REVIEW

カメの甲羅はあばら骨【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『カメの甲羅はあばら骨』

こういう表現の仕方があるのだなと、独創性に圧倒されます。公式サイトによると、本作は「動物たちの体のしくみが、人間の体を変形させることでよくわかる」同名の動物図鑑を映画化したもの。動物の骨格の特徴を人間キャラクターのアイデンティティに当てはめて、そのままビジュアル的にも表現しています。だから、見た目のインパクトも抜群!そして、肉食、草食といった動物の世界での生態系もキャラクター達の高校でのヒエラルキーに反映されている部分があり、人間界を別の角度から見るおもしろさもあります。
本作は、学校のヒエラルキーの底辺にいる、高校2年生のカメ田カメ郎と、彼の親友であるカエル川エル隆が、上位グループのライオン寺ライ王達の言動に翻弄される様を描いています。これはよくある日常なのかもしれませんが、客観的に見るとまさに弱肉強食で、子ども達はこうやって日々闘っているんだなと実感が湧きます。同時に、大人の世界でもこういった構造ができているようにも思えて、年齢を問わず共感できると思います。
そんな真面目な視点で観ても興味深い内容ですが、根本はクスッと笑えるノリで描かれています。ショートアニメ『貝社員』でお馴染みのモリ・マサ監督が手掛けている作品といえば、どんなノリかおわかりになる方もいるでしょう。日々生きているとやるせないことも多々ありますが、カメ田カメ郎やカエル川エル隆が逞しく生きている姿を観ると癒されます。

デート向き映画判定
映画『カメの甲羅はあばら骨』

特別ロマンチックなムードになることは期待できませんが、ホッコリするストーリーで、クスッと笑えるシーンも多く、和やかなムードになれるでしょう。初デートの方は、緊張感がほぐれるかもしれません。観終わった後は、お互いに自分はどんな動物かといった軽い会話で楽しめそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『カメの甲羅はあばら骨』

学園生活が軸に描かれていて、生徒同士の“あるある”なシチュエーションが満載なので、学校に通う皆さんは感情移入できる部分が多いのではないでしょうか。一見切ないシーンもユーモアを交えて描写しているので、楽観的な見方を養える部分もありそうです。カメ田カメ郎やカエル川エル隆達が日々葛藤しながらも、自分らしく生きる姿を観て、元気をもらってください。

映画『カメの甲羅はあばら骨』

『カメの甲羅はあばら骨』
2022年10月28日より全国公開
イオンエンターテイメント、アスミック・エース
公式サイト

© 2022 カメの甲羅はあばら骨製作委員会 © 川崎悟司 / SBクリエイティブ

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン 心理学から観る映画60:記憶障害の診断「神経認知領域」と「病因」からみる『殺し屋のプロット』

今回は、急速に進行してしまう認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病に冒された殺し屋の最後の“仕事”を描く『殺し屋のプロット』を取り上げます。

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ 『ただ、やるべきことを』鑑賞券 3名様プレゼント

映画『ただ、やるべきことを』鑑賞券 3名様プレゼント

映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶 星と月は天の穴【レビュー】

映画に対してというよりも、本作で描かれる男女のやり取りについては、解釈の仕方および、その解釈に伴った好みが…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ウーナ・チャップリン アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ【レビュー】

REVIEWシリーズ3作目となる本作でも、まず映像美と迫力に圧倒されます。物理的に目の前で…

映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗 新解釈・幕末伝【レビュー】

幕末を描いた本作は、“新解釈”とタイトルにあるように、ユニークな解釈で描かれて…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア、ジェームズ・キャメロン監督、山崎貴監督、宮世琉弥 お互いの才能を讃え合うジェームズ・キャメロン監督と山崎貴監督、若者代表、宮世琉弥も感動『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア

最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』のワールドツアーの一環として、ジェームズ・キャメロン監督が3年ぶりに来日。山崎貴監督と宮世琉弥も会場に駆けつけました。

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』八木莉可子 八木莉可子【ギャラリー/出演作一覧】

2001年7月7日生まれ。滋賀県出身。

映画『グッドワン』リリー・コリアス 『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行【レビュー】

「人生をやり直せるドア」が登場する点と、コリン・ファレルとマーゴット・ロビーが向かい合うキービジュアルから、恋愛をやり直すストーリーかと思いきや…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  2. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  3. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ

REVIEW

  1. 映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶
  2. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ウーナ・チャップリン
  3. 映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗
  4. 映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー
  5. 映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン

PRESENT

  1. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  2. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  3. 映画『サリー』エスター・リウ
PAGE TOP