REVIEW

瞳をとじて【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『瞳をとじて』マノロ・ソロ

REVIEW

心の旅をしているような感覚になるストーリーです。物語の始まりは1990年。映画『別れのまなざし』の主演俳優フリオ・アレナスが撮影中に突然失踪してしまいます。その22年後、『別れのまなざし』で監督を務め、フリオの親友でもあるミゲルは、フリオを特集するテレビ番組に出演を依頼されたことをきっかけに、フリオに関わった人物に会います。
本作は、ミゲルの追憶を通して、老いと向き合い、人生とは何かを考えるきっかけを与えてくれます。劇中劇の『別れのまなざし』と、ミゲル達の人生が重なり合う部分からは、人生で失うものと決して失われないものの両方があるのだと教えられたような気がして、切なさと同時に温かさを感じます。ミゲルのもう1人の親友マックスから投げかけられる言葉には金言があり、ハッとさせられるものがあります。クライマックスでマックスからミゲルに語られた言葉は、晩年の生き方を受け容れ、覚悟した言葉にも聞こえて、重みがあります。
そして、何より本作は映画が鍵となっている点で、映画の存在の大きさと、ビクトル・エリセ監督の映画愛をひしひしと感じます。この映画を心の深いところで理解するには、もっと年を重ねてからになるのだろうと思います。また、10年後、20年後…と、自分の年輪が増えるごとに観返したくなる作品です。

デート向き映画判定

映画『瞳をとじて』マノロ・ソロ/アナ・トレント

老いた時に自分に何が残るのか、何ができるのか、どう生きるのかを考えさせられるストーリーです。一生を共にしようと考えている2人なら、人生観を話すきっかけになるのではないでしょうか。一方、誰かと生きる人生の意味を見失っている方は、客観的に見つめ直すきっかけになるかもしれません。1人でじっくり観るのも良いと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『瞳をとじて』マノロ・ソロ/ホセ・コロナド

上映時間が169分あり、静かに展開するストーリーで、老年期の主人公の物語なので、皆さんにとってはまだピンとこないかもしれません。ただ、ビクトル・エリセ監督が丁寧に描く、キャラクター達の心の静かな動きや、絵画的なシーンは、言語化できない何かを感じさせます。いろいろな映画を観てみたいという好奇心が沸いてきている方、映画を作ることに興味が湧いてきた方は、観てみると良いのではないでしょうか。

映画『瞳をとじて』

『瞳をとじて』
2024年2月9日より全国順次公開
ギャガ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

© 2023 La Mirada del Adiós A.I.E, Tandem Films S.L., Nautilus Films S.L., Pecado Films S.L., Pampa Films S.A.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ スワイプ:マッチングの法則【レビュー】

リリー・ジェームズが主演とプロデューサーを兼任する本作は…

映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行【レビュー】

パラリンピックやハンディキャップ・インターナショナルのアンバサダーを務めるアルテュスが…

映画『消滅世界』蒔田彩珠/眞島秀和 眞島秀和【ギャラリー/出演作一覧】

1976年11月13日生まれ、山形県出身。

映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン Fox Hunt フォックス・ハント【レビュー】

“狐狩り隊(=フォックス・ハント)”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチームが、国を跨いだ巨額の金融詐欺事件の真犯人を追い詰めるスリリングな攻防戦が描かれた本作は…

Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック フランケンシュタイン【レビュー】

メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン」はこれまで何度も映像化されてきました。そして、遂にギレルモ・デル・トロ監督が映画化したということで…

映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ 大命中!MEは何しにアマゾンへ?【レビュー】

『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』という邦題がいい感じで「どういうこと?」と好奇心をそそります(笑)…

映画『君の顔では泣けない』芳根京子 芳根京子【ギャラリー/出演作一覧】

1997年2月28日生まれ。

映画『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー 『白の花実』美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんインタビュー

今回は『白の花実』に出演する美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんにお話を伺いました。撮影前に準備されたことや、本編を観た感想を直撃!

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ
  2. 映画『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』アルテュス/アルノー・トゥパンス/ルドヴィク・ブール
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
  4. Netflix映画『フランケンシュタイン』オスカー・アイザック
  5. 映画『大命中!MEは何しにアマゾンへ?』リュ・スンリョン/チン・ソンギュ/イゴール・ペドロゾ/ルアン・ブルム/JB・オリベイラ

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP