REVIEW

ポーランドへ行った子どもたち【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ポーランドへ行った子どもたち』チュ・サンミ/イ・ソン

本作は、監督、俳優として活躍するチュ・サンミが、1950年代に北朝鮮から秘密裏にポーランドへ強制移送された戦災孤児の真相を追ったドキュメンタリーです。取材には、チュ・サンミ監督と共に俳優志望で脱北の過去を持つイ・ソンも同行しており、2人の仲が深まっていく様子や、真実を知り心が揺れ動く姿が映し出されています。
劇中には当時孤児達を受け入れていたポーランド人教師らの姿も映し出されており、そこで明かされる真実には胸が熱くなります。北朝鮮からポーランドへ送られた戦災孤児については、韓国内でもほとんど知られていなかった歴史だそうで、そこに焦点を当て取材を進めた監督の探究心にも驚かされます。また、監督自身、出産後に産後うつを経験したそうで、その経験や親心といった点も、本作に優しく結び着いているように感じられます。
子どもが全く知らない土地に送られるなんて本当に怖いことですし、大人の勝手な争い事に関係のない子ども達が振り回されていると思うと切なくなります。未だに戦争が存在する現代にも通ずるメッセージが詰まった作品なので、これを機に改めて戦争についても考えてみてください。

デート向き映画判定
映画『ポーランドへ行った子どもたち』

ドキュメンタリー好きや付き合いの長いカップルなら一緒に観ても良いと思います。恋愛要素はありませんが、戦争孤児とポーランド人教師の関係には驚くと同時に、彼等の間にある深い愛情も感じるのではないでしょうか。そういった場面を一緒に観ることでお互いの大切さも再確認できそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ポーランドへ行った子どもたち』

キッズにとっては難しい内容だと思うので、せめて中学生くらいになってから観てください。ティーンの場合も韓国やポーランドの歴史をよく知らないとピンと来ないかもしれませんが、戦争孤児とポーランド人教師が交流する姿や、取材をした監督とイ・ソンの様子からは、何か感じ取れるものがあるはずです。もし気になった点があれば、自分なりに調べてみると勉強にもなりますよ。

映画『ポーランドへ行った子どもたち』チュ・サンミ/イ・ソン

『ポーランドへ行った子どもたち』
2022年6月18日より全国順次公開
太秦
公式サイト

©2016. The Children Gone To Poland.

TEXT by Shamy

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

映画『秒速5センチメートル』松村北斗 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一 旅と日々【レビュー】

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化…

映画『風のマジム』肥後克広 肥後克広【ギャラリー/出演作一覧】

1963年3月15日生まれ。沖縄県出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー
  4. 映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング
  5. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP