REVIEW

おもかげ

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『おもかげ』マルタ・ニエト/ジュール・ポリエ

冒頭の電話越しの息子とのやり取りがとてもスリリングで、相手が幼い子どもなだけに、自分が母親だったらどうするかと想像しながら観て、リアルに動揺を味わえます。そこから、10年経った後の主人公の生活ぶりがメインで描かれていくのですが、いなくなった息子のことを忘れられるはずはなく、ずっと過去に縛られて生きています。そんな主人公は、ある日自分の息子の面影を持つ少年に出会うのですが、彼と不思議な関係になっていきます。彼が何者なのかを想像しながら観るのも本作の醍醐味なので伏せておきますが、息子のように思っている少年に対して、主人公がどう気持ちの整理をしていくのかを見守りながら観ることになります。どうやってこの物語は終わるんだろうとどんどん読めない展開になっていくのですが、「なるほど!そういう関係になるからこそ、気持ちに変化が生まれるんだな」と、人間関係の設定が実に巧妙です。切なさと悲しさだけでなく、清々しさと希望も描いている点で、人はいつか前を向いて進めるようになると思わせてくれる作品と言えるでしょう。

デート向き映画判定
映画『おもかげ』マルタ・ニエト/ジュール・ポリエ

カップル、夫婦で観ると何だか複雑な気分になりそうです(笑)。主人公と少年の実際の関係がなんであるかはさておき、カテゴリー化できない感情があり、それが何なのかはっきりできない関係ってあるんだなと実感できると思います。1人でじっくり観るか、友達と観るほうが、鑑賞後に気兼ねなくいろいろ話せて楽しいのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『おもかげ』ジュール・ポリエ

親子で観ても、何とも言えない雰囲気になりそうな気がします(笑)。キッズはまだ理解が難しいところもあるかも知れませんが、ティーンの皆さんなら、本作で描かれる不思議な関係の裏にあるいろいろな感情はどこからくるのか、想像を膨らませながら、客観視しながら観られるのではないでしょうか。親が子を思う気持ちに寄り添いながら観ることもできるので、反抗期の皆さんは本作を観ると、ちょっと親に優しくしてあげたくなるかも知れません(笑)。

映画『おもかげ』マルタ・ニエト/ジュール・ポリエ

『おもかげ』
2020年10月23日より全国公開
PG-12
ハピネット
公式サイト

© Manolo Pavón

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』岸井ゆきの/ツェン・ジンホア シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE【レビュー】

第58回谷崎潤一郎賞を受賞した吉本ばななの短編小説集「ミトンとふびん」に収められた一篇「SINSIN AND THE MOUSE」を原作とする本作は…

映画『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?』ジェフリー・ラッシュ ジェフリー・ラッシュ【ギャラリー/出演作一覧】

1951年7月6日生まれ。オーストラリア、クイーンズランド州トゥーンバ出身。

映画『ロングウォーク』クーパー・ホフマン/デヴィッド・ジョンソン ロングウォーク【レビュー】

最後の1人になるまで休むことなく何日も歩き続けるというシンプルな設定で、背景が異なる若者達の成長と葛藤を見事に描く秀作…

映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック 『白パンと独裁者』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『白パンと独裁者』一般試写会 10組20名様ご招待

映画『Michael/マイケル』ジャファー・ジャクソン ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】あの映画がおもしろいと思う本当の理由『億万長者の不都合な終末』『急に具合が悪くなる。』『Michael/マイケル』など5作

6月はオススメしたい作品がいっぱいです!一部、短めに取り上げながら、今回はなるべくネタバレせずにお話しています。

映画『さよなら、僕の英雄』マッツ・ミケルセン/ニコライ・リー・コス さよなら、僕の英雄【レビュー】

『さよなら、僕の英雄』というタイトルや、マッツ・ミケルセンの新鮮な風貌から、ホッコリするストーリーなのかと思いきや…

映画『テルマがゆく!93歳のやさしいリベンジ』ジューン・スキッブ ジューン・スキッブ【ギャラリー/出演作一覧】

1929年11月6日生まれ。アメリカ、イリノイ州ヴァンダリア出身。

映画『億万長者の不都合な終末』メアリー・エリザベス・ウィンステッド 億万長者の不都合な終末【レビュー】

『プラットフォーム』で階級社会を見事に描いたガルデル・ガステル=ウルティア(ガルダー・ガステル=ウルティアと書くこともある)監督の作品…

映画『マジカル・シークレット・ツアー』有村架純/黒木華/南沙良 マジカル・シークレット・ツアー【レビュー】

金の密輸をした主婦達が中部国際空港で逮捕された事件が報道された2017年、育児に追われていた天野千尋監督は、「【金塊を下着に隠して密輸した主婦5人を逮捕】という記事を目にして…

映画『Chime』吉岡睦雄 吉岡睦雄【ギャラリー/出演作一覧】

1976年7月11日生まれ。広島県出身。

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集! 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

今回は、私の研究で扱っている情動知能を取り上げます。非認知能力という言葉を聞いたことがあるでしょう…

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!
  2. 映画『炎上』森七菜/髙橋芽以
  3. 【映画学ゼミ第8回】「感情は有用か、有害か、映画の場合で考える」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』岸井ゆきの/ツェン・ジンホア
  2. 映画『ロングウォーク』クーパー・ホフマン/デヴィッド・ジョンソン
  3. 映画『さよなら、僕の英雄』マッツ・ミケルセン/ニコライ・リー・コス
  4. 映画『億万長者の不都合な終末』メアリー・エリザベス・ウィンステッド
  5. 映画『マジカル・シークレット・ツアー』有村架純/黒木華/南沙良

PRESENT

  1. 映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック
  2. 映画『ヌーヴェルヴァーグ』ギヨーム・マルベック/ゾーイ・ドゥイッチ
  3. 映画『大統領のケーキ』バニーン・アハマド・ナーイフ
PAGE TOP