REVIEW

天上の花【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『天上の花』東出昌大/入山法子/吹越満/鎌滝恵利

1966年に発表された萩原葉子の小説「天上の花—三好達治抄—」を『いぬむこいり』の片嶋一貴がメガホンをとり映画化した本作は、昭和初期を舞台に、実在した詩人の三好達治(東出昌大)と、萩原朔太郎(吹越満)の末娘である慶子(入山法子)の運命的な恋愛を描いています。
第二次世界大戦中という時代に翻弄されながら、達治は長年慶子に想いを寄せ続け、その真っ直ぐな気持ちからは深い愛情を感じます。しかし、いざ結婚すると2人の関係はだんだんといびつに変化していきます。達治は慶子を愛しながらも、奔放な慶子の言動にだんだんと不満を抱くようになります。詳細は本編で観ていただくとして、こういった状況は時代に関係なく現代でもあり得ると思います。女性目線で観ると慶子の心情が終始気になります。それと同時に結婚や夫婦関係についても深く考えさせられます。
達治と慶子を演じた東出昌大と入山法子は、キャラクターの複雑な心情を見事に体現しています。さらに、その脇を吹越満、浦沢直樹、鎌滝恵利らが支えています。達治と慶子の恋愛以外にも、戦争という時代背景や、文学的な要素も盛り込まれた作品です。一部観ていて辛くなる場面もあるので、できれば心に余裕のある時に観ることをオススメします。

デート向き映画判定
映画『天上の花』東出昌大/入山法子

複雑な恋愛模様が描かれた作品なので、できれば1人か友人同士で観てください。達治と慶子の関係を客観的に観察することで、夫婦関係の難しさも感じると思います。良くない部分については反面教師として観て、結婚相手を見極める際の参考にして欲しいと思います。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『天上の花』東出昌大/吹越満

大人の複雑な心情はキッズには理解しづらいと思うので、せめて中学生くらいになってから観てください。ティーンの場合も達治と慶子に感情移入することは難しいかもしれません。でも、三好達治は実在した詩人で、劇中には彼の詩も登場します。そういった点では勉強になる部分がありそうです。

映画『天上の花』東出昌大/入山法子/吹越満/鎌滝恵利

『天上の花』
2022年12月9日より全国順次公開
PG-12
太秦
公式サイト

© 2022「天上の花」製作運動体

TEXT by Shamy

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『消滅世界』蒔田彩珠 消滅世界【レビュー】

ジェンダー、セックスのどちらにおいてもこれまでの常識を覆す価値観が浸透した世界を描いた本作は、村田沙耶香著の同名小説を原作として…

映画『ナイトフラワー』森田望智 森田望智【ギャラリー/出演作一覧】

1996年9月13日生まれ。神奈川県出身。

映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚 佐藤さんと佐藤さん【レビュー】

同じ佐藤という苗字のサチ(岸井ゆきの)とタモツ(宮沢氷魚)は、セリフにも出てくるように「結婚しても離婚しても佐藤」です…

映画『楓』福士蒼汰/福原遥 『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『楓』カバーアーティスト、十明による“楓”生歌唱付き&サプライズゲスト登壇!特別試写会 9組18名様プレゼント

映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大 兄を持ち運べるサイズに【レビュー】

原作は、村井理子が書いたノンフィクションエッセイ「兄の終い」…

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ 3名様プレゼント

映画『見はらし世代』井川遥 井川遥【ギャラリー/出演作一覧】

1976年6月29日生まれ。東京都出身。

映画『WEAPONS/ウェポンズ』 WEAPONS/ウェポンズ【レビュー】

ある町から突然17人の子どもが同時に行方不明になるところから始まる本作は、“IT/イット”“死霊館”シリーズなど、傑作ホラーを多数世に送り出してきた…

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智 ナイトフラワー【レビュー】

『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した内田英治監督が、“真夜中シリーズ”と銘打つ本作は…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年12月募集用 人間特有の感情や認知の探求【映画学ゼミ第3回】参加者募集!

今回は、N「湧き起こる感情はあなたの性格とどう関連しているのか」、S「わかりやすい映画、わかりにくい映画に対する快・不快」をテーマに実施します。

映画『悪党に粛清を』来日舞台挨拶、マッツ・ミケルセン 映画好きが選んだマッツ・ミケルセン人気作品ランキング

“北欧の至宝”として日本でも人気を誇るマッツ・ミケルセン。今回は、マッツ・ミケルセン出演作品(ドラマを除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。上位にはどんな作品がランクインしたのでしょうか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年12月募集用
  2. 映画『エクスペリメント』エイドリアン・ブロディ
  3. 映画学ゼミ2025年11月募集用

REVIEW

  1. 映画『消滅世界』蒔田彩珠
  2. 映画『佐藤さんと佐藤さん』岸井ゆきの/宮沢氷魚
  3. 映画『兄を持ち運べるサイズに』柴咲コウ/オダギリジョー/満島ひかり/青山姫乃/味元耀大
  4. 映画『WEAPONS/ウェポンズ』
  5. 映画『ナイトフラワー』北川景子/森田望智

PRESENT

  1. 映画『楓』福士蒼汰/福原遥
  2. 映画『楓』旅からはじまるトラベルポーチ
  3. 映画『Fox Hunt フォックス・ハント』トニー・レオン
PAGE TOP