REVIEW

ドライブアウェイ・ドールズ【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ドライブアウェイ・ドールズ』マーガレット・クアリー/ジェラルディン・ヴィスワナサン

REVIEW

女子2人のロードムービーという程度の情報で観始めて、冒頭でまず「アレレレレ?」となります(笑)。でも、イーサン・コーエン監督作ということを思い出すと、その後に続くクセ強な描写に「らしさ」を感じて納得します。
本作は、ジェイミー(マーガレット・クアリー)とマリアン(ジェラルディン・ヴィスワナサン)、女子2人が気楽なドライブ旅行で、知らぬ間に犯罪に巻き込まれてしまう珍道中を描いています。性に奔放でモテるジェイミーと、奥手で何年もご無沙汰のマリアンは、道中でレズビアン・バーに立ち寄ったり、道草をします。でも、実は2人が借りた車には、あるブツが積まれていて、ブツを回収しようとする男達が2人を追ってきます。

映画『ドライブアウェイ・ドールズ』コールマン・ドミンゴ

冒頭シーンにはかなり緊張感があるので、そのままのテンションでいくのかどうかドキドキさせられるものの、間にお気楽なシーンが挟まってくるので、良い意味でつかみどころのないおもしろさがあります。でも、決定的に「そっちか!」となる方向性を示す展開が出てくるので、そこからは一層とんでもない方向へ勢いを増していきます。マット・デイモン、ペドロ・パスカル、コールマン・ドミンゴといった豪華俳優陣が脇を固めていながら「そういう話!」となるので、こんな贅沢な起用の仕方をするなんてイーサン・コーエン監督だからこそできる業だなと感じます。そして、マーガレット・クアリー、ジェラルディン・ヴィスワナサン、ビーニー・フェルドスタインがコメディエンヌの才能を爆発させています。まず、マーガレット・クアリーが演じるジェイミーは、モテるのも納得のキャラクターです。ジェイミーのガールフレンドは苦労しそうですが、惚れてしまうのもわかります(笑)。そして、ジェラルディン・ヴィスワナサンは奥手ながらも時によっては大胆なマリアンを好演。ジェイミーの元カノ、スーキーは一番美味しいキャラクターともいえて、ビーニー・フェルドスタインの演技力によって魅力が増しています。
ぶっ飛んだノリに任せて楽しむのも良し、男性性、女性性というようなテーマを念頭に置いて自分なりに解釈するのも良しの作品です。

デート向き映画判定

映画『ドライブアウェイ・ドールズ』マーガレット・クアリー/ジェラルディン・ヴィスワナサン

極端過ぎて、もう恥ずかしい域を越えて笑えるともいえますが、まあまあな下ネタが出てくるので、初デートや交際ホヤホヤのカップルは、反応に困るかもしれません。ここで笑っていいものかと考えてしまうシーンが出てくるので、相手との心の距離感によってデートで観るか検討してください。ある程度、お互いの笑いのツボがわかっていて、ツボが違うところで笑っても理解がある場合は一緒に観るのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『ドライブアウェイ・ドールズ』マット・デイモン

PG-12で大人と一緒なら小学生でも観られるとはいえ、これは親子で観るとかなり気まずいはず。子どもはゲラゲラ笑っちゃうかもしれませんが、大人は子どもの前で笑いづらいかも(苦笑)。思春期の皆さんも笑い飛ばせるか、引くか、反応が分かれそうですが、観るなら仲の良い友達と観るほうが気楽に楽しめるでしょう。

映画『ドライブアウェイ・ドールズ』マーガレット・クアリー/ジェラルディン・ヴィスワナサン/ビーニー・フェルドスタイン/コールマン・ドミンゴ/ペドロ・パスカル/ビル・キャンプ/マット・デイモン/マイリー・サイラス

『ドライブアウェイ・ドールズ』
2024年6月7日より全国公開
PG-12
パルコ、ユニバーサル映画
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2023 Focus Features. LLC.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年6月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ 心理学から観る映画59:研究倫理に反する実験とその被害『エクスペリメント』『まったく同じ3人の他人』

『まったく同じ3人の他人』というドキュメンタリーを観ました。生き別れた三つ子が再会する感動のストーリーかと思いきや、驚愕の背景を知り、研究倫理について改めて考えさせられました。そこで今回は研究倫理をテーマとします。

映画『コンビニ・ウォーズ~バイトJK VS ミニナチ軍団~』ヴァネッサ・パラディ ヴァネッサ・パラディ【ギャラリー/出演作一覧】

1972年12月22日生まれ。フランス出身。

映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮 ブルーボーイ事件【レビュー】

高度成長期にあった1965年の東京では、街の浄化のため、警察はセックスワーカー達を厳しく取り締まっていました。ただ、セックスワーカーの中には性別適合手術(当時の呼称は性転換手術)を受けて女性的な体をした通称ブルーボーイが…

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人 君の顔では泣けない【レビュー】

高校1年生の夏、坂平陸(武市尚士)と水村まなみ(西川愛莉)はプールに一緒に落ちたことで体が入れ替わってしまいます。2人はすぐに元に戻ることができず15年を過ごし…

映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト スプリングスティーン 孤独のハイウェイ

物語の舞台は1982年。ブルース・スプリングスティーン(ジェレミー・アレン・ホワイト)は、名声を手に入れながらも、葛藤を抱えて…

映画『2つ目の窓』松田美由紀 松田美由紀【ギャラリー/出演作一覧】

1961年10月6日生まれ。東京都出身。

「第38回東京国際映画祭」クロージングセレモニー:受賞者 東京グランプリは『パレスチナ36』!第38回東京国際映画祭ハイライト

2025年10月27日(月)に日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開幕したアジア最大級の映画の祭典である第38回東京国際映画祭が、11月5日(水)に閉幕。今年も個性豊かな作品が多数出品され、さまざまなイベントが実施されました。以下に、第38回東京国際映画祭ハイライトをお届けします。

映画『平場の月』堺雅人/井川遥 平場の月【レビュー】

朝倉かすみ著の同名小説を実写化した本作は、『ハナミズキ』『花束みたいな恋をした』(2021年)などを手がけた土井裕泰が監督を務めて…

映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル ぼくらの居場所【レビュー】

カナダのトロント東部に位置するスカボローを舞台に、さまざまな背景を抱えた3組の親子の姿を…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  2. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  3. 映画『おーい、応為』長澤まさみ

REVIEW

  1. 映画『ブルーボーイ事件』中川未悠/中村中/イズミ・セクシー/真田怜臣/六川裕/泰平史/錦戸亮
  2. 映画『君の顔では泣けない』芳根京子/髙橋海人
  3. 映画『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』ジェレミー・アレン・ホワイト
  4. 映画『平場の月』堺雅人/井川遥
  5. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル

PRESENT

  1. 映画『TOKYOタクシー』オリジナルパラパラメモ
  2. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP