REVIEW

トールキン 旅のはじまり

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『トールキン 旅のはじまり』ニコラス・ホルト

言語学の天才が作り出す物語というところが、トールキンの作品がただの小説とは違う彼独特の世界観のルーツになっていることが本作からよくわかります。若くして父と母を亡くした彼が、並々ならぬ才能でオックスフォード大学に入学し、生涯の友を見つけ、お互いの存在が自分達の道を貫く勇気と行動力に繋がっていく友情物語としてまず心を打たれます。さらに「宝物を見つけて」という亡き母の言葉にならって、彼にしか得られない“宝物”を見つけていくという成長物語としてもすごく共感できて、悲しみをバネに強くなるという王道のストーリーでありながら、やはり重みを感じます。本当に言語の研究が好きで、その熱い思いで道を切り拓いていく姿にもとても勇気をもらえて、彼の辛い半生のなかのサクセスストーリーとなっていて、ラストは清々しい気持ちになれます。資料によると、第一次世界大戦で従軍したトールキン自身は、「指輪物語」のいろいろな出来事は世界大戦の実話からとったものではないと明言しているそうですが、戦争体験だけでなく、子どもの頃からも含めたいろいろな経験が、彼が生んだ物語のルーツになっている部分はあるんだろうなと本作を観て感じました。そう考えると、小説や映画化された作品のファンとしても余計に感慨深く本作を観られると思います。

デート向き映画判定
映画『トールキン 旅のはじまり』ニコラス・ホルト/リリー・コリンズ

ラブロマンスも重要な鍵を握っているので、デートで観るのもアリだと思います。思うようにいかない人生の中で、恋に苦しみ、愛に救われていく姿が描かれているので、ロマンチックなムードになれるはずです。気まずいシーンはないので、初デートで観ても大丈夫ですよ。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『トールキン 旅のはじまり』ニコラス・ホルト

トールキンが書いた小説がどんなものか知っておいたほうがより感慨深く観られると思うので、できれば小説を読んでみるか、映画の“ロード・オブ・ザ・リング”シリーズや“ホビット”シリーズを先に観ておくと良いでしょう。その点も踏まえつつ、本作を等身大で感情移入できそうなことを考えると、中学生以上向けかなと思います。

映画『トールキン 旅のはじまり』ニコラス・ホルト/リリー・コリンズ

『トールキン 旅のはじまり』
2019年8月30日より全国公開
20世紀フォックス映画
公式サイト

© 2019 Twentieth Century Fox

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『またヴィンセントは襲われる』カリム・ルクルー またヴィンセントは襲われる【レビュー】

主人公のヴィンセントは、ある日突然、会社でインターンの男性に襲いかかられ…

海外ドラマ『三体』エイザ・ゴンザレス ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き】8〜「最近観たNetflix作品」

『三体』は全部観た方とぜひ共有したい、とある伏線についての話で盛り上がっています…

映画『カラーパープル』タラジ・P・ヘンソン タラジ・P・ヘンソン【プロフィールと出演作一覧】

1970年9月11日アメリカ、ワシントンD.C.生まれ。俳優、プロデューサー、監督。2001年『サウスセントラルLA』で注目を集め…

映画『胸騒ぎ』 胸騒ぎ【レビュー】

『胸騒ぎ』というタイトルなので、最初から嫌な予感にアンテナが立ってしまい…

映画『トランスフュージョン』サム・ワーシントン トランスフュージョン【レビュー】

ティーンエイジャーの息子のお父さん役を演じているサム・ワーシントン…

映画『夢の中』山﨑果倫/櫻井圭佑 夢の中【レビュー】

本作は、『蝸牛』でMOOSIC LAB 2019短編部門グランプリほか4冠を達成した都楳勝監督による最新作です。主人公のタエコ(山﨑果倫)の…

『ウォーレン・バフェット氏になる』ウォーレン・バフェット 本物かペテン師か【ビジネスの巨人】映画特集

儲け話というよりも人生訓として、良いお手本、悪いお手本の両方で、どのエピソードにも参考になる要素があります。

映画『無名』トニー・レオン 無名【レビュー】

第2次世界大戦下の1940年代上海で、中国共産党、国民党、日本軍のスパイが…

映画『FARANG/ファラン』ナシム・リエス 『FARANG/ファラン』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『FARANG/ファラン』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『ミセス・クルナス vs.ジョージ・W・ブッシュ』メルテム・カプタン ミセス・クルナス vs.ジョージ・W・ブッシュ【レビュー】

トルコ移民のラビエ(メルテム・カプタン)は、ある日、長男のムラートが旅先のパキスタンでタリバンの一員だと疑われて拘束されたことを知り…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『MIRRORLIAR FILMS Season5』横浜流星 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内20代編】

今回は、国内で活躍する20代(1995年から2004年生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で70名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ 映画好きが選んだ2023洋画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の洋画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の洋画ベストに輝いたのでしょうか?

映画『テルマ&ルイーズ 4K』スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『テルマ&ルイーズ』

今回は『テルマ&ルイーズ』のリメイクを作るとしたら…ということで、テルマ役のジーナ・デイヴィスとルイーズ役のスーザン・サランドンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに聞いてみました。

REVIEW

  1. 映画『またヴィンセントは襲われる』カリム・ルクルー
  2. 映画『胸騒ぎ』
  3. 映画『トランスフュージョン』サム・ワーシントン
  4. 映画『夢の中』山﨑果倫/櫻井圭佑
  5. 映画『無名』トニー・レオン

PRESENT

  1. 映画『FARANG/ファラン』ナシム・リエス
  2. 映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ
  3. 映画『九十歳。何がめでたい』草笛光子
PAGE TOP