REVIEW

希望の灯り

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『希望の灯り』フランツ・ロゴフスキ/ザンドラ・ヒュラー

1989年にベルリンの壁が崩壊し、1990年に東西が再統一されたドイツ。でもその統一を皆が手放しで喜んでいるわけではなかったと、本作を観て知ることができます。穏やかで静かな日常が淡々と流れていて、主人公のクリスティアンが徐々に新しい職場に慣れていく様子は微笑ましく、フォークリフトの教習動画がとても過激だったり、ちらっとユーモラスなシーンも出てきますが、一方で過去に取り残されたままの人々がいる巨大なスーパーマーケットは、宇宙にぽつんとある、一つの孤立した社会のように描かれている点で、そこにいる人々が新しい世界でどう生きれば良いのか戸惑っている心情がうかがい知れます。また、クライマックスで突如悲哀な展開になると、抑えられていたさまざまな感情が湧き出てくる描写が秀逸。もちろん、東西統一だけが問題ではなく、個人で抱えている問題もあるので、日本人の私達が観ても共感できる部分はあります。タイトルの“希望の灯り”という言葉が何を象徴しているのかは、あとからジワジワとわかってきます。その余韻を味わってください。

デート向き映画判定
映画『希望の灯り』フランツ・ロゴフスキ/ザンドラ・ヒュラー

プラトニックで不器用な恋愛模様が描かれており、友達以上恋人未満の人や、片思い中の人は共感できる部分も多いでしょう。ただ、派手な展開がなく、解釈を観客に委ねる部分が多いタイプの映画なので、映画を観慣れていない人を誘うにはあまりオススメしません。どちらかというと1人でじっくり観て欲しいです。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『希望の灯り』フランツ・ロゴフスキ

歴史の勉強で、ドイツの東西統一は出てくると思いますが、簡単に背景を知っておいたほうが本作をより理解できると思います。125分という上映時間で、静かな展開なので、小中学生にはちょっとまだ難しいかも知れませんが、映画好きな大学生ならこういう作品も観てみると良いと思います。

映画『希望の灯り』フランツ・ロゴフスキ/ザンドラ・ヒュラー

『希望の灯り』
2019年4月5日より全国順次公開
彩プロ
公式サイト

© 2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

Netflix映画『シティーハンター』鈴木亮平 シティーハンター【レビュー】

今さらですが、冴羽獠ってめちゃくちゃ…

映画『システム・クラッシャー』ヘレナ・ツェンゲル システム・クラッシャー【レビュー】

母と離れて施設で暮らす9歳の女の子ベニーが主人公の本作は、各国の映画祭で多数の…

映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ 『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ 3名様プレゼント

映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ 3名様プレゼント

映画『リバウンド』アン・ジェホン ポッドキャスト【だからワタシ達は映画が好き】7〜2024年4月の「気になる映画とオススメ映画」

2024年4月下旬、気になる映画、オススメ映画はコレとアレと…

映画『恋するプリテンダー』シドニー・スウィーニー/グレン・パウエル 恋するプリテンダー【レビュー】

久々にハリウッドの王道ラブコメを観たという感覚をもたらす楽しい作品です。ひょんなことがきっかけで…

映画『九十歳。何がめでたい』草笛光子 『九十歳。何がめでたい』特別試写会 20組40名様ご招待

映画『九十歳。何がめでたい』特別試写会 20組40名様ご招待

映画『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』エマ・ロバーツ エマ・ロバーツ【プロフィールと出演作一覧】

1991年2月10日アメリカ、ニューヨーク生まれ。ロサンゼルス育ち。父は俳優のエリック・ロバーツ。子どもの頃から…

映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』 ゴジラxコング 新たなる帝国【レビュー】

こりゃもう、見どころてんこ盛りで約2時間の上映時間も…

映画『キラー・ナマケモノ』 キラー・ナマケモノ【レビュー】

女子大生の寮で、ナマケモノ(動物)が人を殺しまくるって、どういうことやねんと…

海外ドラマ『エクスパッツ ~異国でのリアルな日常~』ニコール・キッドマン エクスパッツ ~異国でのリアルな日常~【レビュー】

ニコール・キッドマン(主演兼製作総指揮)と『フェアウェル』のルル・ワンがタッグを組んだ本シリーズは…

部活・イベント

  1. 【ARUARU海ドラDiner】サムライデザート(カップデザート)
  2. 【ARUARU海ドラDiner】トーキョー女子映画部 × Mixalive TOKYO × SHIDAX
  3. 【ARUARU海ドラDiner】サポーター集会:パンチボール(パーティサイズ)
  4. 【ARUARU海ドラDiner】プレオープン
  5. 「ARUARU海ドラDiner」202303トークゲスト集合

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『MIRRORLIAR FILMS Season5』横浜流星 映画好きが推すイイ俳優ランキング【国内20代編】

今回は、国内で活躍する20代(1995年から2004年生まれ)のイイ俳優の中から、昨今活躍が目覚ましい方を編集部の独断で70名選抜し、正式部員の皆さんに投票していただきました。

映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』ティモシー・シャラメ 映画好きが選んだ2023洋画ベスト

正式部員の皆さんに2023年の洋画ベストを選んでいただきました。どの作品が2023年の洋画ベストに輝いたのでしょうか?

映画『テルマ&ルイーズ 4K』スーザン・サランドン/ジーナ・デイヴィス あの名作をリメイクするとしたら、誰をキャスティングする?『テルマ&ルイーズ』

今回は『テルマ&ルイーズ』のリメイクを作るとしたら…ということで、テルマ役のジーナ・デイヴィスとルイーズ役のスーザン・サランドンをそれぞれ誰が演じるのが良いか、正式部員の皆さんに聞いてみました。

REVIEW

  1. Netflix映画『シティーハンター』鈴木亮平
  2. 映画『システム・クラッシャー』ヘレナ・ツェンゲル
  3. 映画『恋するプリテンダー』シドニー・スウィーニー/グレン・パウエル
  4. 映画『ゴジラxコング 新たなる帝国』
  5. 映画『キラー・ナマケモノ』

PRESENT

  1. 映画『猿の惑星/キングダム』オリジナルTシャツ
  2. 映画『九十歳。何がめでたい』草笛光子
  3. 中国ドラマ『花の告発~煙雨に仇打つ九義人~』QUOカード
PAGE TOP