REVIEW
ジョージ・クルーニー、アダム・サンドラー、ローラ・ダーン、ビリー・クラダップ、ライリー・キーオ、ジム・ブロードベント、パトリック・ウィルソン、グレタ・ガーウィグ、エミリー・モーティマー、アルバ・ロルバケル、アイラ・フィッシャーなど、これでもかといわんばかりの豪華キャストが集結した本作は、ノア・バームバックとエミリー・モーティマーの共同脚本で作られました。監督はバームバックが務めています。

主人公のジェイ・ケリー(ジョージ・クルーニー)は、大物人気俳優として確固たる地位を築き、わがまま放題に振る舞っていました。でも、親しくしていたピーター・シュナイダー監督(ジム・ブロードベント)が亡くなったのをきっかけにこれまでの人生を振り返ります。そして、突然あらゆる予定をひっくり返し、次女の旅行先に出向くと言い出します。

本作は、タイトルにもなっているジェイ・ケリーを主人公とした物語でありつつ、ジェイをそばでずっと支えてきたロン(アダム・サンドラー)やリズ(ローラ・ダーン)、キャンディ(エミリー・モーティマー)等、映画業界の裏方の人々を含めた群像劇ともいえます。だから、ジェイに感情移入して観る方もいれば、ジェイに振り回されてプライベートを犠牲にしてきた裏方の面々に感情移入する方もいるでしょう。本作を観ていると、バームバック監督やスタッフ、キャスト達皆が本作を作りながら、自分達のキャリアも見つめ直したのだろうなと想像しちゃいます。

キャラクター達には、プライベート、特に家族との時間をあまり作れなかったことに後悔が見える一方で、やっぱり仕事愛もうかがえます。最終的にどんなクライマックスで締めくくるのかが本作の最大の見どころといえるでしょう。

そして、もう一つの大きなテーマは俳優という職業の複雑さです。一つに、ジェイと、かつて共に俳優を目指したティモシー(ビリー・クラダップ)の対比は、俳優という職業で生きていく難しさを物語っています。ここで注目して欲しいのは、酒場でティモシーが、メソッドでメニューを読む(感情が湧くはずがない料理名を感情的に読む)シーンです。観ると、ビリー・クラダップの演技力に驚かされるはずですよ。

また、冒頭に映し出される、詩人で小説家のシルヴィア・プラス(1932-1963)の「自分でいることは重圧。他人か名無しでいるほうが楽だ」という言葉が本作で描かれるテーマすべてを物語っていて、俳優だけではなく、一般庶民が生きていく上でも同じことがいえる気がして胸に刺さります。

昨今、働き方に関する社会通念は変わりつつあるなか、本作のキャラクターと同じようにキャリアを振り返る方も多いのではないでしょうか。さまざまなキャラクターを通して、自分に合う価値観を見つめ直すきっかけに観てみてはいかがでしょうか。
デート向き映画判定

ちらっと恋愛要素が出てくるものの、主軸ではないので、ラブストーリーの展開に気まずくなるということはありません。一方で仕事か家族かと悩むキャラクターが複数登場するので、共通点を感じるキャラクターを観ているといろいろな考えが頭を駆け巡る可能性はあるでしょう。また、自分の人生を振り返る要素が強いストーリーという点も踏まえると、1人でじっくり観るほうが良いのではと感じます。
キッズ&ティーン向き映画判定

ジェイやロン、リズなどを観ていると、今の大人達がこれまで仕事場でどんな状況に追い込まれてきたのかを想像しやすくなるでしょう。一方で皆さんにとっては、現代の価値観には合わないと実感することになるかもしれません。家族が仕事で忙しい家庭なら、敢えて一緒に観てみると、お互いにどう考えているのかを話し合う機会にできそうです。

『ジェイ・ケリー』
2025年11月21日より一部劇場公開/12月5日よりNetflixにて配信中
公式サイト
Netflixで観る
TEXT by Myson

- イイ俳優セレクション/アイラ・フィッシャー
- イイ俳優セレクション/アダム・サンドラー
- イイ俳優セレクション/エミリー・モーティマー(後日UP)
- イイ俳優セレクション/グレタ・ガーウィグ
- イイ俳優セレクション/ジム・ブロードベント
- イイ俳優セレクション/ジョージ・クルーニー
- イイ俳優セレクション/パトリック・ウィルソン
- イイ俳優セレクション/ビリー・クラダップ
- イイ俳優セレクション/ライリー・キーオ(後日UP)

























