REVIEW

水は海に向かって流れる【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『水は海に向かって流れる』広瀬すず

本人は知らない因縁がある千紗(広瀬すず)と直達(大西利空)、2人の運命が交錯するストーリー。高校生の直達は、学校に通いやすい叔父の家に下宿することにします。叔父の家はシェアハウスで、他に同居人が3人います。その中の1人、千紗はどこかミステリアスでなかなか笑顔を見せません。そして、ある事がきっかけで、直達と千紗の親に隠された過去があることが発覚します。その後2人が親に対して抱く複雑な気持ちとどう向き合うかというところが物語の肝になっています。
2人の関係はとても複雑ながら、本人達に責任はありません。でも、2人とも親同士の関係を知り、苦しむことになります。自分達にはどうしようもないことで苦しんでいるからこそ、2人がもがく姿が切なくて、同時に2人の人間味、優しさが滲み出て共感できます。また、直達と千紗は性格的にお互い補い合う部分があるからこそ、化学反応を起こし、運命を変えていきます。そのバランスが絶妙です。
直達、千紗それぞれが葛藤する姿に、観る側も自分を重ねて観られるところがあるでしょう。彼等と同じ状況ではないとしても、誰もが日頃抱える不条理との向き合い方を振り返りながら観ることができます。そこには、逃げられない辛い気持ちとの折り合い方を学べる部分もあるかもしれません。

デート向き映画判定
映画『水は海に向かって流れる』広瀬すず/大西利空

内容がそこそこシリアスなので、ウキウキしたデートのテンションを保ちたい場合には不向きでしょう。ただ、それぞれのキャラクターを観てどう感じるかというところに、その人の物事の捉え方が表れそうです。そういう意味では一緒に観て感想を述べ合うと多少相性がわかるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『水は海に向かって流れる』広瀬すず/大西利空/高良健吾/當真あみ/戸塚純貴

親同士の過去を巡って主人公達が苦しむストーリーなので、子ども目線で観るとかなり複雑な心境になると思います。一方で、恋愛に関心が出てきたティーンの皆さんは、直達や同級生とのやり取りを観て、初めて感じる捉えようのない感情の正体を客観視できるのではないでしょうか。大人の事情までは理解できなくても、恋愛って何だろうと考えるきっかけにはなりそうです。

映画『水は海に向かって流れる』広瀬すず/大西利空/高良健吾/當真あみ/戸塚純貴

『水は海に向かって流れる』
2023年6月9日より全国公開
ハピネットファントム・スタジオ
公式サイト

©2023映画「水は海に向かって流れる」製作委員会 ©田島列島/講談社

TEXT by Myson

ムビチケ購入はこちら

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ ブロークン 復讐者の夜【レビュー】

『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』などを手掛けたサナイピクチャーズが贈る本作は…

映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ Dear Stranger/ディア・ストレンジャー【レビュー】

真利子哲也監督(脚本も担当)による西島秀俊主演作という情報のみで、毎度ながら前情報をほぼ入れずに観て、いろいろ良い驚きが…

映画『風のマジム』伊藤沙莉 風のマジム【レビュー】

マジムって何だろうから始まり、すぐに主人公の名前とわかると、次に「じゃあ、風のマジムってどういうことなんだろう?」という具合に…

映画『ベスト・キッド:レジェンズ』ベン・ウォン ベン・ウォン【ギャラリー/出演作一覧】

2000年1月1日生まれ。中国、上海出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  2. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  3. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  4. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ
  5. 映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP