REVIEW

ファミリー・ディナー【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ファミリー・ディナー』ピア・ヒアツェッガー/ニーナ・カトライン/ミヒャエル・ピンク/アレクサンダー・スラデック

REVIEW

森の近くに佇む一軒家を舞台に、登場人物4人だけで展開されるスリラーです。設定がとてもシンプルながら、とても見応えのある良作です。主人公のシミーは、イースター(復活祭)を前にある目的を持って、叔母のクラウディアのもとにやってきます。クラウディアはベストセラーを持つ料理研究家であり栄養士で、いつも美味しそうな手料理が食卓に並びます。でも、クラウディアと夫のシュテファンは、イースターの“儀式”のために断食をしています。一方、従兄弟のフィリップは、母クラウディアが出す美味しそうな料理を前にしてもどこか表情が暗く、シミーにも敵対的な態度を示します。
タイトルにあるように、家族の食卓は何度も登場し、本作の要になっています。最初からなんだかいやーな予感がずっと漂いつつ、不可解な状況ばかりで、良い意味でいろいろな想像を掻き立てられます。また、シミーのキャラクター設定が巧妙で、彼女の優しさと芯の強さが、物語にどんな化学反応を起こすのかが見どころとなっています。他のキャラクターも裏と表がだんだん見えてきて、クライマックスに向けてスリルがどんどん増していきます。
いやーな予感はしつつ、想像よりも露骨な描写は控えめなので、比較的観やすいスリラーだと思います。ただ、ここぞというシーンでは、エライコッチャな状況がちゃんと映りますので、メリハリをお楽しみください。俳優陣の演技、今作が初長編作という期待の新鋭ペーター・ヘングル監督のテーマ設定、脚本、演出、すべてが上手いです。舌の肥えた映画ファンの期待にきっと応えてくれますよ。

デート向き映画判定

映画『ファミリー・ディナー』ピア・ヒアツェッガー/ニーナ・カトライン

お察しのとおり、食前食後は一応避けて観たい作品です。ジャンルを問わず、映画を一緒によく観ているカップルなら、鑑賞後の会話も盛り上がりそうですが、初デートでは相手の許容範囲がわからないので、やめておいたほうが良さそうです。映画好きの友達と観るか、1人でじっくり観るのがオススメです。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ファミリー・ディナー』ピア・ヒアツェッガー/ニーナ・カトライン

PG-12なので大人同伴なら小学生も観られるものの、いろいろな意味で、親子での鑑賞はオススメしません(苦笑)。これは小学生が観るには刺激が強過ぎるでしょう。ティーンの皆さんは、主人公シミーや、従兄弟のフィリップの目線で観られそうです。ティーンの関心が深いテーマを扱っている点で感情移入しやすいと思います。センスの良さを感じる作品なので、映画制作者を目指す方にもぜひ観て欲しい1作です。

映画『ファミリー・ディナー』ピア・ヒアツェッガー

『ファミリー・ディナー』
2023年12月8日より全国公開
PG-12
クロックワークス
公式サイト

© 2022 Capra Film GmbH & Film AG GmbH All rights reserved

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2023年12月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「映画アカウントで自分らしい距離感やペースをどう整えていけばいい?」

正式部員さんからいただいたSNSについてのお悩み相談におこたえしました。後半は…

映画『トロン:アレス』グレタ・リー グレタ・リー【ギャラリー/出演作一覧】

1983年3月7日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『盤上の向日葵』坂口健太郎/渡辺謙 盤上の向日葵【レビュー】

“孤狼の血”シリーズの原作者としても知られるベストセラー作家、柚月裕子の同名小説を映画化した本作は…

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『女性の休日』 女性の休日【レビュー】

ちょうど今から50年前の今日、1975年10月24日に…

映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗 爆弾【レビュー】

呉勝浩による同名ベストセラー小説を原作として映画化された本作は、知らぬ間に…

海外ドラマ『エイリアン:アース』海外ドラマ『エイリアン:アース』 シドニー・チャンドラー【ギャラリー/出演作一覧】

1996年2月13日生まれ。アメリカ出身。

映画『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』マリアンヌ・ジャン=バプティスト/ミシェル・オースティン ハード・トゥルース 母の日に願うこと【レビュー】

現代のロンドンを繰り広げられる本作は、対照的な性格を持つ姉妹のそれぞれの日常を…

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人 ミーツ・ザ・ワールド【レビュー】

この町で出会った、アニメにハマっている腐女子の由嘉里(杉咲花)、キャバ嬢のライ(南琴奈)、既婚の No.1 ホスト、アサヒ(板垣李光人)は、それぞれどこか孤独感、空虚感を…

韓国ドラマ『TWELVE トゥエルブ』パク・ヒョンシク パク・ヒョンシク【ギャラリー/出演作一覧】

1991年11月16日生まれ。韓国出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3 トーキョー女子映画部マイソンと学ぶ【明るい未来のための将来設計とお金の基本講座】(スイーツとお飲み物付)女性限定ご招待!

本セミナーでは、「NISA・iDeCoなどの資産形成」「子どもの教育資金」「将来受け取る年金」「住宅購入・住宅ローン」「保険」など、将来に役立つお金の知識や情報、仕組みやルールについて、ファイナンシャルプランナーの先生が初めての方でもわかりやすく優しく教えてくれます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『盤上の向日葵』坂口健太郎/渡辺謙
  2. 映画『女性の休日』
  3. 映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗
  4. 映画『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』マリアンヌ・ジャン=バプティスト/ミシェル・オースティン
  5. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人

PRESENT

  1. 映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP