REVIEW

フォーエバー・パージ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『フォーエバー・パージ』キャシディ・フリーマン

人気の“パージ”シリーズも本作で5作目となります。本シリーズは、殺人を含むあらゆる犯罪が1年に1度だけ12時間合法とされたアメリカを舞台に、生き残りをかけた人々の姿が描かれています。独自解釈でざっくりいうと、限られた時間にだけ犯罪を許すことで、後は平和になるでしょうという目論見のもとパージ法は施行されたわけです。一見合理的な考え方ですが、そもそも犯罪を犯す人達がルールを守るかと考えたら、無理が出てくる気がしますよね。そんな多くの方が恐らく抱いていた思いを形にしたのが本作です。
前半は「あれ?いつもと違うぞ」という展開に胸騒ぎがして、途中から「そりゃ、そうなるわ。最初からわかってるやん!」と思いながら観るのですが、それだけで終わらないのが本作のおもしろいところ。パージ法を破る人達が出てくることで、アメリカが抱えている闇が浮き彫りにされ、昨今ニュースなどで見るようなアメリカのリアルな社会問題を比喩したストーリーが展開されます。本シリーズは映像的にも過激な怖さがありますが、本当に怖いと思えるのは、やっぱり差別主義や度を超した利己主義が蔓延することだなと実感させられます。観ず嫌いにならずにぜひ観てみてください。

デート向き映画判定
映画『フォーエバー・パージ』ジョッシュ・ルーカス

心理的にも映像的にも怖いので、普段あまりスリラーやホラーといったジャンルを観ない方を誘うのには向いていません。ただ、社会風刺が効いた作品なので、そういったテーマに興味がある相手なら、簡単な内容を伝えた上で試しに誘ってみるのもアリかもしれません。極限に追い込まれた時に大事な人のために奔走するキャラクターも登場するので、自分ならどうするかを考えながら観ると、良くも悪くも相手への正直な気持ちが見えてきそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『フォーエバー・パージ』

ゲーム感覚で気楽に観るなら、この過激な設定に魅力を感じる方もいそうですね。入口としてはエンタテインメントを楽しむというスタンスで良いと思いますが、その奥にあるメッセージに気付ければ、映画のおもしろさがより感じられると思います。興味があれば15歳になってから観てみてください。

映画『フォーエバー・パージ』

『フォーエバー・パージ』
2022年5月20日より全国公開
R-15+
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト

© 2021 UNIVERSAL STUDIO

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  2. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  3. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  4. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  5. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP