REVIEW

ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

REVIEW

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘しました。本作が日本で劇場公開される2025年は、ボンヘッファー没後80年にあたります。本作は、彼の生い立ちや、牧師としてどんな活動を行っていたのかを描いています。

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー/アウグスト・ディール

本作は、『ハドソン川の奇跡』や『博士と狂人』など実話を基にした名作を手掛けてきたトッド・コマーニキが監督・脚本・製作を務めています。制作国はアメリカ、ベルギー、アイルランド、言語は英語で作られつつ、メインキャラクターはドイツの実力派俳優、ヨナス・ダスラー、アウグスト・ディール、モーリッツ・ブライブトロイが演じています。

ヒトラーは第二次世界大戦でドイツ敗戦を機に自害するまで、何度も暗殺を逃れています。これまでもヒトラー暗殺計画を描いた作品があり、本作もその一つです。特徴として、本作は宗教のあるべき姿を見直すストーリーとなっています。当時の状況をトッド・コマーニキは以下のように語っています。

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

1933 年、ヒトラーがドイツで権力を掌握した際、彼が最初に掌握したのはドイツの教会でした。彼は過激な民族主義を武器に、ルター派とカトリックの指導部を自らの世界観に同調させました。数ヶ月で、聖堂から聖書と十字架が消え去り、その代わりに『我が闘争』と常に目立つスワスティカ(カギ十字)が置かれるようになりました。
教会の中にいたある男は、政治的勇気は信仰の行為であり、悪に対して沈黙を保つことは、実は悪そのものだと決断した。「ボンヘッファー」は、その男の物語である。(映画公式資料)

ヒトラーは政治だけではなく、『ミケランジェロの暗号』『ミケランジェロ・プロジェクト』『黄金のアデーレ 名画の帰還』『ヒトラーvs.ピカソ 奪われた名画のゆくえ』などで描かれたように、世界征服のために芸術作品を強奪し利用していたことでも知られています。本作では宗教にまで介入し、権力を誇示しようとしていた状況が描かれており、当時のドイツがいかに狂気的な時代だったかが伝わってきます。そんな異状な事態でも誰も立ち向かえないなか、ボンヘッファーは身を挺して人々の信仰を守るべく闘いました。

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

ボンヘッファーは牧師でありながら、スパイ活動を行うなど目的のためにあらゆる手段をとったことがわかります。並みの精神力では務まらないのは当然ながら、苦境にある彼が常に自身の信仰を頼りにしていた様子が、何より真の信仰者であり聖職者だと証明しています。彼の言葉には愛と力が感じられ、ほとんど獄中で書かれたとされている著書にも興味が湧きます。本作で描かれた歴史をぜひ目に焼き付けてください。

デート向き映画判定

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

特にデート向きといえる内容ではないものの、観る者の人生観を問うストーリーともいえるので、2人で一緒に観て感想を述べ合うと、根本的な価値観が近いかどうか測れるところがあるでしょう。大切な人が危険にさらされる様子を観るのは本当に辛いものの、その意志を尊重できるのかと考えるきっかけにもなりそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

ヒトラー統治下のナチスドイツは各国にさまざまな影響を与えました。本作はドイツ国内の話に留まらず、アメリカやイギリスなどとの関係も描かれています。激動の時代で、1人の牧師の地道で真摯な言動が、どんなに尊く大きなものだったか実感できるでしょう。歴史の勉強も兼ねてぜひご覧ください。

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』
2025年11月7日より全国公開
ハーク
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

© 2024 Crow’s Nest Productions Limited

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年11月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『五月の雨』安川まり 『五月の雨』【レビュー】

本作は、DV被害者の実状を、ドキュメンタリーにドラマを織りまぜた構成で訴えかけています…

映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ/チン・ソヨン 大丈夫、大丈夫、大丈夫!【レビュー】

不幸な状況が前提とされているにもかかわらず、ユーモアに溢れ…

映画『OCHI! -オチ-』ヘレナ・ツェンゲル ヘレナ・ツェンゲル【ギャラリー/出演作一覧】

2008年6月10日生まれ。ドイツ出身。

映画『炎上』森七菜 炎上【レビュー】

日本の都会のど真ん中にいるストリートチルドレンの日常を描いた作品…

映画『29歳からの恋とセックス』グレタ・ガーウィグ 未公開映画活性課ナ行

未公開作品のなかから、当部が気になる作品、オススメしたい作品をご紹介。

映画『ハムネット』ジェシー・バックリー ハムネット【レビュー】

REVIEW『ハムネット』という響きから、もしかしてあの名作に何らかの関係があるのかもしれ…

映画『終点のあの子』南琴奈 南琴奈【ギャラリー/出演作一覧】

2006年6月20日生まれ。埼玉県出身。

海外ドラマ『華麗なるマードー家』パトリシア・アークエット/ジェイソン・クラーク 華麗なるマードー家【レビュー】

2021年6月7日、アメリカのサウスカロライナ州の法曹界で代々名を馳せてきたマードック家のアレックス・マードックが、妻と次男を射殺した実際の殺人事件を基にしています…

映画『プラダを着た悪魔2』来日スペシャルイベント:メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ メリル・ストリープ&アン・ハサウェイがK(& TEAM)や日本の若者に熱い言葉『プラダを着た悪魔2』来日スペシャルイベント

20年経っても絶大な人気を誇る『プラダを着た悪魔』の続編がまもなく公開!そして、この度、アン・ハサウェイとメリル・ストリープが揃って来日してくれました。

映画『ソング・サング・ブルー』ヒュー・ジャックマン/ケイト・ハドソン ソング・サング・ブルー【レビュー】

演技力だけでなく、歌唱力にも定評のあるヒュー・ジャックマンとケイト・ハドソンが主演を務める本作は…

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集! 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!

感情はまだまだ謎が多く、本当に複雑で深い概念だからこそおもしろい!感情について少しでも知ることで、自分自身の情動コントロールにも少し役立つはずです。

映画『国宝』吉沢亮 映画好きが選んだ2025邦画ベスト

今回は、正式部員の皆さんに投票していただいた2025年邦画ベストの結果を発表!2025年の邦画ベストで上位にランクインしたのはどの作品でしょう?

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』 私ならこうする!『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』を観た女子の本音

ショートドラマ『復讐同盟 —サレ妻と愛人はクズ旦那を制裁する—』をトーキョー女子映画部正式部員の皆さんに観ていただき、感想や「私ならこうする!」を聞いてみました。

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第7回】「そもそも感情ってどうやって湧いてくるの?感情の仕組み」参加者募集!
  2. 【映画学ゼミ第6回】「鑑賞者のローカス・オブ・コントロールと、映画鑑賞における着眼点・感想の関係」参加者募集!
  3. 【映画学ゼミ第5回】「登場人物にみる人間の非合理性」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『五月の雨』安川まり
  2. 映画『大丈夫、大丈夫、大丈夫!』イ・レ/チン・ソヨン
  3. 映画『炎上』森七菜
  4. 映画『ハムネット』ジェシー・バックリー
  5. 海外ドラマ『華麗なるマードー家』パトリシア・アークエット/ジェイソン・クラーク

PRESENT

  1. 映画『オールド・オーク』デイヴ・ターナー/エブラ・マリ
  2. 映画『ミステリー・アリーナ』唐沢寿明
  3. ドラマ『外道の歌 SEASON2』窪塚洋介/亀梨和也/南沙良
PAGE TOP