REVIEW
森の奥深くに住む不思議な動物オチと、オチを恐れ排除しようとする人間の姿を映す本作は、現実とファンタジーが融合した独特な世界観を持っています。本作で脚本を手掛け、長編映画監督デビューを果たしたのは、アイザイア・サクソン。映画公式資料によると、サクソン監督は、「これまでにビョーク、パンダ・ベア、ダーティー・プロジェクターズ、グリズリー・ベアといったアーティストのミュージック・ビデオを手掛け、D&AD賞、英国VMA賞、アントビルMV賞やスピン誌の年間最優秀ビデオ賞など数多くの賞を受賞」した経歴を持っています。なるほど、ポップで幻想的な本作の独特な映像美は、これまで一流アーティストの世界観を映像化してきた経験から培われてきたのだなと感じます。

主人公のユーリ(ヘレナ・ツェンゲル)は、父マキシム(ウィレム・デフォー)と、父が預かった孤児のペトロ(フィン・ウォルフハード)の3人で暮らしています。マキシムはオチ狩りに執念を燃やし、ユーリとペトロの他に村の少年達にもオチ狩りに熱心に取り組むよう焚きつけます。そんななか、ある日一人で森に入ったユーリは、罠にかかっている子どものオチを見つけます。

これはユーリの家族の物語です。彼女の過去に何が起こり、オチがどう関わっていくのかは本編でご覧いただくとして、本作はとてもシンプルなストーリーながら、家族を繋ぎ止める大切なものとは何かを強く訴えてきます。ネタバレを避けながらチラッとだけ書くと、鍵は“言葉”と“コミュニケーション”です。その鍵にたどり着くまでの伏線も見事です。

ユーリを演じるヘレナ・ツェンゲルは、『システム・クラッシャー』での名演が評価され、本作でも好演しています。『システム・クラッシャー』で観た面影はありつつ、だいぶ大人っぽくなっていますよ。そして、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』でお馴染みのフィン・ウォルフハードや、エミリー・ワトソン、ウィレム・デフォーといった豪華キャストが脇を固めています。フィンは既に多くの作品に出演していて、引っ張りだこですね。どんな世界観にもハマる名優エミリー・ワトソンとウィレム・デフォーの演技もシビれます。

ラストはウルウルさせられ、とても温かい気持ちになれます。家族が壊れてしまった後、それぞれに抱えてきた寂しさと苦しみが、どんな風に癒されていくのか、ぜひご覧ください。
デート向き映画判定

本作を観ると、夫婦の問題と、家族全体の問題は絡み合ってはいるものの、“両親”として子どものためにできることはあると感じます。本作で描かれる人間とオチの対立は、夫婦のすれ違いの比喩にも思えるところがあり、ぜひセリフの背景にある意味も想像してみてください。現在、パートナーと不和状態にある場合は、一緒に観るのは厳しいとしても、1人で観て、どこで関係が壊れたのかを振り返るきっかけにできそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

親は子どもを愛していても、時に心ない言葉を無意識に吐いているかもしれません。本作でも、ユーリの心が静かに傷ついている様子が見てとれます。大人がいうことに違和感があり、ユーリが自分自身の判断で行動する場面にも注目してください。自分で考えて、自分の意志で行動したことで、ユーリが何を得るのかを観ると、皆さんも勇気ももらえるのではないでしょうか。

『OCHI! -オチ-』
2026年4月3日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2026年4月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。





























