REVIEW

シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』マチュー・アマルリック/ギョーム・カネ/ブノワ・ポールヴールド/ジャン=ユーグ・アングラード

本作は、俳優としても活躍するジル・ルルーシュが監督と脚本(共同脚本:アメッド・アミディ、ジュリアン・ランブロスキーニ)を務め、マチュー・アマルリック、ギョーム・カネといった、フランスの人気実力派俳優が出演しています。個人的に、冒頭の語りの内容からして好みで、大好きなタイプのフランス映画です。マチュー・アマルリックが演じるうつ病のおじさんほか、シンクロナイズドスイミングチームのメンバーは人生において迷走中で、パッとしない連中ばかり。映画の中では、おじさん達は最初からシンクロのチームに入っているので、どういういきさつでシンクロを始めたのかはわかりませんが、本作は実在するスウェーデンの男性シンクロナイズドスイミングチームのドキュメンタリーから着想を得て作られたようです。筋肉と緊張感がほぼ失われた肉体とセリフや言動が、おじさんらしさをすごくリアルに体現していますが、ギョーム・カネだけは目の保養になります(笑)。でも、ギョーム・カネが演じるキャラクターはすごく曲者で、逆に他のおじさん達は観ていて癒される部分があり、それぞれがとてもチャーミングなキャラクターとして描かれています。女性キャラクターも良い味を出していて、特にレイラ・ベクティが演じる車椅子のコーチが、口が悪い上にスパルタでかなり笑えます。そんなトホホなトレーニングシーンの他にも、おじさん達がいろいろやらかすシーンがあり、声を出して笑っちゃう場面が満載。「なんでやねん!」と心の中でツッコミを入れながら観るのが楽しいし、エモーショナルなシーンを間に絶妙に挟んできて、バランスとテンポの良さも感じます。クライマックスの朝日のシーンはすごく絵画的で美しく、最後はホッコリ。ヨーロッパ映画にハードルを感じている方にも、こういった作品でデビューすることをオススメします。

デート向き映画判定
映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』マチュー・アマルリック

笑いどころもあって、不器用な人達が頑張る話なので、デートの雰囲気も和むはず。気まずくなるようなラブシーンもないので、初デートで観るのもアリだと思います。鑑賞後は、映画の感想を言い合うのはもちろん、好きなスポーツ、昔やっていたスポーツの話をしても良いし、家族の話、仕事の話など、いろいろな要素が詰まった作品なので、会話のネタも豊富に見つかるはずです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』マチュー・アマルリック/ギョーム・カネ/ブノワ・ポールヴールド/ジャン=ユーグ・アングラード

父と息子、父と娘の話も出てくるので、親子で観るのも良いと思います。普段カッコ良い姿を見せられないでいるお父さん達が、周囲からバカにされながらも一生懸命シンクロナイズドスイミングを練習する姿は、どこか不格好でも、とても輝いて見えるはず。笑えるシーンもいっぱいあるし、ドラマチックな展開もあるので、上映時間の長さもそれほど感じないでしょう。ぜひ若い皆さんも観てみてください。

映画『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』マチュー・アマルリック/ギョーム・カネ/ブノワ・ポールヴールド/ジャン=ユーグ・アングラード

『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』
2019年7月12日より全国公開
PG-12
キノフィルムズ、木下グループ
公式サイト

©2018 -Tresor Films-Chi-Fou-Mi Productions-Cool industrie-Studiocanal-Tf1 Films Production-Artemis Productions

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン 心理学から観る映画60:記憶障害の診断「神経認知領域」と「病因」からみる『殺し屋のプロット』

今回は、急速に進行してしまう認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病に冒された殺し屋の最後の“仕事”を描く『殺し屋のプロット』を取り上げます。

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ 『ただ、やるべきことを』鑑賞券 3名様プレゼント

映画『ただ、やるべきことを』鑑賞券 3名様プレゼント

映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶 星と月は天の穴【レビュー】

映画に対してというよりも、本作で描かれる男女のやり取りについては、解釈の仕方および、その解釈に伴った好みが…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ウーナ・チャップリン アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ【レビュー】

REVIEWシリーズ3作目となる本作でも、まず映像美と迫力に圧倒されます。物理的に目の前で…

映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗 新解釈・幕末伝【レビュー】

幕末を描いた本作は、“新解釈”とタイトルにあるように、ユニークな解釈で描かれて…

映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア、ジェームズ・キャメロン監督、山崎貴監督、宮世琉弥 お互いの才能を讃え合うジェームズ・キャメロン監督と山崎貴監督、若者代表、宮世琉弥も感動『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』来日ジャパンプレミア

最新作『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』のワールドツアーの一環として、ジェームズ・キャメロン監督が3年ぶりに来日。山崎貴監督と宮世琉弥も会場に駆けつけました。

映画『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』八木莉可子 八木莉可子【ギャラリー/出演作一覧】

2001年7月7日生まれ。滋賀県出身。

映画『グッドワン』リリー・コリアス 『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『グッドワン』トーク付きプレミア試写会 10組20名様ご招待

映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行【レビュー】

「人生をやり直せるドア」が登場する点と、コリン・ファレルとマーゴット・ロビーが向かい合うキービジュアルから、恋愛をやり直すストーリーかと思いきや…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  2. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  3. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ

REVIEW

  1. 映画『星と月は天の穴』綾野剛/咲耶
  2. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』ウーナ・チャップリン
  3. 映画『新解釈・幕末伝』ムロツヨシ/佐藤二朗
  4. 映画『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』コリン・ファレル/マーゴット・ロビー
  5. 映画『THE END(ジ・エンド)』ティルダ・スウィントン/ジョージ・マッケイ/モーゼス・イングラム/ブロナー・ギャラガー/ティム・マッキナリー/レニー・ジェームズ/マイケル・シャノン

PRESENT

  1. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  2. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
  3. 映画『サリー』エスター・リウ
PAGE TOP