REVIEW

aftersun/アフターサン【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『aftersun/アフターサン』ポール・メスカル/フランキー・コリオ

30歳の父カラムと11歳の娘ソフィが過ごした夏の数日間を描いた本作には、余計な説明がありません。物語は淡々と進んでいき、2人のやり取りから、徐々に彼等が置かれている状況が見えてきます。だから、何が起こっているんだろう、何が起こるのだろうと、何ともいえない胸騒ぎが止まりません。そして迎えるクライマックスで、クイーンとデヴィッド・ボウイの曲“アンダープレッシャー”が流れると、その歌詞がインスピレーションとなり、これまで観てきた光景の意味が突如押し寄せてきて、何ともいえない感情がこみ上げてきます。
きっとこういうことなのだろうという伏線があらゆるところに張り巡らされてはいますが、それを繋ぎ合わせて何が描かれていたのか見つけるのは観る側それぞれで違うと思います。また、チラホラ話題に出てくるカラムの出自については、イギリスの歴史や本作の時代背景についての知識があると、さらに理解が深まりそうです。
でも、本作はまさに心で観る映画。考えるより感じながら観て欲しい作品です。こんな風に表現できるシャーロット・ウェルズ監督の才能に圧倒されます。父カラム、娘ソフィ、それぞれの心にシンクロしたり、童心に返って、幼い頃の自分にもシンクロしながらご覧ください。

デート向き映画判定
映画『aftersun/アフターサン』ポール・メスカル

親子のストーリーなので、ロマンチックなムードになるような内容ではありませんが、デートで観て気まずい内容でもないので、2人とも興味があれば一緒に観るのもアリでしょう。自分の家族との思い出と自然にオーバーラップさせながら観てしまう内容なので、観終わった後はお互いの家族の話をするのも良いですね。

キッズ&ティーン向き映画判定
映画『aftersun/アフターサン』ポール・メスカル/フランキー・コリオ

親が一生懸命自分に伝えようとして話してくることでも、子どもの頃にはピンとこないことは多々あります。でも、大人になって振り返ると、あの時の親の言葉はこんな気持ちで言っていたのかもしれないと気付けることもあります。本作はそんなことを教えてくれるので、キッズやティーンの皆さんが今観ておくと、今は完全に理解できなくても親が一生懸命伝えてくる言葉は覚えておこうという意識が少し持てるような気がします。また、親のことを親としてではなく一人の人間として客観視できる部分があるので、同じ目線で親を見ることで心の距離が少し近く感じられるかもしれません。

映画『aftersun/アフターサン』ポール・メスカル/フランキー・コリオ

『aftersun/アフターサン』
2023年5月26日より全国公開
ハビネットファントム・スタジオ
公式サイト

© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022

TEXT by Myson

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2026年7月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2026年7月】のアクセスランキングを発表!

【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集! 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

メタ認知は、自分で自分をわかるために必要な認知機能です。今回は、映画鑑賞においてメタ認知の働きによって、鑑賞後の印象が変わるはずという仮説のもと、メタ認知が働く映画鑑賞とそうでない映画鑑賞で何が異なるのかを一緒に考えます。本ゼミでは、映画鑑賞に絡めて日常にも役立つ心理学を取り上げています。

映画『四十九-SEEK』映画祭受賞、浅野寛介、シェイン・コスギ監督 日本映画界に希望をもたらす制作の仕組みを実現!『四十九-SEEK』浅野寛介さん(主演・プロデューサー)&シェイン・コスギ監督インタビュー

CGに頼らず生身の肉体で魅せる“本物のアクション”で、世界17ヵ国42の映画祭でセレクション入り、12ヵ国で82の賞を受賞した『四十九-SEEK』は、独自の“劇場公開前リクープ(投資回収)”エコシステムで作られました。今回は、このシステムについてのお話を中心に、主演でプロデューサーを兼務した浅野寛介さんと、監督・編集と海外交渉を担当したシェイン・コスギさんにお話をお伺いしました。

映画『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』福原遥/細田佳央太 あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。【レビュー】

大ヒットした『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の続きを描いた本作では、元の時代に戻った加納百合(福原遥)がどう過ごしているかを描いています…

映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』トム・ホランド スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ【レビュー】

トム・ホランドが主演を務める本シリーズは2017年からスタート、スパイダーマンとしての初登場は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年公開)なので、既に10年間続いていることになります…

映画『ブルーロック』高橋文哉/櫻井海音/高橋恭平/綱啓永/野村康太/K(&TEAM)/青木柚/西垣匠/富本惣昭/倉悠貴/東啓介/畑芽育/窪田正孝 ブルーロック【レビュー】

本作を観て、コミックの人気、アニメ版や2.5次元版の人気の高さにも納得…

海外ドラマ『ザ・ボーイズ シーズン2』ジャンカルロ・エスポジート ジャンカルロ・エスポジート【ギャラリー/出演作一覧】

1958年4月26日生まれ。デンマーク生まれ。

映画『ミニオンズ&モンスターズ』 ミニオンズ&モンスターズ【レビュー】

本作は、映画愛が詰まったストーリーとなっています。冒頭あたりから、不意に…

映画『猫たちと7000マイルの旅』ケイティ・マクヒュー 『猫たちと7000マイルの旅』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『猫たちと7000マイルの旅』一般試写会 5組10名様ご招待

映画『白パンと独裁者』ジャスパー・ビラーベック 戦争で歪む人の心理―当事者だけが知る残酷な真実―

戦争は人を狂わせ、人生を狂わせます。人は戦争の時だけ苦しめられるわけではなく、その前も後も苦しめられます。今回は、そうした残酷な真実を描く作品をご紹介します。

【映画でSEL】にたどりつくまでの道

今のあなたに必要な非認知能力を伸ばす【映画でSEL】プログラムのご案内

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集! 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!

メタ認知は、自分で自分をわかるために必要な認知機能です。今回は、映画鑑賞においてメタ認知の働きによって、鑑賞後の印象が変わるはずという仮説のもと、メタ認知が働く映画鑑賞とそうでない映画鑑賞で何が異なるのかを一緒に考えます。本ゼミでは、映画鑑賞に絡めて日常にも役立つ心理学を取り上げています。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』ラミ・マレック 映画好きが選んだ実在アーティストの伝記映画ランキング

今回は実在アーティストの伝記映画について、正式部員の皆さんに投票してもらいました。さまざまな有名アーティストにまつわる作品がある中で上位にランクインしたのはどの作品でしょうか?

映画『ズートピア2』 映画好きが選んだ2025アニメ映画ベスト

今回は、2025年に劇場公開されたアニメ映画について、正式部員の皆さんによる投票結果ベスト30を発表!2025年のアニメ映画ベストに輝いたのは?

学び・メンタルヘルス

  1. 【映画学ゼミ第10回】「メタ認知が働く映画鑑賞、そうでない映画鑑賞、何が違う?」参加者募集!
  2. 映画『四月の余白』一ノ瀬ワタル/上阪隼人
  3. 【映画学ゼミ第9回】「作品との心理的距離感に影響を与え得る情動知能」参加者募集!

REVIEW

  1. 映画『キングダム 魂の決戦』山﨑賢人
  2. 映画『あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。』福原遥/細田佳央太
  3. 映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』トム・ホランド
  4. 映画『ブルーロック』高橋文哉/櫻井海音/高橋恭平/綱啓永/野村康太/K(&TEAM)/青木柚/西垣匠/富本惣昭/倉悠貴/東啓介/畑芽育/窪田正孝
  5. 映画『ミニオンズ&モンスターズ』

PRESENT

  1. 映画『猫たちと7000マイルの旅』ケイティ・マクヒュー
  2. 映画『左利きの少女』ニーナ・イエ/マー・シーユエン
  3. 映画『トイ・ストーリー5』Tシャツ
PAGE TOP