REVIEW
『わたしは最悪。』のヨアキム・トリアー監督とレナーテ・レインスヴェが再びタッグを組んだ本作は、第78回カンヌ国際映画祭において、映画祭最長の19分間に及ぶスタンディングオベーションを巻き起こし、見事グランプリを受賞しました。共演者には、ステラン・スカルスガルド、エル・ファニング、インガ・イブスドッテル・リッレオースが名を連ねています。
見どころとしてまず1点、劇中では、ステラン・スカルスガルドが演じるグスタヴの若かりし時のシーンがあります。あれはどうやって撮ったのかと気になりつつ、素敵なお姿を目にして何だかお得感があります。

物語の舞台はノルウェーの首都オスロ。俳優として活躍する姉ノーラ(レナーテ・レインスヴェ)と、息子と夫と穏やかに暮らす妹アグネス(インガ・イブスドッテル・リッレオース)は、映画監督である父グスタヴ(ステラン・スカルスガルド)と疎遠になっていました。そんななか、母の葬儀に突然グスタヴが現れます。そしてグスタヴは、ノーラにある相談を持ちかけます。

舞台の本番直前に異常なまでに取り乱すノーラの姿、映画監督であるグスタヴが長いブランクを経て書いた脚本、脚本と何らかの繋がりがあるとみられるグスタヴの母の壮絶な人生は、最初は点と点でしかありません。それが少しずつ繋がっていき、家族が各々に抱えていた思いが見えてきます。

そして、人気俳優のレイチェル・ケンプ(エル・ファニング)の存在が意外な形で家族の再生に光をもたらす展開が見事です。グスタヴが書いた脚本には、特に重要な意味を持つシーンがあり、何らかの形で2度読まれることになります。1度目にそのセリフが読まれるシーンがあった上で、2度目に別のシチュエーションで読まれるシーンがあることで、グスタヴがそのシーンに何を込めたのかが明白になります。言い換えると、それぞれのシーンに違いがありつつ、感情を見事に表現しているからこそ、2度目に出てくるシーンでそのセリフの重みが伝わってきます。だから、それぞれに演じた2人の俳優の演技力の高さを実感します。誰が演じたのかはネタバレになるので伏せておきますね。

本作は冒頭のナレーションから独特の世界観を放っています。家がもう1人のキャラクターのように重要な役割を果たしていて、そのメタファーに込められた思いが最後に結実します。ここに至るまでに、前述したグスタヴが書いたセリフが状況を変える一手となります。もうクライマックスは、観ているこちらも涙がジワジワこみ上げてくるのを止められません。胸が熱くなる体験を皆さんもぜひ味わってください。
デート向き映画判定

家族の物語なので、本作を一緒に観ると、自然に家族の話をしたくなると思います。普段の会話で、改めて家族の話を深掘りする機会って意外に少ないような気がします。お互いのことをもっと知りたいと思っていたら、本作を一緒に観るのも良さそうです。
キッズ&ティーン向き映画判定

仕事で忙しくしている親を持つ子どもは少なくないでしょう。子どもの立場からすると、とても寂しく感じることもあります。でも、それを素直に伝えられなかったり、伝えたところでどうしようもなかったりすることもあるでしょう。直接解決策に繋がるわけではないものの、本作を観ると親子関係を客観視できるので、少し気持ちをクールダウンできるのではないでしょうか。

『センチメンタル・バリュー』
2026年2月20日より全国公開
NOROSHI、ギャガ
公式サイト
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TEXT by Myson
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情報は2026年2月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。


























