REVIEW

マーウェン

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『マーウェン』スティーヴ・カレル

冒頭から「あれ?この映画って実写じゃなかったっけ?」と思うくらい、ガッツリ人形を使ったシーンがあり、ロバート・ゼメキス監督お得意の世界観が広がります。しかも実話をベースにしているので、なおこの演出を観て「これ、何の話だ?」となるのですが、そこがまた引き込まれる部分です。ヘイトクライムの被害に遭った男性のお話で、この事件のいきさつや、被害者の男性のその後の姿をストレートに描いたら、とても重くなったと思いますが、PTSDを抱えながら葛藤する主人公の精神世界をファンタジックに描いていて、悲壮感だけに占拠された作品ではなく、希望の光を感じさせ、観る者が主人公の心に寄り添いやすい描写にしている点で、ロバート・ゼメキス監督、主演のスティーヴ・カレルの手腕を感じます。主人公マークが作る人形は、物語に登場する人間をそのまま人形にしているのですが、どれもソックリですごく精巧にできています。思わず、自分の人形も作って欲しいと思っちゃうくらいです(笑)。またマークの頭の中で繰り広げられる人形達のドラマも見せ方が凝っていて、ロバート・ゼメキス監督がいかに気合いを入れて作ったかが伝わってきます。「それ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』やん!」と思えるシーンも出てきてニンマリしてしまうところもありますよ。とにかく、いろいろな見どころが詰まった作品です。

デート向き映画判定
映画『マーウェン』スティーヴ・カレル/レスリー・マン

主人公がヘイトクライムの被害に遭い、PTSDに苦しむ部分は観ていて心苦しいですが、一方ですごくロマンチックなシーンもあり、微笑ましく観られる要素もあります。友達以上恋人未満の人は、どういう反応になるのか不明なので、もしかしたらデートで観るのは避けたほうが良いかも知れませんが、確実に相思相愛でカップルになっている人はデートで観るのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『マーウェン』スティーヴ・カレル

主人公がなぜヘイトクライムに遭ってしまったのかということなど、背景を理解できていないとピンとこない部分があるので、キッズの皆さんが理解するにはまだハードルが高いかも知れません。
本作は実話であり、世の中には偏見だけで、平気で人を傷つける人がいることがわかります。自分の身を守るため、自分が誰かを傷つけないためにも、若い皆さんに観て欲しい内容です。また主人公が辛いことがあって精神世界に逃げ込む心境は、誰もが共感できると思うので、興味を持ったら観てみてください。

映画『マーウェン』スティーヴ・カレル

『マーウェン』
2019年7月19日より全国公開
PARCO
公式サイト

©2018 UNIVERSAL STUDIOS

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師【レビュー】

第二次世界大戦下のドイツに実在した牧師、ディートリヒ・ボンヘッファーは、ナチスに支配された教会やユダヤ人達を救おうと奮闘…

映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』SUMIRE 佐藤菫【ギャラリー/出演作一覧】

1995年7月4日生まれ。東京都出身。

映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング プレデター:バッドランド【レビュー】

おもしろい!いろいろユニーク!“プレデター”シリーズは…

映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ モンテ・クリスト伯【レビュー】

アレクサンドル・デュマ・ペールの傑作小説「巌窟王」を映画化した本作は…

映画『秒速5センチメートル』松村北斗 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年10月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年10月】のアクセスランキングを発表!

映画『旅と日々』シム · ウンギョン/堤真一 旅と日々【レビュー】

つげ義春の「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を原作に、『ケイコ 目を澄ませて』『夜明けのすべて』などを手がけた三宅唱監督が映画化…

映画『風のマジム』肥後克広 肥後克広【ギャラリー/出演作一覧】

1963年3月15日生まれ。沖縄県出身。

【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】羽佐間道夫、山寺宏一ほか 人気声優達が真剣勝負!会場が終始笑いに包まれた【20周年記念ボイスシネマ声優口演ライブ2025】本番リポート

発起人である羽佐間道夫のもと、山寺宏一、林原めぐみほか錚々たる人気声優達がズラリと顔を揃えたライブは今年で20周年を迎えました…

映画『あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。』ホン・サビン/シン・ジュヒョブ あの時、愛を伝えられなかった僕の、3つの“もしも”の世界。【レビュー】

物語の始まりは、1995年の韓国、テグ。学校でいじめられていたドンジュン…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  2. 映画『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』ヨナス・ダスラー
  3. 映画『プレデター:バッドランド』エル・ファニング
  4. 映画『モンテ・クリスト伯』ピエール・ニネ
  5. 映画『秒速5センチメートル』松村北斗

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP