REVIEW

ACIDE/アシッド【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ACIDE/アシッド』ペイシェンス・ミュンヘンバッハ

REVIEW

前情報を極力入れないとしても、タイトルから“酸”にまつわるストーリーだということは皆さん想像されるでしょう。ACIDEはフランス語で酸、英語ではACIDです。ただ、序盤のこじれた家族の様子がその後の酸性雨が降る展開とどう関係するのかは想像がつかない分、余計に最初から引き込まれます。
劇中では、ある日、地上のあらゆるものを溶かしてしまう高濃度の酸性雨が降るというニュースが流れてから、他人事に思っている暇もなくすぐさま自分達の身に降りかかる様子が描かれています。相手は“自然”なので制御することはできない上に、何でも溶かしてしまうので、屋内でも安心できず、途方に暮れるしかない展開が続きます。そういった状況では助け合い、支え合いが不可欠なところ、こじれた家族関係が思わぬ事態を巻き起こします。

映画『ACIDE/アシッド』ペイシェンス・ミュンヘンバッハ

思春期の娘の言動を観ているともどかしい部分があるものの、親への愛情と不信感で葛藤する気持ちはわからなくもありません。一方で、親の都合が目に付きながら、やはり子どものためなら何でもする姿勢には共感します。
酸性雨を浴びて死にゆく動物や人々の姿に恐怖をおぼえるのはもちろん、脅威が広範囲に一気に広まり、あっという間に人間を制圧してしまう自然の恐ろしさを目の当たりにします。ジュスト・フィリッポ監督は、イナゴの狂気を描いた『群がり』(2024年8月22日現在、Netflixにて配信中)で長編デビューを果たした新鋭ということで、今後も期待が膨らみます。

デート向き映画判定

映画『ACIDE/アシッド』ギヨーム・カネ/レティシア・ドッシュ/ペイシェンス・ミュンヘンバッハ

ラブストーリーの要素がちらっとあると同時に、元夫婦の生々しい不仲な様子も描かれているので、ロマンチックなムードになるよりは、現実を見せつけられる感覚のほうが強く印象に残りそうです。ただ、ストーリーの主軸ではないので、パニックムービーとして楽しむならデートで観るのもアリだと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ACIDE/アシッド』ギヨーム・カネ/ペイシェンス・ミュンヘンバッハ

ある意味、お化けが出てきたり、殺人鬼が出てくるホラーよりもよっぽど怖いと思います。相手が自然現象なだけに人間が太刀打ちできる余地がなく、ただただ逃げるしかありません。そんな時に、どんな対応を取るべきか、悪いお手本も出てきます。親に反抗したい気持ちがあっても、時と場所は選ぶべきで、危険な状況下では素直にいうことを聞いたほうが良いだろうこともシミュレーションできるでしょう。

映画『ACIDE/アシッド』

『ACIDE/アシッド』
2024年8月30日より全国公開
ロングライド
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© BONNE PIOCHE CINÉMA, PATHÉ FILMS, FRANCE 3 CINEMA, CANÉO FILMS – 2023

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

映画『君の顔では泣けない』芳根京子 芳根京子【ギャラリー/出演作一覧】

1997年2月28日生まれ。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー 『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

今回は『白の花実』に出演する美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんにお話を伺いました。撮影前に準備されたことや、本編を観た感想を直撃!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  2. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  4. Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック
  5. 映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP