REVIEW
人間という社会的動物の残念な一面を揶揄する秀逸なストーリーです。主人公のマティアス(アルブレヒト・シュッフ)は、クライアントの望み通りに“誰”にでも扮します。目的を果たすために必要な同伴者を完璧に演じるマティアスは、いつも高評価を得ています。でもプライベートでは、恋人ソフィア(ユリア・フランツ・リヒター)との関係がギクシャクしていきます。

社会で生きていく上で、自分が周囲からどう見えているかを意識せずにはいられません。承認欲求を満たしたり、何らかの目的を果たすためだけではなく、身だしなみのように、マナーとして自分の見え方を意識することも含まれます。だから、自分を“演出”することすべてが悪というわけではありません。

でも、本作を観ていると線引きの難しさを痛感します。マティアスが関わるのは、クライアントのリアルな人間関係であり、リアルな人生です。だから、点では成功といえても、線や面で考えると、クライアントはもちろん、その周囲の人達にとって良いことなのかには疑問が残ります。

マティアス自身に影響が及んでも不思議ではありません。“パフォーマンス”が体に染みついてしまったマティアスの現実と演出された世界の境目はどんどん失われていきます。同時に、人から求められる人物を演じているマティアスから人間味が失われていきます。そして、世の中の目も狂ってきていると知らしめるラストシーンは、シュールで恐ろしいものがあります。

近年SNSやAIの普及により、“演出”がますます容易にできる状況になりました。こうした状況を本作の状況に置き替えてみると、クライアントのように“演出された自分”、マティアスのように“演じている自分”の度が行き過ぎると、自分がどう見えるかどころか、消えてしまう可能性、つまり存在意義を失う可能性を感じます。そんなことを考えさせられる1作です。
デート向き映画判定

カップルで観ると、マティアスとソフィアに自分達を重ねる方もいるかもしれません。悪意はなくとも必死に自分を取り繕って関係を維持しようとしている方は、本作を観ると良い意味で危機感を持てると思います。本当の自分でパートナーと真正面から向き合いたい方は、敢えて一緒に観て、少しずつでも本当の自分を出すきっかけにしてはどうでしょうか。
キッズ&ティーン向き映画判定

とてもわかりやすいストーリーなので、年齢を問わずオススメします。皆さんは学校や部活など集団行動を余儀なくされる環境にいるので、周囲と問題なく付き合うために取り繕わざるを得ない状況も少なくないでしょう。なので、共感しながら観られる部分があると思います。自分を取り繕わざるを得ない状況に疲れている方は特に、ラストシーンで吹っ切れる感覚が得られるでしょう。

『PEACOCK/ピーコック』
2026年7月24日より全国順次公開
カルチュアルライフ
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TEXT by Myson
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情報は2026年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

- イイ俳優セレクション/アルブレヒト・シュッフ(後日UP)





























