REVIEW

時々、私は考える【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー

REVIEW

主人公のフラン(デイジー・リドリー)はとても静かだけれど、ここぞという時にはすごく勇気を振り絞って、ギリギリ現実世界との境界で踏ん張っている人に思えて、応援せずにはいられません。フランは人との間の心理的壁がすごく高いように見えて、関心がないわけではないんですよね。

映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー/デイヴ・メルヘジ

そんなフランが、会社に新しいメンバーが入ってきたのを機に一歩踏み出します。序盤は観ていて心配になるほど寡黙なフランが、途中から意外に積極的姿勢を見せます。一方でいかに自分に自信がないかを表す言葉もあり、人と接する際に彼女の中で両極な面が拮抗しているのが見てとれます。だから、そんな不器用な彼女が追い詰められて立ち往生をしている姿を観ると、すごく慰めたくなります。それはきっと私の中にも同じような面があり、他人事に思えないからでしょう(苦笑)。

映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー

本作は淡々とフランの日常を描いているようでいて、彼女の心が大きく揺れ動いている様を見事に映し出しています。それぞれのキャラクターと交わす会話もリアルで、一見何でもないような会話の中にすごく響くものがあります。フランの職場はいつもと何も変わらないにもかかわらず、フランの心が閉じている時と開いた時でまったく違った風景に見えるのも、本作の優れたストーリーと演出、主演のデイジー・リドリーの演技の賜物だと感じます。本作は刺さる人にはむちゃくちゃ刺さる映画でしょう。

デート向き映画判定

映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー/デイヴ・メルヘジ

不器用同士のカップルは、自分達を客観視している感覚で観られると思います。“やってもーた!”的なシーンがふんだんにあるなか、それでも主人公がジワジワと前に進む姿に勇気をもらえる部分もあります。お互いに寛容になろうと思わせてくれる展開もあるので、本作を一緒に観て、自分の不器用さを相手にぶっちゃけておくと少し肩の力を抜いて相手との関係を築いていけるかもしれません。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー

派手な展開はなく、一見何でもない日常が淡々と描かれているので、キッズにはまだピンとこないかもしれません。中学生くらいになると、フランの感覚が身に染みてわかる人はいそうな気がします。恋愛関係に限らず、人間関係が苦手な人には余計に身に染みてわかる部分があるので、本作を観ると同じように頑張っている主人公の存在に励まされるのではないでしょうか。

映画『時々、私は考える』デイジー・リドリー

『時々、私は考える』
2024年7月26日より全国順次公開
樂舎
公式サイト

ムビチケ購入はこちら

©2023 HTBH, LLC ALL RIGHTS RESERVED.

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2024年7月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝【レビュー】

実に楽しい!良い意味で「なんじゃこりゃ?」というハチャメチャなノリなのに…

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「どうしたらいい出会いがありますか?」他

今回は、正式部員の皆さんからいただいたお悩み相談の中から、下記のお2人のお悩みをピックアップして、マイソンなりにお答えしています。最後にチラッと映画の紹介もしています。

映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ ザ・ザ・コルダのフェニキア計画【レビュー】

REVIEWこれぞウェス・アンダーソン監督作という、何から何までかわいい世界観でありながら…

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流 こんな事があった【レビュー】

2021年夏の福島を舞台に、主人公の17歳の青年のほか、震災後も苦悩しながら生きる人々の姿を…

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ セレステ・ダッラ・ポルタ【ギャラリー/出演作一覧】

1997年12月24日生まれ。イタリア出身。

映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ ブロークン 復讐者の夜【レビュー】

『工作 黒金星と呼ばれた男』『アシュラ』などを手掛けたサナイピクチャーズが贈る本作は…

映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ Dear Stranger/ディア・ストレンジャー【レビュー】

真利子哲也監督(脚本も担当)による西島秀俊主演作という情報のみで、毎度ながら前情報をほぼ入れずに観て、いろいろ良い驚きが…

映画『風のマジム』伊藤沙莉 風のマジム【レビュー】

マジムって何だろうから始まり、すぐに主人公の名前とわかると、次に「じゃあ、風のマジムってどういうことなんだろう?」という具合に…

映画『ベスト・キッド:レジェンズ』ベン・ウォン ベン・ウォン【ギャラリー/出演作一覧】

2000年1月1日生まれ。中国、上海出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 この映画で問いかけたい「宝」とは…大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート後編

前回に引き続き今回は映画『宝島』の部活リポートをお届けします。後編では、事前に正式部員の方々にお答えいただいたアンケート結果について議論しました。今回も熱いトークが繰り広げられています!

映画『宝島』部活:座談会/大友啓史監督 ファストムービー時代の真逆を行こうと覚悟を決めた!大友啓史監督と語ろう『宝島』部活リポート前編

『るろうに剣心』シリーズ、『レジェンド&バタフライ』などを手掛けた大友啓史監督が<沖縄がアメリカだった時代>を描いた映画『宝島』。今回、当部の部活史上初めて監督ご本人にご参加いただき、映画好きの皆さんと一緒に本作について語っていただきました。

映画『宝島』妻夫木聡/広瀬すず/窪田正孝 沖縄がアメリカ統治下だったことについてどう思う?『宝島』アンケート特集

【大友啓史監督 × 妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太】のタッグにより、混沌とした時代を自由を求めて全力で駆け抜けた若者達の姿を描く『宝島』が9月19日より劇場公開されます。この度トーキョー女子映画部では、『宝島』を応援すべく、正式部員の皆さんに同作にちなんだアンケートを実施しました。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画『ふつうの子ども』嶋田鉄太/瑠璃
  2. 映画『ネクスト・ゴール・ウィンズ』マイケル・ファスベンダー
  3. 映画『バーバラと心の巨人』マディソン・ウルフ

REVIEW

  1. 映画『ボーイ・キルズ・ワールド:爆拳壊界流転掌列伝』ビル・スカルスガルド
  2. 映画『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』ベニチオ・デル・トロ/ミア・スレアプレトン/マイケル・セラ
  3. 映画『こんな事があった』前田旺志郎/窪塚愛流
  4. 映画『ブロークン 復讐者の夜』ハ・ジョンウ
  5. 映画『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』西島秀俊/グイ・ルンメイ

PRESENT

  1. 映画『ホーリー・カウ』クレマン・ファヴォー
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人
PAGE TOP