REVIEW

パルテノペ ナポリの宝石【レビュー】

  • follow us in feedly
  • RSS
映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

REVIEW

イタリアの巨匠パオロ・ソレンティーノ監督が初めて女性を主人公にして撮った本作の物語は、1950年にパルテノペが生まれるところから始まるものの、時代を問わず女性にとって普遍的なテーマを扱っていると感じます。

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

セレステ・ダッラ・ポルタが演じる主人公に付けられた名前“パルテノペ”とは、「人魚の名でナポリの街を意味する」ようです。まさしくその名にふさわしく、パルテノペは美しく、副題にあるようにナポリの宝石といえる存在として映ります。でも、本作では美しさの肯定的な面ではなく、特に女性にとってはある種の弊害となっている側面に焦点を当てていると受け取れます。

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

パルテノペの比類なき美しさに周囲の男達は翻弄されるものの、彼女は男性達の関心が刹那的である可能性を見抜いていて、美しさを持つがゆえの孤独感が伝わってきます。一方で、聡明なパルテノペが機知に富んだ返答で男性からのアプローチをかわすシーンは観ていて爽快です。望まずして、いつでも“女”として見られることに対する疲弊は女性の多くが感じていると思うなか、彼女の高尚な態度は観ていて応援したくなると同時に、こちらも応援されているように感じます。まさに、美しさ、女性ということを武器にするのではなく、自分自身の力で強く生きていくパルテノペの生き様が印象に残る作品となっています。

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

セレステ・ダッラ・ポルタが演じたパルテノペの美しさについて、ソレンティーノ監督はこう語っています。

容姿の美しさにはそれほどこだわっていませんでした。容姿は人生に必要な要素ではない。美しさが人々の人生に影響を与えることは事実だが、人生を生き延びるためには、他のスキルを身につけなければならない。パルテノペ役のセレステが美しいかどうかさえ、私には言い切ることはできないよ。きっと彼女は美しいだろうが、私が彼女を選んだ理由はそれではない。それよりも、私はセレステのどこか痛々しいまなざしに魅了された。その一方で、相反するものだが、人生に対する好奇心も感じられた。セレステを抜擢した後は、パルテノペの役柄に、若者の典型的な痛みを、まなざしに与えていった。若いときはなぜ痛みを感じるのか理解できないし、年老いても理解できないこともある。でも、その痛みはそこにある。でも若い時は、痛みを抑えるために自分を解放し、人生を最大限に生きることを学ぶ。それが人間であることの神秘的な部分だ。(映画公式資料)

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ/ゲイリー・オールドマン

また、本作には、ソレンティーノ監督が「これまで一緒に仕事をした中で最高の俳優の一人」と絶賛するゲイリー・オールドマンがキーマンとして登場しています。さらに、ナポリという街も欠かせない要素となっています。ナポリの美しい風景とは裏腹に、ナポリの闇の部分なのか、「どういうこと??何やってるの??」という衝撃的なシーンも出てきたり、ナポリという街への興味も増します。

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

キービジュアルから描く印象とは良い意味で異なり、想像以上に濃くてクセが強い作品で、苦みがありながら最後は清々しさを与えてくれる一作です。私が大好きな映画の一つ『マレーナ』と通じる部分も感じて、また一つ好きな作品が増えました。特に女性の皆さんに観て欲しいです。

デート向き映画判定

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

異質な性的描写もあり、カップルで観ると気まずくなるかもしれません。ただ、女性がさらされてきた現実を共有してもらうには、パートナーと一緒に観るのも良いと思います。ざっくばらんに何でも話し合えるカップルなら、一緒に観て意見を交換すると、実際に言葉で聞かないとわからない、伝わらない苦労が具体的にイメージできるのではないでしょうか。

キッズ&ティーン向き映画判定

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

パルテノペの人生のうち、若い頃の物語が中心に描かれていて、青春期の切ない体験が物語の鍵となっている点で皆さんも共感できるところがあるでしょう。学生のパルテノペが才能を発揮して、自分で道を切り拓いていく姿も印象的です。パルテノペをはじめ、各キャラクター達の心情が丁寧に描かれていて、言葉はなくとも感覚で伝わってくると思います。

映画『パルテノペ ナポリの宝石』セレステ・ダッラ・ポルタ

『パルテノペ ナポリの宝石』
2025年8月22日より全国順次公開
R-15+
ギャガ
公式サイト

ムビチケ購入はこちら
映画館での鑑賞にU-NEXTポイントが使えます!無料トライアル期間に使えるポイントも

©2024 The Apartment Srl – Numero 10 Srl – Pathé Films – Piperfilm Srl

TEXT by Myson

本ページには一部アフィリエイト広告のリンクが含まれます。
情報は2025年8月時点のものです。最新の販売状況や配信状況は各社サイトにてご確認ください。

関連記事
  • follow us in feedly
  • RSS

新着記事

映画『YADANG/ヤダン』カン・ハヌル YADANG/ヤダン【レビュー】

タイトルについている“ヤダン”とは、「麻薬犯罪者から情報を引き出し、検察や警察に提供して報酬を得る司法取引のブローカー」…

映画『スワイプ:マッチングの法則』リリー・ジェームズ リリー・ジェームズ【ギャラリー/出演作一覧】

1989年4月5日生まれ。イギリス出身。

映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/伊藤万理華/安藤裕子/向里祐香/安田顕 架空の犬と嘘をつく猫【レビュー】

家族の絆というより、家族の呪縛を描いているようでいて…

映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン おくびょう鳥が歌うほうへ【レビュー】

世界各国で翻訳され、ベストセラーとなったエイミー・リプトロットの回想録「THE OUTRUN」を原作とした本作は、ベルリン国際映画祭銀熊賞に輝いた『システム・クラッシャー』のノラ・フィングシャイトが監督を務め、若くして数々の名作に出演してきた実力派シアーシャ・ローナンが主演を務めています…

ABEMAオリジナル連続ドラマ『スキャンダルイブ』柴咲コウ/川口春奈 スキャンダルイブ【レビュー】

昨今、問題が複数取り沙汰されている、芸能界の性加害をテーマにしたドラマということもあり、再現ドラマにすら感じる生々しさがあります…

Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一 映画レビュー&ドラマレビュー総合アクセスランキング【2025年12月】

映画レビュー&ドラマレビュー【2025年12月】のアクセスランキングを発表!

映画『コート・スティーリング』オースティン・バトラー コート・スティーリング【レビュー】

ダーレン・アロノフスキー監督とオースティン・バトラーがタッグを組んだ本作は…

Netflix映画『10DANCE』竹内涼真/町田啓太 10DANCE【レビュー】

井上佐藤による漫画「10DANCE」を原作とする本作は、鈴木信也(竹内涼真)と杉木信也(町田啓太)という1文字違いの名を持つ正反対の2人の天才ダンサーが主人公…

Netflix映画『ジェイ・ケリー』ジョージ・クルーニー/アダム・サンドラー ジェイ・ケリー【レビュー】

ジョージ・クルーニー、アダム・サンドラー、ローラ・ダーン、ビリー・クラダップ、ライリー・キーオ、ジム・ブロードベント、パトリック・ウィルソン、グレタ・ガーウィグ、エミリー・モーティマー、アルバ・ロルバケル、アイラ・フィッシャーなど、これでもかといわんばかりの豪華キャストが…

映画『ロストランズ 闇を狩る者』ミラ・ジョヴォヴィッチ ロストランズ 闇を狩る者【レビュー】

“バイオハザード”シリーズでお馴染みの2人、ミラ・ジョヴォヴィッチとポール・W・S・アンダーソン夫妻が再びタッグを組み、“ゲーム・オブ・スローンズ”の原作者、ジョージ・R・R・マーティンの短編小説を7年の歳月をかけて映画化…

本サイト内の広告について

本サイトにはアフィリエイト広告バナーやリンクが含まれます。

おすすめ記事

映画『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ/アリアナ・グランデ トーキョー女子映画部が選ぶ 2025年ベスト10&イイ俳優MVP

2025年も毎年恒例の企画として、トーキョー女子映画部の編集部マイソンとシャミが、個人的なベスト10と、イイ俳優MVPを選んでご紹介します。

人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集!

ネットの普及によりオンラインで大抵のことができ、AIが人間の代役を担う社会になったからこそ、逆に人間らしさ、人間として生きる醍醐味とは何かを映画学の観点から一緒に探ってみませんか?

映画『チャップリン』チャーリー・チャップリン『キッド』の一場面 映画好きが選んだチャーリー・チャップリン人気作品ランキング

俳優および監督など作り手として、『キッド』『街の灯』『独裁者』『ライムライト』などの名作の数々を生み出したチャーリー・チャップリン(チャールズ・チャップリン)。今回は、チャーリー・チャップリン監督作(短編映画を除く)を対象に、正式部員の皆さんに投票していただきました。

学び・メンタルヘルス

  1. 人間として生きるおもしろさを知る【映画学ゼミ第4回】参加者募集
  2. 映画『殺し屋のプロット』マイケル・キートン
  3. 映画学ゼミ2025年12月募集用

REVIEW

  1. 映画『YADANG/ヤダン』カン・ハヌル
  2. 映画『架空の犬と嘘をつく猫』高杉真宙/伊藤万理華/安藤裕子/向里祐香/安田顕
  3. 映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』シアーシャ・ローナン
  4. ABEMAオリジナル連続ドラマ『スキャンダルイブ』柴咲コウ/川口春奈
  5. Netflixシリーズ『イクサガミ』岡田准一

PRESENT

  1. 映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』チャージングパッド
  2. 映画『ただ、やるべきことを』チャン・ソンボム/ソ・ソッキュ
  3. 映画『グッドワン』リリー・コリアス
PAGE TOP