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母との約束、250通の手紙

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映画『母との約束、250通の手紙』ピエール・ニネ/シャルロット・ゲンズブール

実在したフランスの文豪ロマン・ガリの自伝小説を映画化。女手一つで1人息子を必死に育てる母の愛は果てしなく強い一方で、息子が大成するようにと願う気持ちも強く、その期待に応えようとする息子が背負う人生の重さは計り知れません。息子ロマンは時に母の干渉から逃れようとしますが、彼の母への愛情もものすごく強くて、決して裏切らない強い絆が描かれています。「息子は小説家になる!」と信じて疑わない母は容赦なく息子に強いプレッシャーをかけますが、何か一つでも母の期待に応えようとするロマンの強さも母譲りなのかなと思うと感慨深く、マザコンと一言で表すのには重すぎる運命で、苦労をしてきた母の人生までも背負って生きているロマンの愛の深さに心を打たれます。とにもかくにも、母の存在って子どもにとって大きいんだなと実感させられる物語。母を演じたシャルロット・ゲンズブール、ロマンを演じたピエール・ニネの演技も見ものです。

デート向き映画判定
映画『母との約束、250通の手紙』ピエール・ニネ

ガッツリ母と息子の物語で、主人公ロマンの人生に登場する女性達の存在は母と比べものになりません。なので、彼女、奥さんの立場で観ると、ちょっと複雑な気持ちになるでしょうし、男性も母との思い出に気兼ねなく浸りながら観るなら、1人でじっくり観るほうが良いと思います。また、さらっと出てくるのであまりエッチな印象を受けませんが、ヌードの女性や、ベッドシーンも何度か出てくるので、初デートでは気まずいかも知れません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『母との約束、250通の手紙』シャルロット・ゲンズブール

R-15なので15歳になってから観てください。ティーンの皆さんにとっては、まだまだお母さんと日々接していると思うので、大人とは違った印象を持って本作を観そうですね。思春期になるとだんだん親との接し方も変わってくるし、干渉して欲しくないと思うこともたまに出てくると思いますが、親はどんな思いで育てているのか本作で客観視できると、親が投げかけてくる一つひとつの言葉も受け取り方が少し変わってくるかも知れません。どんな親子関係が良い悪いというのではなく、親も子もお互いに愛するがゆえに苦しむし、救われるということを知るきっかけになれば良いと思います。

映画『母との約束、250通の手紙』ピエール・ニネ/シャルロット・ゲンズブール

『母との約束、250通の手紙』
2020年1月31日より全国公開
R-15+
松竹
公式サイト

TEXT by Myson

©2017-JERICO-PATHE PRODUCTION-TF1 FILMS PRODUCTION-NEXUS FACTORY-UMEDIA

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