REVIEW

ダ・ヴィンチは誰に微笑む

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』

何年も前に描かれた名画は世の中にたくさんありますが、本作を観ると改めて名画がホンモノなのかどうかというのは見極めが難しいことを実感します。本作は、レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の傑作とされながらも100年以上も行方不明だった“サルバトール・ムンディ”=通称「男性版モナ・リザ」が見つかったとされ、その絵を巡って美術界のさまざまな立場の人間達がホンモノか否かで議論し、その売買においても物議を醸した様子が映し出されています。
なんと一般家庭から見つかったとされるこの絵は最初日本円にして13万円で美術商に買われ、その後さまざまな過程を経て最終的に510億円という値が付けられます。なぜそんなことになるのかというと、絵がホンモノかどうかという議論だけではなく、それをビジネスで利用しようとする人々の目論見も絡まってきて、「ホンモノであったほうが都合が良い」という事情のもと価格が高騰していくのです。これはドキュメンタリーですが、信じられないような駆け引きが次々と繰り広げられていき、映画かドラマかなと思うような嘘のような本当の話が映し出されていて、映画としてはとてもおもしろいですが、美術界の実態に見える社会の構造になんとも複雑な気分にさせられます(苦笑)。
美術に興味がある方はもちろん、ビジネスの視点、投資家的な視点、マーケティング的な視点でも楽しめる作品なので、いろいろな角度から楽しんでください。

デート向き映画判定
映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』レオナルド・ディカプリオ

レオナルド・ディカプリオもこの絵の展覧時に訪れた客の一人としてちらっと映りますが、それだけ多くの人達がこの絵に興味を持っていることが本作を観るとわかります。本作を観る限りこの絵がホンモノか否かは未だに定かになっていませんが、この絵が辿る過程がとても興味深いので、誰を誘ってもそれなりに楽しんでもらえると思います。本作を観たら美術館に行ってみたくなるので、次のデートに誘う口実にも良さそうです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』

映画やドラマによく出てくるお金持ちの代表格といえば、ロシアの大富豪やアラブの皇族が挙げられますが、現実を捉えたドキュメンタリーである本作でもロシアの大富豪やアラブの皇族が名画の売買に本当に登場するので、「マジですか!?」という目線で引き込まれます(笑)。トリッキーな駆け引きも取り上げられていてある程度の集中力と理解力が必要なの中学生以上向けかなと思います。ビジネスの仕組みの1つの例としても興味深いので、社会勉強の一環で観るのも良いでしょう。

映画『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』

『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』
2021年11月26日より全国公開
ギャガ
公式サイト

©2021 Zadig Productions ©Zadig Productions – FTV

TEXT by Myson

  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『BAUS 映画から船出した映画館』染谷将太 BAUS 映画から船出した映画館【レビュー】

2014年、東京都、吉祥寺の映画館“バウスシアター”が閉館となりました。本作は、この映画館を親の代から運営してきた本田拓夫著…

映画『白雪姫』レイチェル・ゼグラー 白雪姫【レビュー】

1937年に製作されたディズニーの『白雪姫』は、世界初のカラー長編アニメーションであり、ウォルト・ディズニー・スタジオの原点とされています…

映画『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』 ニンジャバットマン対ヤクザリーグ【レビュー】

バットマン・ファミリーが戦国時代の歴史改変を食い止めた『ニンジャバットマン』の続編…

【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性 自分を知ることからすべてが始まる【映画でSEL】

SEL(社会性と情動の学習)で伸ばそうとする社会的能力の一つに「自己への気づき」があります。他者を知るにも、共感するにも、自己をコントロールするにも、そもそも自分のことを全く理解していなければ始まりません。

映画『悪い夏』北村匠海 悪い夏【レビュー】

REVIEW染井為人著の原作小説は、「クズとワルしか出てこない」と話題を呼び、第37回横溝…

映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永 女神降臨 Before 高校デビュー編【レビュー】

本作は、縦スクロール形式のデジタルコミック“webtoon”で人気を博したyaongyi(ヤオンイ)作の同名コミックを原作としています…

映画『教皇選挙』レイフ・ファインズ 教皇選挙【レビュー】

圧倒されっぱなしの120分でした。教皇に“ふさわしい”人間の境界線をテーマに、神に仕える聖職者達の言動、ひいては人格を通して…

映画『ディックス!! ザ・ミュージカル』ボーウェン・ヤン ボーウェン・ヤン【ギャラリー/出演作一覧】

1990年11月6日生まれ。オーストラリア出身。

ディズニープラス『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』 スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド【レビュー】

本シリーズは馴染み深い要素をベースにしながら、新しい設定が…

映画『少年と犬』高橋文哉/西野七瀬 少年と犬【レビュー】

直木賞を受賞した、馳星周著の小説「少年と犬」は、『ラーゲより愛を込めて』を手掛けた平野隆プロデューサーと脚本家の林民夫、瀬々敬久監督により映画化…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『キングダム 大将軍の帰還』山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/吉川晃司/小栗旬/大沢たかお 映画好きが選んだ2024邦画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の邦画ベストを選んでいただきました。2024年の邦画ベストはどの作品になったのでしょうか?

映画『セトウツミ』池松壮亮/菅田将暉 映画好きが推すとっておきの映画を紹介【名作掘り起こし隊】Vol.4

このコーナーでは、映画業界を応援する活動として、埋もれた名作に再び光を当てるべく、正式部員の皆さんから寄せられた名作をご紹介していきます。

映画『オッペンハイマー』キリアン・マーフィー 映画好きが選んだ2024洋画ベスト

正式部員の皆さんに2024年の洋画ベストを選んでいただきました。2024年の洋画ベストに輝いたのはどの作品でしょうか!?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画でSEL】森林の中で穏やかな表情で立つ女性
  2. 映画『風たちの学校』
  3. 【映画でSEL】海辺の朝日に向かって手を広げる女性の後ろ姿

REVIEW

  1. 映画『BAUS 映画から船出した映画館』染谷将太
  2. 映画『白雪姫』レイチェル・ゼグラー
  3. 映画『ニンジャバットマン対ヤクザリーグ』
  4. 映画『悪い夏』北村匠海
  5. 映画『女神降臨 Before 高校デビュー編』Kōki,/渡邊圭祐/綱啓永

PRESENT

  1. 映画『ガール・ウィズ・ニードル』ヴィク・カーメン
  2. 映画『私の親愛なるフーバオ』
  3. 映画『デュオ 1/2のピアニスト』カミーユ・ラザ/メラニー・ロベール
PAGE TOP