REVIEW

ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』クリステン・スチュワート

本作は、時代の寵児となった美少年作家のJ・T・リロイがなぜ2人の女性によって創られることになったのかを、J・T・リロイの表の顔を担っていたサヴァンナの視点で描かれています。J・T・リロイはもともとローラ・アルバートのペンネームでしたが、表に姿を見せる必要が出てきたことで、ローラの恋人の妹であるサヴァンナがJ・T・リロイのふりを始めます。最初は所詮“ふり”だけと思いきや、そう簡単に切り離せないところまで深く入り込んでしまう心の変化がリアルに描かれていて、とてもスリルを感じます。バレるかバレないかよりも、サヴァンナがもうJ・T・リロイというアイデンティティを手放せなくなっていることや、ローラ自身もそのことに危機感を覚えていることが、一番スリリングで事件そのものもセンセーショナルですが、人間のアイデンティティについて考えさせられるテーマである点で、誰が観ても見入ってしまうと思います。サヴァンナ役のクリステン・スチュワート、ローラ役のローラ・ダーンの演技も見事で、2人のせめぎ合いに引き込まれます。
ドキュメンタリー映画『作家、本当のJ.T.リロイ』は、J・T・リロイ本人のローラ・アルバートによる証言や、当時関わった人達を取材した内容で綴られていて、本作はJ・T・リロイの“表の顔”を担っていたサヴァンナの移転から描かれています。両作品観ると、2人の立場の違いで同じ出来事が全く違って見えることがわかるので合わせて観るのもオススメです。

デート向き映画判定
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』クリステン・スチュワート/ローラ・ダーン

セクシャルなシーンも多少ありますが、初デートでない限り、そこまで気まずいことはないと思います。ただ、クリステン・スチュワートが演じるサヴァンナは、2つの顔を持ったことで私生活も複雑化していきます。好きな人に秘密を打ち明けていない人は、本作を観る間落ち着かない気持ちになるかも知れません。本作を一緒に観て打ち明けるきっかけにしてみるのもアリでしょう。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』クリステン・スチュワート

SNSが普及してから、ネット上での自分、実生活の自分と、見せ方を変えている人も少なくないでしょう。それが私生活に影響しない範囲の演出の範囲で留まっているなら良いですが、偽り過ぎるとだんだんと自分を追い詰めることになります。PG-12なので、12歳未満の人は大人と観る必要がありますが、現代のキッズやティーンの皆さんが観て、いろいろと感じたり、学べる部分も多くある作品だと思います。

映画『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』クリステン・スチュワート/ローラ・ダーン

『ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏』
2020年2月14日より全国公開
PG-12
ポニーキャニオン
公式サイト

TEXT by Myson

© 2018 Mars Town Film Limited

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

ポッドキャスト:トーキョー女子映画部チャンネルアイキャッチ202509 ポッドキャスト【トーキョー女子映画部チャンネル】お悩み相談「映画アカウントで自分らしい距離感やペースをどう整えていけばいい?」

正式部員さんからいただいたSNSについてのお悩み相談におこたえしました。後半は…

映画『トロン:アレス』グレタ・リー グレタ・リー【ギャラリー/出演作一覧】

1983年3月7日生まれ。アメリカ生まれ。

映画『盤上の向日葵』坂口健太郎/渡辺謙 盤上の向日葵【レビュー】

“孤狼の血”シリーズの原作者としても知られるベストセラー作家、柚月裕子の同名小説を映画化した本作は…

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『女性の休日』 女性の休日【レビュー】

ちょうど今から50年前の今日、1975年10月24日に…

映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗 爆弾【レビュー】

呉勝浩による同名ベストセラー小説を原作として映画化された本作は、知らぬ間に…

海外ドラマ『エイリアン:アース』海外ドラマ『エイリアン:アース』 シドニー・チャンドラー【ギャラリー/出演作一覧】

1996年2月13日生まれ。アメリカ出身。

映画『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』マリアンヌ・ジャン=バプティスト/ミシェル・オースティン ハード・トゥルース 母の日に願うこと【レビュー】

現代のロンドンを繰り広げられる本作は、対照的な性格を持つ姉妹のそれぞれの日常を…

映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人 ミーツ・ザ・ワールド【レビュー】

この町で出会った、アニメにハマっている腐女子の由嘉里(杉咲花)、キャバ嬢のライ(南琴奈)、既婚の No.1 ホスト、アサヒ(板垣李光人)は、それぞれどこか孤独感、空虚感を…

韓国ドラマ『TWELVE トゥエルブ』パク・ヒョンシク パク・ヒョンシク【ギャラリー/出演作一覧】

1991年11月16日生まれ。韓国出身。

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画学ゼミ2025年11月募集用 AI時代における人間らしさの探求【映画学ゼミ第2回】参加者募集!

ネット化が進み、AIが普及しつつある現代社会で、人間らしさを実感できる映画鑑賞と人間にまつわる神秘を一緒に探求しませんか?

映画『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ウェス・アンダーソン監督 映画好きが選んだウェス・アンダーソン監督人気作品ランキング

今回は、ウェス・アンダーソン監督作品を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。人気作品が多くあるなか、上位にランクインしたのは?

AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3 トーキョー女子映画部マイソンと学ぶ【明るい未来のための将来設計とお金の基本講座】(スイーツとお飲み物付)女性限定ご招待!

本セミナーでは、「NISA・iDeCoなどの資産形成」「子どもの教育資金」「将来受け取る年金」「住宅購入・住宅ローン」「保険」など、将来に役立つお金の知識や情報、仕組みやルールについて、ファイナンシャルプランナーの先生が初めての方でもわかりやすく優しく教えてくれます。

学び・メンタルヘルス

  1. 映画学ゼミ2025年11月募集用
  2. 映画『おーい、応為』長澤まさみ
  3. AXA生命保険お金のセミナー20251106ver3

REVIEW

  1. 映画『盤上の向日葵』坂口健太郎/渡辺謙
  2. 映画『女性の休日』
  3. 映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗
  4. 映画『ハード・トゥルース 母の日に願うこと』マリアンヌ・ジャン=バプティスト/ミシェル・オースティン
  5. 映画『ミーツ・ザ・ワールド』杉咲花/南琴奈/板垣李光人

PRESENT

  1. 映画『爆弾』山田裕貴/佐藤二朗
  2. 映画『ぼくらの居場所』リアム・ディアス/エッセンス・フォックス/アンナ・クレア・ベイテル
  3. トーキョー女子映画部ロゴ
    プレゼント

PAGE TOP