REVIEW
ドニー・イェンが監督、製作、出演の法廷劇と聞いただけでも意外に思いつつ、宣伝では“法廷アクション”と謳っているので、なおどういうことか気になりますよね。さらに本作は事実を基にしているというから、観る前から興味津々になります。

本作は、2016年に香港で実際に起きた“馬家健事件”をモチーフにしています。“馬家健事件”とは、生活に困窮する青年が他人に住所を貸し、中身のわからない荷物を受け取り麻薬密売未遂で起訴された事件です。犯罪に加担したとはいえ、荷物を受け取っただけなので刑は軽く済むのかなと思いきや、ストーリーが展開するにつれて、事件の背後に大きな犯罪が絡んでいる様子が見えてきます。

そこで、ドニー・イェンが演じる主人公フォクのキャラクター設定が活きてきます。警察が犯人を捕まえても法の穴をくぐり抜けられれば同じことが繰り返されるため、フォクは“やり方”を変えて闘います。本作は実話ベースといえどもフィクションなので、フォクのような腕の立つ検事はいません。ただし、「香港では実際に警察官や税関職員などの法執行機関の出身者が、第二のキャリアとして弁護士や検事になることは珍しくありません」とのことです(香港法廷弁護士、ニューヨーク州弁護士:ジェイソン・チョウ 映画公式サイト)。

本作は“馬家健事件”を題材に選んだことで、法廷劇としての見応えが抜群です。“馬家健事件”は弱者につけ込み、法の穴をかいくぐる仕組みが悪用された犯罪であったため、実際の裁判でも法が駆使されたのではないかと想像できます。

もちろん、ドニー・イェンのアクションもたっぷり堪能できます。町のあちこちで繰り広げられる戦闘の殺陣がユニークです。そんな本作には、日本から大内貴仁がアクション監督として参戦しています。A-TRIBE stunt team公式サイトによると、大内は2007年『FLASH POINT〜導火線〜』でドニー・イェンのスタントダブルを務めたのを機に、何度かタッグを組んでいます。日本でも“るろうに剣心”シリーズでスタントコーディネーター、『SP 野望篇 THE MOTION PICTURE』『SP 革命篇 THE MOTION PICTURE』や“HiGH&LOW”シリーズ、『はたらく細胞』など数々のヒット作でアクション監督を務めています。

さらに本作には、ドニー・イェンの実父であるクライスラー・イェンもサプライズ出演していますよ。ドニー・イェン好きににはたまらない作品であるのはもちろん、アクション好き、法廷劇好きにも大満足の1作です。
デート向き映画判定

恋愛要素は一切出てこないので、逆にどんな関係性のカップルでも観やすいでしょう。アクションが観たい方、法廷劇が観たい方、どちらの期待にも応えてくれるので、多少映画の好みが違っても各々楽しめそうです。弱者が搾取される社会に一筋の光を照らしてくれるストーリーで、最後は爽快感があるので、ストレス解消にもオススメです。
キッズ&ティーン向き映画判定

映画的に脚色はされているものの、香港の法廷の様子が映され、イギリス領だった頃の風習も見受けられます。本作を観る前、観た後に、香港、イギリス、中国の歴史を振り返ってみると、社会科の勉強にもなる部分があります。また、本作で取り上げられている“馬家健事件”をみると、私達に日本人にも身近に起こりそうな事件だと感じるはずです。知らぬ間に犯罪に巻き込まれないように、参考にするのも良いでしょう。

『プロセキューター』
2025年9月26日より全国公開
PG-12
ツイン
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2025年9月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。
