3月17日取材 TEXT by Myson

宮﨑 駿のパノラマボックス

「宮﨑駿のパノラマボックス」宮崎駿監督

2026年7月8日(水)よりジブリパーク「ジブリの大倉庫」の企画展示室にて計31点公開予定
スタジオジブリ公式サイト

パノラマボックスとは、箱の中に描かれた絵をのぞき込むと、映画のワンシーンのような奥行きのある風景が広がって見える仕掛け絵のような絵箱のことです。キャラクターや背景画などが別々に描かれ、箱の中に何層にも分けて配置されます。
この仕組みは、セルアニメーションの制作における「マルチプレーンカメラ」の技法に通じています。セルと背景画の間隔をあけて多層に重ねた状態で撮影することで、二次元の絵に奥行を生み出しています。その内部には透明のガラス板に描かれた絵のパーツがいくつも組み込まれています。
宮﨑駿監督は、今回のパノラマボックスを制作している最中「子どもの頃にパノラマボックスのようなものを夢中になって作った」としばしば話していました。
今作は、ジブリ美術館での手法とは異なり、ガラス板は使わず、宮﨑監督が子どもの頃と同じように全て紙で作っています。
紙に描いた絵を切り抜いて、幾層にも重ねた空間をのぞいてみると、見る角度を変えるたびに新しい景色が見えてきます。
アニメーションの画面構成に長年携わってきた宮﨑監督は、子ども時代からのルーツに立ち返りながら、それぞれの箱の中に魅力あふれる新たな世界を生み出しました。宮﨑監督が大真面目に作り上げた紙工作を、どうぞ隅々までお楽しみください。
(公式資料より)

全作品名/パノラマボックスのタイトル
01 君たちはどう生きるか/「黄金の門」
02 となりのトトロ/「のりますか?」
03 風の谷のナウシカ/「ワァーごめん」
04 崖の上のポニョ/「海のお母さん」
05 となりのトトロ/「はじめての出会い」
06 君たちはどう生きるか/「ワラワラ」
07 千と千尋の神隠し/「鬼のふろ屋」
08 崖の上のポニョ/「いってくるねーッ」
09 もののけ姫/「群狼」
10 魔女の宅急便/「オーイあぶないよ」
11 となりのトトロ/「ねむいよー」
12 崖の上のポニョ/「怪船あらわる」
13 ハウルの動く城/「お茶にしましょう」
14 ハウルの動く城/「空中散歩」
15 君たちはどう生きるか/「インコ帝国」
16 魔女の宅急便/「おるす番」
17 紅の豚/「アジトにて、水クミ」
18 千と千尋の神隠し/「釜じい」
19 星をかった日/「星をかった日」
20 紅の豚/「ホテルアドリアーノ」
21 魔女の宅急便/「おとどけものある?」
22 風の谷のナウシカ/「巨神兵」
23 天空の城ラピュタ/「タイガーモス」
24 星をかった日/「難民船の夜」
25 新作/「ブタが帰ってきた!」
26 水グモもんもん/「マッカチン」
27 風立ちぬ/「空へ」
28 となりのトトロ/「へんなの?」
29 新作/「船の墓場」
30 新作/「人魚姫」
31 天空の城ラピュタ/「天空の城」
■制作/宮﨑 駿 美術/吉田 昇 制作補佐/高屋法子

©Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
© Museo d’Arte Ghibli
© 1988 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli
© 1989 Eiko Kadono/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, N
© 2001 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDTM
© 2004 Diana Wynne Jones/Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDDMT
© 2008 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDHDMT
© 2023 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli

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  4. 映画『全知的な読者の視点から』イ・ミンホ/アン・ヒョソプ/チェ・スビン/シン・スンホ/ナナ/ジス/クォン・ウンソン
  5. 映画『君が最後に遺した歌』道枝駿佑/生見愛瑠

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